DXを推進する企業は数多くありますが、ペーパーレス化や業務効率化の達成後には、次のフェーズに向けて目標や方向性を定めることが必要です。「2025年の崖」という言葉で、経済産業省は企業の競争力低下を指摘しました。競争力強化の観点から求められる施策のひとつに、データ活用があります。この記事では、先端技術の背景を踏まえた上で、クラウドサービスにおけるデータ活用について、ポイントをまとめました。

DX推進において重要になるデータ活用

経済産業省が『DXレポート』で「2025年の崖」に警鐘を鳴らしたのは2018年。以降、多くの企業においてデジタル化推進が活発になりました。こうした状況にしたがって『DXレポート』はアップデートされています。まず、その内容を取り上げるとともに、DX推進を加速するために大切なことを考察します。

アップデートされた『DXレポート』で指摘されていること

2020年に経済産業省は『DXレポート2』で「レガシー企業文化から脱却し、本質的なDXの推進へ」という提言を行いました。さらに2022年の『DXレポート2.2』では「デジタル産業への変革に向けた具体的な方向性やアクションを提示」する重要性を指摘しました。『DXレポート2.2』では、デジタル投資が「既存ビジネスの維持・運営に約8割が占められている状況」であり、企業の成長つまり革新的なサービスの創出や収益向上に向けたアクションが少ない課題を取り上げています。厳しい指摘ではありますが、日本の企業の国際的な競争力を高める上では重要な課題といえるでしょう。

データ活用からビジネスチャンスを見出す

それでは、革新的なサービスを創出して企業の競争力を高めるためには、どのようにすればよいのでしょうか。そのヒントのひとつに、データ活用が考えられます。デジタル化によって、ビジネスから生み出されるデータは膨大になりました。このデータを有効活用することによって、新たなビジネスモデルを構築できるチャンスがあります。
データドリブン経営という言葉が示すように、データをもとに戦略や施策を行うマネジメントが重視されています。経営者の勘や経験も大切ですが、変化の激しい時代では過去の経験が通用しないことが多々あります。社会や顧客の変化を迅速につかむために、データの分析が重要です。企業の情報資産であるデータ活用のために、把握しておきたい最新の技術動向を整理していきましょう。

先端技術の動向とデータ活用の可能性

先端技術の動向を踏まえて、なぜデータ活用が重要なのか3つの観点から整理します。

生成AIやIoTなど先端技術への最適化

Chat GPTの登場により、生成AIは多くの分野で活用されるようになりました。日々新たな技術革新があり、新たなビジネスが生まれています。
AIはデータから機械学習で知識を洗練させますが、社内に蓄積されたデータを学習することにより、自社ならではの独自性と優位性を打ち出すことができます。コンタクトセンターのチャットボットでは従来から機械学習を基盤としたAIが使われていましたが、より精度の高い洞察を得られる可能性があります。また、センサーから情報を収集して、需要予測やメンテナンスに役立てるIoTの分野でもデータ活用が重要です。物流におけるドライバーの管理、製造業の工場における設備の異常や老朽化のチェックなど、さまざまな用途にIoTが使われるようになりました。

自動化によるスピードアップ

AIと関連しますが、データから必要な情報を抽出する自動化の技術も利用が進んでいます。書類から自動的にデータを抽出してまとめるRPA(Robotic Process Automation)のシステムを、簡単に構築できるようになりました。ノーコードやローコードの開発ツールによって、データ活用を手軽に自動化できる環境が整備されつつあります。画像、音声、動画などファイルの種類に関わらず、テキスト情報を抽出して要約や分析の省力化が可能になります。
このような技術革新は、煩雑なルーティンワークの効率化の目的にとどまらず、新たな自社サービス開発にも役立つはずです。

データフェデレーション、セキュリティ

データフェデレーションは、複数のデータベースをひとつのデータベースとしてアクセスを可能にする技術です。複数のデータリソースを仮想的に統合して活用します。自社内のデータだけではなく、社外からのデータを組み合わせることで、新たな知見を得られるようになるでしょう。
一方、社内外の情報共有が行われると、セキュリティ対策を強化しなければなりません。セキュリティでは信頼性ゼロの状態から、あらゆる脅威を想定して防御対策を行うゼロトラストの観点によるセキュアなシステムが求められます。また、自然災害や社会状況の変化からもシステムを持続的に稼働させることが重要です。データを守る分野のビジネスにも可能性があります。

データ活用におけるレガシーなシステムの限界

このような先端技術の動向を踏まえると、オンプレミスの老朽化したシステムでは限界があります。高度な処理に対応できず、処理速度などでパフォーマンスが得られません。また、リモート環境で社内から利用できないといった、データ活用の融通性にも欠けています。レガシーなシステムをリプレイスするだけでなく、最新の働き方に合わせてレガシーな企業文化のリプレイスが必要です。
クラウドサービスが浸透し、あらゆる企業が使える汎用型ではなく業界特化型のヴァーティカルSaaSが注目されるようになりました。SaaS for SaaS(SaaSのためのSaaS、クラウド上のサービスを統合して活用できるサービス)という新領域も登場しています。企業によっては、すべてオンプレミスのシステムをクラウドサービスに置き換える必要はないかもしれませんが、クラウドサービスの活用は「2025年の崖」を乗り越える上で重要になります。

クラウドのデータ連携が活用のポイント

業務効率化は必要ですが、データ活用の最終目標ではないはずです。データ管理の効率化により煩雑な作業から解放されて、新規ビジネスの構想や戦略的な業務に集中できることが重要です。カイゼン中心ではなくビジネス創出に向けて、意識改革のトランスフォーメーションを含めたDXを推進しましょう。
財務会計などの基幹系システムがクラウドで提供されるようになり、API(ソフトウェアが情報をやりとりするインターフェース)によって、さまざまな外部サービスと連携が可能になりました。自社内の物理的サーバによるオンプレミス環境に加えて、必要に合わせて複数のクラウドサービスを連携させる活用方法もあります。クラウドサービスの連携は、データ活用の重要なポイントになります。

2025年の崖を契機にDX推進を加速させる

DXは概念が曖昧であることから、漠然とした方針を立てて計画の半ばで挫折する失敗ケースが多いものです。一方で2025年の崖に危機感を抱いてDX推進に取り組み、成果を出した企業もあるでしょう。いずれにしても2025年を契機に再度見直しをすることにより、これから自社のデジタル化をどのように進めるべきか検討すべき時期にあります。ペーパーレスや業務効率化の成果を実現した場合は、新たなビジネスの創出や収益性を高めるために何を行うべきか、アクションプランを具体化するとよいでしょう。

クラウドサービスによるデータ活用を

クラウドストレージのFleekdriveは、バックアップなどのベーシックな機能に加えて、データ活用のための多様な機能を備えています。たとえばユーザーが★でファイルの評価を付加して、優れた文書を可視化できます。また、ファイルごとにチャットが可能です。メールを使わずに意見交換をすることで、社内のコミュニケーション活性化にも役立ちます。
クラウドストレージのほかにもクラウド帳票の「Fleekform」、次世代HRプラットフォーム「Fleeksorm」を提供しています。クラウドサービス導入をご検討されている場合は、ぜひ一度サービスの詳細をご覧ください。

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