ファイル管理をするのであればプロジェクト管理との関連性についても知っておきましょう。ファイル管理は、時にプロジェクト管理の一環として行われることがあります。完成したファイルはプロジェクト内の各タスクの成果物でもあるため、これらを適切に管理することがプロジェクト成功につながるからです。プロジェクト管理におけるファイル管理の役割を理解できればファイル管理の活用法がより広がるでしょう。

プロジェクト管理をする意味や必要性は?

大きなプロジェクトを成功させるためにはプロジェクト管理が欠かせません。
プロジェクトはいわば抽象的な目標ですので、スタート時点では具体的な中身については全く決まっていない状態です。そこで、プロジェクト内にある個々のタスクの把握やスケジュール調整などを行い、具体的な行動計画を立てていくことになります。
プロジェクト内のタスク管理をするのに重要なのが成果物管理といわれる作業です。ファイル管理もこの成果物管理にあたります。成果物とは、それぞれのタスク完了時に成果として完成したものをいいます。企画書のような文書ファイル、プレゼン資料といったファイル類などが成果物です。
プロジェクトは小さなタスクの集合体ですので、それぞれのタスクをあらかじめ定めた期限通りにこなし、成果物を積み上げていけば無理なくプロジェクト達成ができるような仕組みになっています。そのため、プロジェクトを成功させるうえで成果物管理は重要です。プロジェクト達成にどんな成果物が必要になるのか、成果物をどんなルールで保存していくのか、どの成果物をいつまでに作ればよいのか。このような形で一つひとつの成果物を適切に管理することで、プロジェクトを円滑に進めることができます。成果物管理を含めたプロジェクト管理には、作業のムダを省き、効率のよい目的達成につなげるという目的があるのです。

プロジェクト管理の実施率はどのくらい?

それではプロジェクト管理の一環としてファイルを管理している人はどれくらいいるのでしょうか。全国の男女100名を対象にアンケート調査を実施しました。

【質問】
会社でファイルのプロジェクト管理は行われていますか?

【回答結果】
行われている:44
行われていない:56

【アンケート概要】
調査地域:全国
調査対象:【職業】パート・アルバイト 個人事業主 公務員 正社員 派遣社員 経営者
調査期間:2017年07月06日~2017年07月13日
有効回答数:100サンプル

すでにプロジェクト管理を取り入れている企業も多い

「行われていない」と答えた人が56人、「行われている」と答えた人が44人。前者が少しだけ多いものの、ほぼ同数という結果になりました。

・ファイルのプロジェクト管理の説明があったので(35歳/男性/正社員)
・プロジェクト管理をしたほうが効率よく進めることができ、進捗状況を把握して目的を達成しやすいから。(48歳/女性/正社員)
・IT部門の管理チームがファイルを細かく細分化し管理しています。専門部です。(34歳/男性/正社員)

ファイルを使ったプロジェクト管理を取り入れ、積極的に進めている会社も多いようですね。一方「プロジェクト管理を特に行っていない」という会社も少なくないようです。

・会社が小規模なので、まず詳しい人もいないし、個々の管理でなんとかなっているため。(43歳/女性/正社員)
・基本的にパソコンなどは使う機会が少ないので、プロジェクト管理などはしません。(40歳/男性/正社員)
・定員30人の小規模デイケアサービスのために、プロジェクト管理が必要ではないため(28歳/女性/正社員)

会社の規模や職種によっては、プロジェクト管理をする機会があまりないということなのかもしれません。
調査の結果、プロジェクト管理を全社的に推進している企業がある一方、そうではない企業も存在していることがわかりました。現場にプロジェクト管理を導入するかについては、会社の規模など企業側の事情も関係しているようです。
ただ、プロジェクト管理の手法は個人で仕事を進める上でも役に立ちます。今は必要性を感じない人でも、勉強しておいて損はないはずです。

プロジェクト管理はどうやるの?計画を立てる方法は?

プロジェクト管理の初期段階で手を付けるべきなのが、どんな成果物が必要なのか把握する作業です。プロジェクトの目標や最終成果物をもとに、そこに至るまでに必要なタスクとその成果物をリスト化します。
次に成果物の記述方法やフォーマット、粒度を決めます。記述方法とは、ファイル形式とその具体的な書き方のことです。テキストファイルにするのかWordファイルにするのか、あるいは文書にするのか箇条書きにするのかといったことを決めます。フォーマットは成果物の章分けのルールやレイアウトなど、文書のテンプレートのことを指します。粒度は成果物の内容を分割して作業できる単位のことです。プロジェクトによっては、何十ページにもわたる文書ファイルなどが成果物になることもあるかもしれません。その場合、成果物を粒度ごとに分割して、ファイルを分けておけば並行的に作業を進められます。ほかのメンバーの作業の完了待ちといった時間のロスがなくなるので効率的です。
プロジェクトに必要な成果物の中身が定まったら、今度は成果物の格納方法を決めます。どのフォルダにどんな成果物をしまうのか、あらかじめきちんと決めておかないと、あとになって成果物の管理が難しくなってしまいます。フォルダを作るときにも、時系列ごとに作る、カテゴリごとに作るといった明確な作成ルールを決めておきましょう。

ファイルやプロジェクトの管理ツールを使う!主にできることは?

ファイル管理やプロジェクト管理を本格的に行いたいのであれば、専用のツールを利用するのがおすすめです。ファイル管理やプロジェクト管理向けのツールには、プロジェクト管理の現場で役立つさまざまな機能が搭載されています。
タスク管理機能はプロジェクト内にあるタスクやその進捗状況(成果物の完成状況)などをメンバー全体で共有できる機能です。ツールによってはガントチャートやスケジュールの作成まで行えることもあります。バージョン管理機能は成果物の変更履歴を管理する機能です。変更履歴からファイルを復元することもできるため、更新前のファイルのバックアップやデグレード障害対策に重宝します。
タグ付けや全文検索機能といった、ファイルそのものの管理に役立つ機能も備わっています。また、クラウドサービスであればオンライン上にファイルを保管でき、データのバックアップ先として使えます。データそのものはインターネット経由で遠隔地のデータセンターに送られているため、万が一大規模災害などが発生しても、大切なデータを守ることが可能です。プロジェクト完了後は成果物をアーカイブ化して保管しておくこともできます。
これらの機能を活用できれば、プロジェクト管理やファイル管理をさらに効率良く進めることができるはずです。

プロジェクト管理ツールをフル活用しよう!

プロジェクトを成功に導くためには、ファイル管理を始めとするプロジェクト管理が欠かせません。プロジェクトは具体的なタスクの集合体です。そのため、プロジェクト内の各タスクやその成果物(ファイル)を適切に管理していく作業が、そのまま最終的な目標到達へのプロセスになります。プロジェクト管理には、タスク管理や成果物そのものの整理整頓など複数の作業が伴うのが一般的です。プロジェクト管理ツールも積極的に活用し、効率的に作業を進めていきましょう。