品質改善のための手法であるクオリティコントロールの考え方は、業種を問わず、仕事の質を高めるのに役立ちます。クオリティコントロールは、もともとは製造業の品質管理で使われていた手法ですが、問題を解決に導くための手段としても優秀です。そのためクオリティコントロールで用いる特性要因図などのqc関連技法を身に着けておくと、ビジネスに限らず日常のあらゆる課題に対して応用できるようになってきます。
クオリティコントロールって何?
仕事で成果を出すためには、日々の業務のクオリティを上げることが不可欠といえます。そこで役立つのが、クオリティコントロールです。クオリティコントロール(QC)とは、製品やサービスの品質を一定のレベル以上に安定させ、かつ向上させるための手法を検討することをいいます。もともとは製造業の現場で行われていた取り組みでしたが、今ではサービス業を始めとするさまざまな業種に浸透しています。毎日の業務において、その手順や環境などに問題があれば、満足のいく結果を出すのは難しくなります。これらの問題を解決することを目指すクオリティコントロールは、業務の質を高め、消費者や取引先の要求に見合った品質の製品やサービスを提供するためには欠かせない取り組みなのです。
クオリティコントロールでは、PDCAのサイクルを通じて業務内容の改善を目指していきます。PDCAとは、Plan(計画を立てる)、Do(実施する)、Check(検討する)、Action(改善する)の頭文字を取ったものです。このサイクルを何度も繰り返すことで、失敗を未然に防ぐとともに、製品やサービスの質などを高めていくことができるとされています。
QC7つ道具と新QC7つ道具って?
PDCAのサイクルを回していくために用いられるのが、QC7つ道具や新QC7つ道具などのQC関連技法です。PDCAサイクルそのものが問題解決のプロセスであるため、ここで使われるQC関連技法を身につけておくとビジネスはもちろん、日常の問題解決一般に応用することができます。QC関連技法のうち、数値データを整理するのに用いられるのがQC7つ道具です。QC7つ道具を使うと、データから客観的な事実をつかむことができます。具体的には以下の7つの技法(特性要因図、パレート図、ヒストグラム、管理図、散布図、グラフ。チェックシート)を指します。数値データを扱うQC7つ道具に対し、新QC7つ道具は、言語データを扱うためのツールです。頭で考えていることなどの言語データを整理し、QC7つ道具では解決できないような複雑な問題の解決手段を考えるのに使います。具体的には以下の7つの技法(親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、アローダイアグラム、PDPC法、マトリックスデータ解析法)を指します。QC7つ道具や新QC7つ道具は、データを目に見える形で表すことで、問題点を把握し、具体的な解決策を探るのに役立ちます。
仕事のクオリティを上げる方法とは
製造業に限らず、仕事で成果を出すためには日々の業務のクオリティをあげることが大切です。そこで、ここでは全国の男女150名を対象にアンケートを実施、仕事のクオリティをあげるために実践している自分なりのコツについて教えてもらいました。
人それぞれ自分なりのセオリーがあることが分かりました
- 根本的なやり方を見直す、仕事に有用と思われる知識を身につける、一旦仕事から離れて別のことをして頭を切り替えてみる(30代/女性)
- 専門書を読み漁ります。基本的なところから全て読む事で、忘れている部分や気付かない部分を補える。(30代/男性)
- 仕事の種類と内容にもよりますが、たとえばモノ作りを行う職種の場合ですが、素材の見直しから検討します。(50代/女性)
- 何が改善点か絞ってから動く。(20代/女性)
- 仕事が出来る人にコツをきく(40代/男性)
【質問】
仕事のクオリティを上げたいと感じた時にどのような努力をしますか?
【回答結果】
フリー回答
調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年02月24日~2017年03月01日
有効回答数:150サンプル
調査の結果、改善点がないか探す、人にアドバイスを求める、気分転換をする、勉強するなど、いろいろな意見をもらうことができました。人によって自分なりのやり方があるかと思われますが、もし行き詰ってしまったら特性要因図をはじめとするツールの力を借りるのも手です。一見こんがらがったように見える物事も、すっきりと整理することができるはずです。
QC7つ道具の1つ!特性要因図の底力
特性要因図は、QC7つ道具の1つで、特定の結果と原因の間にある因果関係を把握し、そこに潜む問題点を探し出すために使います。ある好ましくない状況があった場合、そこに至るまでにはいくつかの原因があったはずです。問題を解決し、また似たような問題が再び起こるのを防止するためには、まずその結果を生み出した原因を追求することが重要になります。特性要因図という手法では、結果を「特性」、結果に影響を与えた原因を「要因」と呼び、特性と要因の関係を魚の骨のような図を使って図式化していきます。ただ特性と要因を線で結ぶのではなく、考えられる個々の要因を徹底的に分析していくところに特徴があります。比較的抽象的な要因である大骨からスタートし、大骨の「要因」である小骨、小骨の「要因」である孫骨と階層化しながら細かく分析していくことで、本当の問題点がどこにあるのかを見つけ出すことができるのです。問題点が具体化されれば、その分だけ解決法を探すのも容易になります。特性要因図を書いてみると、箇条書きで問題点を書き出しただけではわからないような気づきを得ることができます。仕事で何か課題にぶつかってしまったときの対処法として有益なツールです。
クオリティコントロールの発想で課題に立ち向かう
特性要因図をはじめクオリティコントロールで使われる手法は、さまざまなデータを目に見える形で整理することができるため、課題解決の手段としては有益なものです。たとえばこのコラムで中心的に取り上げた特性要因図であれば、物事の因果関係を直感的に把握するのに役立ちます。特性要因図を作成することで、検討が難しい複雑な課題も、抽象論に陥るリスクを回避しつつ、具体的な解決案を出せる段階までもっていけるはずです。