SBI新生銀行は、日本の金融市場において、メガバンクや地方銀行とは異なる独自のポジションを占める金融機関です。旧日本長期信用銀行を母体に、2001年に新生銀行として再出発しました。「総合口座『パワーフレックス』」をはじめ、多様な金融サービスで幅広い顧客層にアプローチしてきました。特に「口座維持手数料ゼロ」やコンビニATMの手数料無料化など、顧客の利便性を重視する取り組みが支持されています。2021年にSBIホールディングスのグループとなったことで、SBIグループのデジタル金融技術が加わり、新たな金融サービスの開発が期待されています。

今回お話をお伺いした福井氏と小山氏は、海外プロジェクトファイナンス業務を担っています。プロジェクトそのものへの深い分析が必要とされる、SBI新生銀行の強みの一つです。再生可能エネルギー事業や海水淡水化事業などのインフラ関連事業のみならず、デジタルアセット等の分野においても実績があります。海外でのプロジェクトを担当するお二人のチームでは、海外拠点とのファイルのやり取りは欠かせません。まずは、Fleekdriveの導入が検討された経緯を見てみましょう。

課題

  • ロンドン拠点のメンバーと、ファイルを共有するための社内のツールが使えなくなった
  • 高いセキュリティ要件を満たすストレージサービスが必要だった

施策

  • Fleekdriveに契約書や報告書を格納することにした
  • ファイルがアップロードされたら、共有メンバーに通知されるようにした

効果

  • 社外と安全にファイルのやり取りをするために、追加の対応をする必要がなくなった
  • 通知機能を活用することで、タイムラグ少なくファイルを確認できるようになった

組織編成により従来のツールが使えなくなった

Fleekdriveを導入するきっかけはどのようなことでしたか?

プロジェクトファイナンス部の海外チームでは、海外でのプロジェクトを担当し、融資が行われた後も、プロジェクトが計画通り進んでいるか、モニタリングを行っています。プロジェクトの場所に近い海外拠点からのサポートは重要であり、その業務を担っているのが、ロンドンにいるSBI Shinsei International Limited(以下「SSIL」)のメンバーです。以前は、SSILが当行の100%子会社であったため、社内システムを使って、契約書や報告書などを共有していました。しかし、2023年10月の組織編成により、SSILがSBI証券の子会社となったことで、従来の方法でファイルの共有ができなくなりました。そこで、代わりとなるツールを早急に探す必要が出てきたのです。

法人企画部門と協議した結果、当行の別の部署で導入実績があったFleekdriveを検討することにしました。他にも、メールで大容量のファイルを送ることができるツールも候補に上がりました。しかし、こちらは容量が大きくなるほど料金が上がり、私たちが現在やり取りしているデータの量や、それが今後増えていくことを考えると、リーズナブルとは言えませんでした。

高いセキュリティ要件を満たし、導入までのサポートも手厚かった

Fleekdriveを導入する決め手となったことは何ですか?

Fleekdriveに決めた理由の一つは、データ使用容量とコストが、想定と合っていたことです。通常の融資では、必要書類は数十ページですが、プロジェクトファイナンス部が扱う案件では、数千ページに及ぶこともあります。すでにある書類を保管することはもちろん、案件が進むにしたがってファイルは増えていきますし、新しい案件がスタートすれば、さらにデータ量は増えます。その量を考慮しても、納得の行く料金でした。

Fleekdriveを導入するにあたって、法務コンプライアンスやシステム管理部門が定めている要件を満たす必要がありました。Fleekdriveは共通のログイン画面から、IDとパスワードを入力することで、特定の環境にログインすることができます。この場合、IDとパスワードが万が一流出してしまったとき、当行の環境にアクセスされる可能性があります。そこで、サブドメインオプションを追加し、当行独自のURLを設定して、セキュリティレベルを上げました。さらにアクセスできるIPアドレスも設定し、制限をかけました。

また、ストレージ全体の権限とともに、フォルダごとにどのユーザがどれだけのアクセスができるのかを決めることもできます。案件に関わるメンバーのみアクセスできるように設定するなど、これは今後の案件を考えると必要な機能でした。

これらのセキュリティの要件を確認するのに、とても時間がかかりました。当行の他の部門と要件を確認したり、そのためにどういった追加対応が必要なのか、Fleekdrive社の担当とひとつひとつ確認していきました。いつもとても丁寧に対応いただき、スムーズに検討を進めることができました。その結果、当行のセキュリティ要件を満たしてFleekdriveを使うことができることがわかり、これが導入の決め手となった一番の理由です。導入を決めてからは、行内での使用マニュアルを作成し、説明会も開催しました。

代替ツールとしての役割以上、使い勝手に満足している

どのようにFleekdriveを活用していますか?

融資に必要な契約書や報告書などの書類を保管するのに使っています。数千ページに及ぶファイルは、メールでのやり取りではなく、共有の文書管理ツールにおいて、系統だった管理が不可欠です。導入を検討していたときに使い勝手も確認しましたが、今までのやり方を大きく変えることなく、以前と同じような感覚で操作することができますし、フォルダの階層も柔軟に整えることができ、想定通りに使えています。ロンドンのSSILメンバーへファイルを共有するために、社外用の特別な対応をする必要もありません。とても満足しています。

また、Fleekdriveでは、複数ファイルを同時にアップロードできますし、アップロードしたら通知が来ます。普段は、プロジェクトの進捗状況に応じて、契約書などの書類をFleekdriveに確認しに行くことが多く、常にFleekdriveを開いているわけではありません。そのため、新しいファイルが上がると通知が来る機能は、とても役立っています。通知が来たらファイルを確認し、タイムラグ少なく対応できています。

現在は保管場所という役割が強いですが、Fleekdirveはメンバーそれぞれの業務の「見える化」にも役立ちそうです。ロンドンのSSILメンバーが社内説明用のプレゼン資料の作成サポートを行うことがあります。この資料がFleekdrive内にあるので、日本のメンバーもそれを確認できます。Fleekdriveの共同編集機能を使えば、プレゼン資料の最終版を待たずとも、必要に応じて修正提案を行ったり、チェックすることができます。今後は、そういった使い方もできるかもしれないと思っています。

セキュリティ要件を満たすだけでなくファイル共有における利便性も向上

グループウェアと連携したら、もっと便利になる

今後Fleekdriveにどのようなことを期待していますか?

SBI新生銀行の強みであるプロジェクトファイナンスのさらなる発展には、大容量のデータを安全で高速に共有するツールが必要です。今後もFleekdriveを活用していきたいと考えています。

ファイルがアップロードされたときの通知は、メールで届きますが、Teamsなどのグループウェアに届くようになるともっと便利になると思います。メールの場合、その通知が埋もれてしまい、リアルタイムに対応するのは難しいです。しかし、グループウェアに通知がくれば、埋もれることなく、より早く対応できます。

また、現在はスペースごとに通知されるユーザを設定して、どのようなファイルがアップロードされても、同じユーザに通知が届くようになっています。しかし、ファイルをアップロードするときに通知を飛ばすユーザを選ぶことができると、もっと利便性が高まると思います。安定的にサービスを提供していただくことはもちろん、グループウェアへの通知ができるようになったり、通知先を選べるようになるなど、さらに便利に使えるようになることを期待しています。