今やパソコンは多くの現代人にとって欠かせないツールとなっています。それだけにパソコンを狙うコンピューターウイルス(マルウェア)は厄介な存在です。マルウェアは悪意のある人間によって作成された有害なプログラムで、パソコン内に侵入すると不正な動作を次々とパソコンに実行させていきます。ウイルスによる被害から身を守るためには、ユーザー一人ひとりのセキュリティ意識が大切です。ここでは、パソコンを使うなら知っておきたい、セキュリティ対策関連の基礎知識についてまとめました。

パソコンに感染するコンピューターウイルスの種類

コンピューターウイルスをはじめとするマルウェアは、パソコンのユーザーに大損害を与えます。画面がフリーズする、データやプログラムが破壊されるといったパソコン本体への被害はもちろん、私達の日常生活にまでその悪影響は及びます。個人情報の流出や盗撮・盗聴といったプライバシーの侵害、さらにクレジットカード情報の流出や不正送金などによる金銭的な被害が起きるケースもあります。
特に猛威を振るっているのが「トロイの木馬」といわれる種類のマルウェアです。無害なプログラムのふりをしてパソコン内に侵入したトロイの木馬は、ユーザーが気付かないうちにさまざまな悪事を働きます。
パソコンやファイルを使用不能にして身代金を要求するランサムウェア、パソコンの遠隔操作による盗撮・盗聴などを可能にするバックドア型トロイの木馬など、ニュースで話題になったものも多いです。
ほかにも、パソコンを乗っ取るボット型ワームや個人情報を抜き取るスパイウェアなどおそろしいマルウェアが何種類も存在しています。

パソコンがウイルスに感染しているかどうかを確認する方法

パソコンの動作が遅くなった、変なメールを開いてしまったなど気になることがあったら、パソコンがウイルスに感染していないかどうかをすぐに確認する必要があります。
主要な感染の確認方法としてはWindows Updateやセキュリティソフトの更新、ウイルススキャンといった方法が挙げられます。ウイルスは自身が削除されるのを防ぐため、OSやセキュリティソフトのアップデートを嫌がります。OSやセキュリティソフトのアップデートに失敗してしまった場合、パソコンがウイルスに感染している可能性が極めて高くなります。すぐにインターネットを切断し、セキュリティソフトでパソコン全体のウイルススキャンをするようにしましょう。外付けHDDやUSBメモリがパソコンとつながっている場合は、そちらのほうも忘れずにチェックしてください。

パソコンがウイルスに感染してしまう原因とは

ウイルスなどのマルウェアは、主にインターネットを通じて感染を拡大させていきます。Web上に置かれたファイルやソフトウェアにウイルスが仕込まれていることもありますし、メールの添付ファイルやHTMLメール本文の中に紛れ込んでいることもあります。また、ワームのようにネットワークに接続しているだけでパソコンに感染する危険があるマルウェアもあります。Web感染型といってWebを見ているだけで感染してしまうタイプのウイルスもあり、実際に被害が起きています。いかにも怪しいWebサイトがウイルス感染の原因になることもありますが、企業などの公式ページがウイルスを配布するよう改ざんされているケースもあります。さらに、インターネットだけでなく、USBメモリや外付けHDDといった外部ドライブが感染の原因になるケースもあります。

パソコンがウイルスに感染したと表示される偽の警告に注意

Web閲覧中に突然「ウイルスに感染している」などの警告画面が表示されることがあります。しかし、これは悪質な偽警告であることがほとんど。警告画面の指示を信じて、指定の電話番号に電話をかけたり、ウイルス対策ソフトをパソコンにダウンロードしたりしてはいけません。金銭や個人情報を騙し取られたり、ウイルスに感染させられたりする可能性があります。偽警告画面が出てきたら、メッセージを無視してすぐにブラウザを閉じるようにしましょう。もしブラウザが動かなくなってしまった場合は、タスクマネージャからアプリを閉じるようにします。偽警告はWebサイトに組み込まれたプログラムです。サイトの閲覧者全員に同じメッセージが表示されるように仕組まれています。警告画面が出たからといってパソコンがウイルスに感染しているわけではありません。

パソコンでスマホを充電するのがウイルス感染の原因となることも

ウイルスの攻撃を受けるのはパソコンだけではありません。スマホを狙ったウイルスも多くあります。なかには、パソコン・スマホの両方に感染するものもあります。ウイルスに感染しているスマホをうっかりパソコンにつないでしまった場合、パソコンに感染が広がってしまいます。逆にパソコンからスマホにウイルスが侵入してしまうケースもあります。パソコンに感染してiPhoneへの侵入を狙うウイルスも登場しています。不正アプリの取締りが厳しく、Androidに比べセキュリティ面で安心といわれるiPhoneですが、USBケーブル経由で侵入してくるウイルスには対処しきれません。
スマホをパソコンにつないで充電したり、パソコンにスマホのデータをバックアップしたりしている人は多いはず。デバイスをウイルスの魔の手から守るためにもスマホとパソコン両方にセキュリティ対策が必要です。

もしパソコンがウイルスに感染した場合の除去方法

ウイルスの感染を疑ったら、被害が拡大しないうちにすぐに除去を試みましょう。最も手軽なのはセキュリティソフトを使うことです。セキュリティソフトをまだインストールしていない人、期限切れになってしまっている人はすぐにソフトのインストール・更新を行ってください。
セキュリティソフトをアップデートしてウイルス定義ファイルを最新にしたら、パソコンをネットワークから切断します。その後、ウイルススキャンで実際にウイルスがいるかどうかを調べます。もしウイルスが見つかったら、セキュリティソフトの指示に従って除去していきます。このときウイルス感染の原因となったファイルやソフトウェアはパソコンから完全に削除するようにしましょう。
セキュリティソフトを使ってもウイルスが駆除できない場合はデータのバックアップを取り、パソコンを初期化します。

パソコンをウイルス感染から守るためには十分な対策が必要

パソコンを使っているすべてのユーザーにウイルスに感染するリスクはあります。「自分だけは大丈夫」と油断せず、日頃からきちんと対策しておくことが重要です。特にセキュリティソフトのインストールやOS・ソフトウェアのこまめなアップデート、ファイアウォールの設定は最低限やっておくべき対策といえます。セキュリティソフトはウイルス検出・駆除に欠かせませんし、OS・ソフトウェアのアップデートはシステムの脆弱性をついた攻撃からパソコンを守ります。ファイアウォールには外部からの不正アクセスを阻止する役割があります。さらに、怪しいメールやファイルは開かない、安易なパスワードを使わないなど、ユーザーの行動次第で避けられるリスクも多いです。万が一の事態に備えてデータのバックアップを定期的に取っておくことも忘れてはいけません。

みんなが実践しているウイルス対策は?

実際ユーザーの皆さんはウイルスの脅威に対しどのような対策を実践しているのでしょうか。全国の男女を対象にアンケート調査を実施しました。

ウイルス対策ソフト以外の対策も重要?

・なるべく変なサイトには触らない。変なメールを開封しないなど。(34歳/男性/正社員)
・パソコンの更新を定期的にして常に最新の状態にしておく。(22歳/女性/パート・アルバイト)
・ウィルスソフトを入れておき、定期的にチェックとHDの整理を行っています。あと怪しい広告サイトにはアクセスしない。外国のサイトも極力利用しないようにしています。(32歳/男性/パート・アルバイト)
・ダウンロードしたソフトを必ずセキュリティソフトでウィルスチェックします。(34歳/女性/正社員)
・ウイルス対策ソフトを入れる。心配な時は全体チェックをかける。(60歳/女性/個人事業主・フリーランス)
・ウイルス対策ソフトを入れている。海外の怪しいサイトにはアクセスしない。スパムメールの添付ファイルやリンク先を開かない。(41歳/男性/正社員)

【質問】
あなたがパソコンをウイルス感染から守るために実践していることは何ですか?

【回答結果】
フリー回答

【アンケート概要】
調査地域:全国
調査対象:【年齢】20 – 【職業】パート・アルバイト 個人事業主 公務員 正社員 派遣社員 経営者
調査期間:2017年05月12日~2017年05月19日
有効回答数:100サンプル

ウイルス対策ソフト・セキュリティソフトを使っているという回答が多く挙がりました。セキュリティソフトを導入する以外にも、OSのアップデート、怪しいメールは開かないなどプラスアルファの対策を心がけている人もいるようです。一方、たしかにセキュリティソフトは頼りになりますが、性能にはどうしても限界があります。セキュリティソフトに頼りすぎず、他の対策もしっかり行なうことが必要なのかもしれませんね。

まとめ

正しい知識を身につけ、普段からしっかりと対策を講じていれば、ウイルス感染のリスクはある程度予防することができます。セキュリティソフトのインストール・更新を行うのはもちろん、ユーザー側でできることはすべてやっておくべきといえるでしょう。インターネットを使うことは、リスクと隣り合わせの行為でもあります。そのことを忘れず、常に警戒を怠らないように心がける姿勢が大切なパソコンを守ることになるのです。