ファイルサーバーのクラウド化とは、社内ファイルサーバーで管理してきた資料やデータを、クラウド上で共有・保管できる形に移すことです。営業先や支店から資料を確認しやすくなりますが、移行前にデータを整理しないと、古い資料や重複ファイル、不要な権限設定まで引き継ぐおそれがあります。
本記事では、移行手順や初期費用・月額費用の考え方、サービス選定で確認すべき機能やサポート体制を解説します。
Contents
ファイルサーバーをクラウド化する5つの手順
ファイルサーバーのクラウド化を進める際は、保存先を変えるだけでなく、ファイルの整理や権限設計、移行後の使い方まで確認しておくことが大切です。事前に手順を把握しておくと、移行時の混乱や運用開始後のトラブルを防ぎやすくなります。
ファイルサーバーをクラウド化する主な手順は、以下のとおりです。
- 現在のファイル容量・利用者・権限を洗い出す
- 移行対象のファイルを整理し、不要データを削除する
- 部署・役職ごとのアクセス権限と社外共有ルールを設計する
- 一部の部署やファイルでテスト移行する
- 本番移行後に操作方法と運用ルールを周知する
1. 現在のファイル容量・利用者・権限を洗い出す
ファイルサーバーをクラウド化する前に、移行するデータ量と、ファイルごとの利用者・アクセス権限を確認します。
データ量が不明なままでは、必要なストレージ容量や移行時間を見積もるのが困難です。また、権限を確認せずに移すと、退職者や異動者のアカウントに残った不要なアクセス権まで引き継ぐおそれがあります。
部署別のフォルダ容量や、閲覧・編集・管理者権限を持つ対象者を整理し、移行後も残す権限と見直すルールを分けておきましょう。
2. 移行対象のファイルを整理し、不要データを削除する
更新日が古いファイルや部署間で重複している資料、退職者の作業用フォルダを確認し、不要なデータを減らしてから移行しましょう。古い提案書や重複した資料まで移すと、移行作業に時間がかかり、契約するストレージ容量や作業費用に影響する場合があります。
ただし、契約関連の資料や過去の提案書などは後から必要になる可能性もあるため、削除前に関係者へ確認しておくことが重要です。
3. 部署・役職ごとのアクセス権限と社外共有ルールを設計する
クラウド化する前に、部署・役職ごとのアクセス権限と社外共有ルールを決めましょう。
アクセス権限が定まっていないまま移行すると、閲覧だけでいい社員が資料を編集できたり、社外に出すべきでない資料を誤って共有したりするおそれがあります。
経理フォルダであれば、経理部は編集可、役員は閲覧のみ、取引先には期限付きリンクで共有するなど、立場ごとに閲覧・編集・共有の範囲を分けておきましょう。先にルールを整理しておくと、移行後に不要な編集権限や社外共有設定を一つずつ直す手間を減らせます。
4. 一部の部署やファイルでテスト移行する
本番移行の前に、影響が小さい部署や確認しやすいフォルダでテスト移行を行います。
全社のデータを一度に移すと、ファイルの欠落や権限設定の誤りがあった場合に、必要な資料が開けない、権限のない社員が編集できるといった問題が広がるおそれがあります。
まずは関係者が限られる共有フォルダや業務影響が小さい過去資料を移し、ファイルを開けるか、検索で見つかるか、閲覧・編集権限が想定どおりかを確認しましょう。問題があれば手順や設定を直してから、本番移行に進みます。
5. 本番移行後に操作方法と運用ルールを周知する
本番移行後は、社員が新しい保存場所や共有方法を迷わず使えるように、操作方法と運用ルールを周知しましょう。
保存場所や共有方法が変わると、社員が古い保存先を参照したり、期限なしの共有リンクを送ったりするおそれがあります。ログイン方法やフォルダの探し方を案内したうえで、共有リンクの期限、ファイル名の付け方、削除前の確認基準もまとめておきましょう。
問い合わせ先も決めておくと、ログインできない、ファイルが見つからない、権限を変更したいといった相談に対応しやすくなります。
なお実際に移行手順を組み立てる前に、自社のファイル構成や権限設定に合うかを確認しておくことも大切です。Fleekdriveは、機能制限なしで30日間試せる無料トライアルを提供しているため、現在のフォルダ構成やアクセス権限、社外共有ルールに合うかを事前に確認できます。
ファイルサーバーのクラウド化にかかるコストと比較ポイント
ファイルサーバーのクラウド化では、初期費用だけでなく、月額料金や容量追加、運用に必要な周辺費用まで確認が必要です。費用の内訳を分けて見ると、オンプレミス型を続ける場合との違いを整理しやすくなります。
主な比較ポイントは次のとおりです。
- 初期費用・データ移行ツールや作業の外注費
- 月額ライセンス料・ユーザー数に応じた費用
- 容量追加・権限管理・監査ログなどオプション機能の費用
- ネットワーク回線や端末整備にかかる周辺コスト
- オンプレミス型ファイルサーバーの保守・更新費との比較
1. 初期費用・データ移行ツールや作業の外注費
初期費用は、クラウドサービスの利用を開始する前に発生する費用です。具体的には、有料の移行ツールを使う場合の利用料や外注費のほか、フォルダ構成の見直し、既存データの移行などにかかる費用が含まれます。
たとえば、部署ごとのフォルダを整理してから移す場合や、移行後にファイルを開けるか確認してもらう場合は、設計費や検証作業費が発生することがあります。月額料金だけでなく、こうした導入時の費用も含めて見積もりを確認しましょう。
2. 月額ライセンス料・ユーザー数に応じた費用
月額ライセンス料とは、クラウドサービスやソフトウェアを利用するために毎月支払う利用料金です。多くのサービスでは、利用するユーザーごとにライセンスを契約する仕組みになっており、アカウントを付与する人数と契約プランによって費用が決まります。
ユーザー単位で料金が発生するサービスでは、契約するライセンス数が増えるほど月額費用も増えるため注意が必要です。
また、全社員で使う場合と、経理・営業など一部の部署だけで使う場合では、必要なライセンス数が変わります。見積もり時は、現在の利用者数に加えて、入退社や拠点追加によるアカウント数の増減も確認しましょう。
3. 容量追加・権限管理・監査ログなどオプション機能の費用
容量追加や詳細な権限管理、監査ログなどは、プランによって追加料金が発生する場合があります。移行後に保存容量が足りなくなったり、社外共有の範囲や操作履歴を細かく確認したりする場面も出てくるでしょう。
たとえば、契約書を扱う法務部門では閲覧・編集・共有履歴の確認、取引先と資料をやり取りする営業部門では外部共有の制限が必要になる場合があります。
見積もり時は、基本料金に含まれる機能と追加料金が発生する機能を分けて確認しましょう。
4. ネットワーク回線や端末整備にかかる周辺コスト
ネットワーク回線やWi-Fi機器の更新、モバイル通信、端末の入れ替えにかかる費用も、クラウド化前に確認しましょう。
クラウド上のファイルを複数人で開いたり、大容量データをやり取りしたりする場合、回線の増強費用やWi-Fi機器の更新費、社外利用時のモバイル通信費がかかることがあります。
図面や動画を扱う部署では、回線速度の見直しに加え、古い端末の入れ替えが必要になる場合もあります。社外から利用する端末は、対応OSやウイルス対策、画面ロックなどの設定も確認しましょう。
5. オンプレミス型ファイルサーバーの保守・更新費との比較
オンプレミス型ファイルサーバーの保守・更新費と、クラウド化後の運用費を分けて比較しましょう。
クラウド化すると、サーバー本体の購入費や機器交換費を抑えやすくなる一方で、月額利用料や追加サポート費、権限設定を管理する社内工数は残ります。オンプレミスでは、ハードウェア更新や障害対応、バックアップ機器の保守に費用がかかりますが、クラウドでは利用人数・容量・サポート範囲によって月額費用が変わります。
導入費だけで判断せず、次回のサーバー更新時期までの総額で比較しましょう。
ファイルサーバーのクラウド化で確認したいサービス選定基準
ファイルサーバーのクラウド化では、自社の共有ルールや管理体制に合うサービスを選ぶことが大切です。料金や容量だけで選ぶと、権限設定や操作履歴の確認、復元対応などが運用に合わない場合があります。
ファイルサーバーをスムーズにクラウド化するためにも、以下の確認項目を押さえておきましょう。
- 社内外のファイル共有に必要な権限管理ができるか
- 監査ログや操作履歴を確認できるか
- バックアップ・復元機能が備わっているか
- 既存の業務フローや承認ルールに合わせて運用できるか
- サポート体制や障害時の対応範囲を確認できるか
1. 社内外のファイル共有に必要な権限管理ができるか
社内外でファイルを共有するために、閲覧・編集・外部共有の権限を分けて設定できるかを確認します。
既存の権限設定を引き継げない、または移行後の共有ルールを再現できない場合、設定の作り直しや誤共有の確認に時間がかかります。営業部は提案書を編集できる、経理部以外は請求書を閲覧できない、取引先には有効期限付きの共有リンクで渡すなど、業務に合わせた設定ができるかを確認しましょう。
社員や部署ごとのグループ情報を使って権限管理を続ける場合は、Active DirectoryやMicrosoft Entra IDなどと連携できるかも確認が必要です。
2. 監査ログや操作履歴を確認できるか
監査ログや操作履歴を確認できるかを見ておきましょう。
ファイル共有で問題が起きた際に、ログイン日時やファイルの閲覧・編集・削除・共有履歴を追えないと、原因の特定や影響範囲の確認に時間がかかるためです。
共有リンクの発行、ゲストユーザーの招待、短時間のダウンロード、権限変更などの履歴を確認できるかも重要です。あわせて、ログの保存期間、検索条件、CSVで出力できる範囲も確認しましょう。
3. バックアップ・復元機能が備わっているか
バックアップ・復元機能が備わっているかを確認します。誤ってファイルを削除したり、古い内容で上書きしたりしたときに復元できないと、業務に使う資料を再作成する手間が発生します。
過去の版を戻せるバージョン管理や削除ファイルの復元に対応しているか、どの期間まで戻せるかを見ておきましょう。
地震や火災などに備える場合は、データの保管地域や障害時に復元できる範囲も確認が必要です。
4. 既存の業務フローや承認ルールに合わせて運用できるか
既存の業務フローや承認ルールを、サービス上で再現できるかも確認しましょう。現場の申請手順や承認者の設定に合わないサービスを選ぶと、承認漏れや共有方法のばらつきが起きる場合があるためです。
社外共有前の上長承認や契約書を共有する前の法務確認など、ファイルの種類や部署に応じて承認者・申請ルートを分けられるかを見ておきましょう。
あわせて、申請・承認・差し戻しの操作手順が分かりやすいかも確認が必要です。
5. サポート体制や障害時の対応範囲を確認できるか
サポート窓口や障害時の対応範囲を、契約前に確認しましょう。
ログインできない、ファイルが開けない、共有リンクを送れないといった不具合が起きると、必要な資料を確認できず、取引先への共有にも支障が出ます。
問い合わせ時は、日本語対応の有無や電話対応、初期応答時間を確認します。障害時は、原因・影響範囲・復旧見込みをどこまで報告してもらえるかを見ておきましょう。
自社で対応する作業と、ベンダーに依頼できる作業も分けておくことが大切です。
ファイルサーバーのクラウド化にFleekdriveを活用した事例3選
ファイルサーバーをクラウド化する際は、実際の導入事例を確認すると、自社での活用イメージを持ちやすくなります。業種や課題によって、重視する機能や運用方法は異なります。
Fleekdriveを活用した主な事例は次のとおりです。
- 海外拠点との安全なファイル共有を実現|株式会社SBI新生銀行
- 社外ファイル授受を一元化しガバナンスを強化|住信SBIネット銀行株式会社
- FAX・郵送中心の資料授受をクラウド化|MerryGateホールディングス株式会社
1. 海外拠点との安全なファイル共有を実現|株式会社SBI新生銀行
株式会社SBI新生銀行は、ロンドン拠点のメンバーとの契約書や報告書の共有にFleekdriveを活用しています。
組織編成により、ロンドン拠点とのファイル共有に使っていた従来の社内ツールが使えなくなり、高いセキュリティ要件を満たすストレージサービスが必要でした。そこで、Fleekdriveに契約書や報告書を格納し、ファイルがアップロードされた際に共有メンバーへ通知されるよう設定しました。
その結果、社外共有のために個別対応をする必要がなくなり、通知機能によってタイムラグを抑えて確認できるようになっています。
関連記事:株式会社SBI新生銀行
2. 社外ファイル授受を一元化しガバナンスを強化|住信SBIネット銀行株式会社
住信SBIネット銀行株式会社は、社外とのファイル授受をFleekdriveに一元化し、管理体制を整えました。
以前は各部署が個別にファイル共有サービスを契約しており、機能がばらばらで、ID管理も部署ごとに分かれていました。そこで、Fleekdriveを導入したことにより、上長が承認ワークフローで内容を確認したうえで、提携先ごとの専用スペースにファイルを共有できるようになっています。
ID管理はシステム運営部が一括で行う体制となり、ファイル共有サービスの一元化によって年間100万円のコスト削減にもつながっています。
関連記事:住信SBIネット銀行株式会社
3. FAX・郵送中心の資料授受をクラウド化|MerryGateホールディングス株式会社
MerryGateホールディングス株式会社は、金融機関との日次申込資料や月次報告データ・資料の授受にFleekdriveを活用しました。金融機関にユーザーIDを付与し、IPアドレス制限やアクセス証跡の確認を行うことで、機密性を保ちながら資料を共有しています。
FAXの文字潰れや印字の薄さによる確認・問い合わせの手間が減り、データを読み取りやすい状態で管理しやすくなりました。郵送にかかる時間やコスト、資料の紛失リスクの削減にもつながっています。
ファイルサーバーのクラウド化に関するよくある質問
ファイルサーバーのクラウド化に関するよくある質問を以下にまとめました。
- ファイルサーバーをクラウド化すると何が変わりますか?
- ファイルサーバーのクラウド化に向いているのはどのような企業ですか?
ファイルサーバーをクラウド化すると何が変わりますか?
ファイルサーバーをクラウド化すると、社内で管理していたファイルを、外出先や別拠点からも確認・共有しやすくなります。たとえば、営業先から資料を確認したり、取引先に権限や有効期限を設定した共有リンクで資料を渡したりすることが可能です。
サーバー本体の保守や更新作業の負担を抑えやすくなる一方で、誰が閲覧・編集・共有できるかを決め、操作履歴を確認できる状態にしておく必要があります。
サービス選定時は、容量追加の方法やバックアップ・復元機能も確認しましょう。
ファイルサーバーのクラウド化に向いているのはどのような企業ですか?
ファイルサーバーのクラウド化は、容量不足やサーバー更新・障害対応に悩む企業、拠点間や社外とのファイル共有が発生する企業に向いています。
権限を持つ社員であれば、自宅や出張先、サテライトオフィスからも資料を確認しやすくなります。
ただし、導入前に誰が閲覧・編集・共有できるか、社外共有時に有効期限や承認を設けるかを整理しておきましょう。
ファイルサーバーのクラウド化は運用ルールまで整えて進めましょう
ファイルサーバーのクラウド化では、データを移すだけでなく、移行後の使い方まで決めておくことが大切です。
不要ファイルを整理し、アクセス権限や社外共有リンクの期限、承認ルールを見直しておけば、ファイルが見つからない、権限が合わない、承認前に資料を共有してしまうといった問題を減らしやすくなります。あわせて、バックアップや監査ログ、サポート範囲も確認し、自社の運用に合うサービスを選びましょう。
Fleekdriveは、FISC安全対策基準に対応したセキュリティ水準を備えており、Windowsファイルサーバー上のフォルダを、Fleekdrive上のフォルダと自動同期できる機能もあります。既存の運用を大きく変えずに移行を検討したい場合は、資料で機能や導入事例を確認し、30日間の無料トライアルで操作感を確かめてみてください。
