株式会社Fleekdriveは、企業向けオンラインストレージサービス「Fleekdrive(フリークドライブ)」を主力サービスとするSaaS企業だが、元々は独立系ソフトウェアベンダーである株式会社ソルクシーズの事業部の一つだった。SaaS市場の盛り上がりを背景に2019年5月に分社化し、自社プロダクトの拡充に専念する体制となった。
このような経緯から現在は親会社となったソルクシーズだが、実は9年前から同サービスのFleekdriveを自社で利用している。ソルクシーズはほかにもグループ会社を抱えており、いまやその数は7社に上る。またグループ会社やパートナー企業など関係のある従業員を含めるとFleekdriveの社内ユーザ数は900名を超えるまでとなっている。(2021年現在)
複数のグループ会社の運用に加え、1,000名近いユーザの管理をどうしているのか、導入時の経緯や管理者として気をつけていることなど、この9年間を振り返りながらソルクシーズ情報推進化グループの浅山氏に語ってもらった。
株式会社ソルクシーズとは
ソルクシーズはソフトウェア受託開発をメイン事業とする独立系ソフトウェアベンダーで、システムの提案から設計・開発さらには運用・保守まで幅広く携わるエンジニアが多く在籍する会社だ。自社のプロジェクトルームに勤務する従業員のほか、金融・産業・官公庁などさまざまな分野のお客さまに対して顧客先に常駐する従業員も多く在籍する。さらには情報システムやソフトウェアなどの開発を請け負うSI(システムインテグレーション)ビジネスと、定期的なサービス提供によって収益を上げていくストックビジネスを展開しているグループ企業を抱えており、これらのグループ全体がオンラインストレージサービスのFleekdriveを利用している。では数百名のユーザを抱える管理者として、どのように導入を進めていったのだろうか。
Fleekdriveの始め方
「まずは全社員のアカウントを発行するところから始めました。Fleekdriveではユーザの登録を1件ずつではなくCSVで一括登録できるので、その際に社員番号や部署・役職名なども一緒に登録しました。実はテストとして一部の従業員に先行利用してもらい、そのときにいろいろな意見が出たので適宜改善しながら進めていった、といった感じです。」
簡単に利用ユーザの登録ができるうえ、従業員の部署移動や役職が変わったときなども簡単に変更を行うことができるのは管理者としてもメリットが大きいそうだ。ではこうした管理は各グループ会社に対応を任せているのだろうか。
「新規ユーザの追加やルートフォルダの作成はソルクシーズで対応します。これはセキュリティ強化の目的が大きいです。適切なアクセス権の設定はオンラインストレージを運用するうえで一番大事と言えます。会社の規模が大きくなるほど組織内の情報閲覧の管理が必須となってきますよね。たとえば社内の機密情報を格納しているフォルダへのアクセスは役職者のみ可能とするとか、そもそも他部署が使うフォルダへのアクセスを制御するとか。」
適切なアクセス権をあらかじめ設定することで、不用意なファイルの持ち出しといった情報漏えいのセキュリティリスクが低減されるうえ、ユーザ側も自分とは関係ないフォルダは見えない状態となるので情報管理がしやすいというわけだ。ちなみにルート配下のフォルダ作成は各グループ会社に裁量が与えられているため、各社がそれぞれ工夫しながら業務で使いやすいフォルダ構成にしている。
このようにFleekdriveでは細かいアクセス権限が設定できるので、業務状況に応じて柔軟かつ安全なシステム運用が可能だ。適切なアクセス権をソルクシーズであらかじめ設定することが、管理する規模が大きくなってもファイル管理とユーザ管理が煩雑にならない理由だろう。
常駐先にいる従業員との情報共有
ソルクシーズではお客様先に常駐している従業員が多くいると紹介したが、Fleekdriveは本社と常駐先の従業員の情報共有においても有効なツールとなっている。社内ルールや規定書など従業員にとって必要な情報を共有フォルダに集約し、本社と常駐先の情報共有がスムーズに行える体制が構築できるためだ。常駐先のセキュリティポリシーでFleekdriveにアクセスできないケースもあるが、その場合はソルクシーズが付与しているモバイル端末からFleekdriveにアクセスして情報を確認しているそうだ。
カンパニースペースとコラボスペースとは?
よく質問に挙がるのがFleekdriveにあらかじめ設定されている「カンパニースペース」と「コラボスペース」は何が違うのか?ということだ。利用企業によっても様々だが、ソルクシーズグループではカンパニースペースは会社からのお知らせに使い、コラボスペースは従業員間の共有に利用している。
具体的にはカンパニースペースにはソルクシーズからグループ会社を含む全従業員に向けてのファイルやメッセージ、加えて社内で利用しているツールや書式が格納されている。それに対しコラボスペースは各グループ社専用のフォルダというイメージだ。グループ会社を持たない場合は、コラボスペースを部署ごとで使い分けるというケースもあるという。
Fleekdriveで便利な機能は?
Fleekdriveで便利な機能やよく利用する機能を聞いてみた。
「スマートルールですね。この1年で在宅勤務者が多くなりVPNの申請が一気に増えましたが、セキュリティの面から半年ごとの更新を必須にしているので、手作業で管理するのは大変です。スマートルールを設定しておけば、もうすぐ期限が切れる従業員に対してメールで連絡したあとの更新に伴うファイルのやり取りが自動化できるため便利に感じています。更新作業が終わるとFleekdriveの配信機能を利用してクライアント証明書を送付します。配信機能を使うとファイルの公開期間の指定もできますし、配信したファイルを誰がいつ受け取ったのかをFleekdriveで確認することが可能です。セキュリティ面でも安心ですからね。」
スマートルールを利用した業務の一例
- 情報システム部からVPN更新期限に関する連絡をメールで通知
- 更新を希望する従業員から申請ファイルがFleekdrive内の所定のフォルダにアップされる
- 自動で情報システム部のフォルダに移動
- 情報システム部にて更新作業完了
- Fleekdriveの配信機能を使いクライアント証明書を従業員へ送付
※上記2と3がスマートルールにより自動化される
最後に今後欲しい機能はあるか聞いたところ、
「ファイルのアーカイブ機能を強化してほしいですね。いまはファイルを作成した時点から5年で削除される設定にしかできないのですが、これをファイルが”更新”された時点から5年、という選択肢が増えるとより使いやすくなると思います。」
Fleekdriveはユーザの要望を最短で叶えられるようアジャイル開発を行う組織だ。浅山氏の希望が実装されるのも遠くはないだろう。