データ分析はマーケティングに必要不可欠なものです。しかし、どのようなデータを基にどのような分析をするかによって得られる結果が異なるため、分析にかけるデータ選びや分析手法の選び方がとても大きく影響してきます。ただ集まってきた膨大なデータを単純な分析手法で分析するのでは活かせる分析結果は得られません。価値あるデータ分析を行うためにはどのようなやり方をすべきなのか、データ分析のプロセスについて解説します。

データ分析の流れは一般的に理解されている?

最初に、データ分析はどのような流れで行うのかを知っている人がどれくらいいるか、アンケートを取って調べてみました。

【質問】
データ分析はどのように進めるべきか、含まれる工程は何があるのかを知っていますか?

【回答結果】
いいえ : 66
はい : 34

【アンケート概要】
調査地域:全国
調査対象:【年齢】20 – 29 30 – 39 40 – 49 50 – 59 60 【職業】パート・アルバイト 個人事業主 公務員 正社員 派遣社員 経営者
調査期間:2017年08月29日~2017年09月05日
有効回答数:100サンプル

3人に2人はデータ分析のプロセスを知らない

今回のアンケートでは、全体の3分の2の人がデータ分析のプロセスについてはよくわからないと答えています。

  • データ分析は、色々なデータを集めて集計だけするものだと思っていた。(30代/正社員/女性)
  • データ分析は完全に他の課に任せきりだからです。(20代/パート・アルバイト/男性)
  • 今まで関わっていた仕事では特に必要がなかったので、わかりません。(30代/派遣社員/女性)

いいえと回答した人のコメントを見ると、営業分析に全く関わらない仕事をしている人や、ほかの部署で出された分析結果を使って仕事をしている人が多いことがわかります。データを分析する立場にないため、工程についてもわからないという回答が多かったという結果は頷けます。一方、分析のプロセスがわかると回答した人のコメントは次の通りです。

  • 効果、原因、副作用、今後の展望などの項目に分けて行っています。正しいかどうかは分かりません。(30代/個人事業主・フリーランス/女性)
  • 一定のパターンで選択肢の中から選ばれた答えを分析して全体としてどうあるべきかという結果を出す工程が含まれている。(20代/正社員/女性)
  • 決められた手順がある。それに従うのが早い。(40代/正社員/男性)

はいと回答した人のコメントを見ると、実際にデータ分析に関わっている人がほとんどでした。実際にデータ分析を行う場合は、初歩的なことでも分析のプロセスを知っておく必要があるようです。

分析に携わらない人も多くいましたが、それでもデータ分析の認知度は高くないと言えそうですね。では、データ分析をする際に必要なプロセスについて詳しく見ていきましょう。

データ分析の基本的なプロセス

集めたデータの中から関係性のあるデータを見つけ出し、どのような関係があるのかを見つけ出すのが分析です。ですから、データ分析はただの集計ではありません。正しいプロセスで行うことが必要な結果を導き出すためには欠かせません。データ分析の基本的な流れは次の通りです。

  1. 目的と目標を明確にして仮説を考える
    導き出された分析結果を何に使うのかがはっきりしていないと、適切な分析手法を選べません。また、データ分析は立てた仮説が正しいかどうかを立証するために行うものです。
  2. データを収集、分析する
    仮説を立証するために必要なデータを集め、集めたデータを詳細に分析します。
  3. 得られた分析結果から行動計画を立てる。さらに必要なデータはないか考察する
    最初の分析で得られた結果から、どのように行動するか計画を立てます。詳細な分析のために必要なデータがないかを考え、あればさらに分析を深めます。
  4. 分析のやり直し
    仮説に基づいて分析を行った結果、思ったような結果が出ないこともあります。その場合は仮説を立て直し、分析をやり直します。
  5. 必要なデータを得られ、実際にアクションできるようになるまでプロセスを繰り返す
    アクションを起こすのに十分な結果が得られるまで、同じプロセスを繰り返します。

データ分析に欠かせない3つの視点

データ分析を行う際、欠かせない視点が3つあり、これらは「データ分析の三原則」と呼ばれています。データ分析の三原則は次の3つの要素からなります。

  • データを比較する
    データは単独ではその数字が持つ意味を評価できません。何か別のデータと比較して初めてその数字の良し悪しがはっきりします。たとえば、自社を含めた複数社の売上を比較すれば、自社の売り上げが良いのか悪いのかの判断ができるという具合です。
  • 時系列に並べる
    過去から現在までのデータを時系列に並べてみることで推移がわかり、将来どのような姿になるのかを予測することが可能になります。未来の姿をできるだけ正確に予測することで意味のある仮説を立てることができます。
  • 詳細データで要因をつかむ
    既存のデータのみに頼りきるのではなく、そのデータが導き出された要因を知るために、詳細なデータ分析が必要という意味です。たとえば、アイスは8月が12月よりも2倍売れるというデータが得られたとしたら、そのデータには天候や気温の条件は関係しているのか、新商品の発売時期と関係性はあるのかなど、アイスが8月に2倍も多く売れる要因が何なのかを深く掘り下げて分析をする必要があるということです。

データ分析プロセスの落とし穴

一般的な分析の場合、目的と目標を明確にしたうえで仮説を立てるというプロセスが最初に置かれます。 しかし、データ分析を始める前に必ずしも目的と目標が明確にできるわけではありません。なかには、データを集め始める前には目的や目標をはっきりさせられないケースもあります。もし、必ず目的と目標を明確にするということから始めなければならないのであれば、その時点で分析をあきらめなければならなくなってしまいます。しかし、実際は目的や目標を最初に明確にできない場合でも分析は可能です。また、仮説を立ててからデータの収集を始めるという手順で行うと、仮説が正しいという結果を導き出すためのデータ収集になってしまいがちです。そうなると、本当に正しいデータ分析ができているかが怪しくなります。先にデータを収集したうえで、そこから目標を見出していくという手順にしたほうが価値のあるデータ分析になるケースも多いと考えられます。ですから、基本のプロセスはきちんと理解したうえで、状況に合わせた応用ができるようにしておく必要があります。場面ごとに必要な応用ができるようにしておくことで、本当に必要なデータ分析ができるようになります。

有益なデータ分析は業績向上に役立つ!

データ分析はどのようなプロセスで行うかが重要です。目的や目標を定めて、仮説を立て、必要なデータを集めたうえで分析を行い、必要に応じて同じプロセスを繰り返すというのが一連の流れです。しかし、流れにとらわれ過ぎると有益なデータを得られません。欠かせない工程はあるものの、臨機応変に順序を組み替えることは必要です。有益なデータ分析ができればプロジェクトの質が高まり、結果的に業績アップに繋がります。正しいプロセスで有益な分析を行いましょう。