製造業の現場では、図面や仕様書に限らず、取引文書・社内規程・検査記録など、社内外の複数人が扱う業務ファイルが日常的に発生します。ファイルサーバーやオンラインストレージの整備が進み、ファイルの「置き場所」は整いつつある一方で、過去のファイルの検索や最新版・改訂履歴の管理、社外との大容量データの共有、工場や外出先からのアクセス、そして保存した後の確認・承認の依頼、変更内容の連絡、配布、台帳への転記といった作業は、メールやチャット、口頭など、保存場所の外側の手段に分かれて発生しがちです。

こうした目に見えにくい負担は、大きな障害としては表面化しにくいものの、探す時間や承認待ち、伝達漏れによる手戻りとして、日常業務のなかに少しずつ積み上がっていきます。当社が先に公表した「ファイル管理と業務効率化の実態調査」(2026年4月)では、ファイル管理ツールの選定軸が「価格・容量」から「自動化・定着性」へ移りつつある実態を、「IT・情報通信業における文書管理実態調査」(2026年6月)では、選定基準が「情報の一元管理」「検索性」「バージョン管理」に集約される構造を示してきました。

そこで株式会社Fleekdriveは今回、従業員数100名以上の製造業に焦点をあて、ファイルの保管・共有の実態と、保存後に発生する“隠れた業務負担”の実像を網羅的に把握するとともに、そこに費やされている時間や、手戻り・納期遅延などの影響を数値化し、製造業がファイル管理サービスに求める基準を明らかにするため、本調査を実施しました。

Contents

調査サマリー

  • 製造業の54.6%が「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」、50.0%が「最新版や改訂履歴がわかりにくい」と回答。直近1年間で43.5%が「必要なファイルが見つからず、業務が滞った」経験
  • 約4割が、ファイル保存・更新後の「確認・承認の進捗把握や再連絡」を保存場所とは別の手段で実施。ファイルの検索・共有や保存後の連絡などに「週1時間以上」を費やす割合は43.6%
  • ファイル管理サービスの選定基準、第1位は「最新版と改訂履歴がすぐにわかること」(46.3%)。「導入・運用にかかる費用」は10.2%にとどまり、選定基準は「保管できること」から「ファイル業務全体を効率化できること」へ

調査概要

  • 調査名称:製造業のファイル管理における「隠れた業務負担」の実態調査
  • 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
  • 調査期間:2026年8月14日〜同年8月18日
  • 有効回答:従業員数100名以上の製造業に勤務する正社員で、直近1ヶ月以内に、社内外の複数人が扱う業務ファイルについて、作成・保存・更新・送付・配布・共有設定・承認依頼・承認・整理のいずれかを自ら行った108名
    ※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

製造業のファイル管理における「隠れた業務負担」の実態調査

製造業の正社員が日常的に扱う電子ファイル、「仕様書・技術資料」「社内規程・マニュアル・教育資料」がともに45.4%で首位

「Q1. あなたが、業務で日常的に扱っている電子ファイルの種類を教えてください。(複数回答)」(n=108)

「仕様書・技術資料」と「社内規程・マニュアル・教育資料」がともに45.4%で最も多く、「作業手順書・作業標準書」が43.5%と続きました。図面・CADデータなどの設計データ(35.2%)や検査記録・品質関連文書(29.6%)も含め、製造業では品質・技術に直結するファイルが日常的に扱われている実態がうかがえます。

  • 仕様書・技術資料:45.4%
  • 社内規程・マニュアル・教育資料:45.4%
  • 作業手順書・作業標準書:43.5%
  • 見積書・発注書・請求書・納品書などの取引文書:39.8%
  • 図面・CADデータなどの設計データ:35.2%
  • 契約書・取引先との合意文書:35.2%
  • 生産計画・工程管理・BOM(部品表)などの資料:30.6%
  • 検査記録・品質関連文書:29.6%
  • その他:2.8%
  • わからない/答えられない:6.5%

業務ファイルの保管・共有は「社内のファイルサーバー」60.2%が最多、「メール添付による送付」も49.1%。受け渡しの経路が複線化している

「Q2. あなたが、業務ファイルの保管・共有・受け渡しに使用している場所や手段を教えてください。(複数回答)」(n=108)

「社内のファイルサーバー」が60.2%で最も多く、「メール添付による送付」が49.1%、「オンラインストレージ・クラウドストレージ」が45.4%と続きました。ファイルの「置き場所」は整いつつある一方で、紙での保管・回覧(25.0%)、個人のパソコンやUSBなどの外部メディア(25.0%)も残っており、保管と受け渡しの経路が複数に分かれている実態が浮かび上がりました。

  • 社内のファイルサーバー:60.2%
  • メール添付による送付:49.1%
  • オンラインストレージ・クラウドストレージ:45.4%
  • チャットツールへの投稿・共有:38.0%
  • 文書管理システム:29.6%
  • 自分のパソコン内、USBなどの外部メディア:25.0%
  • 電子ファイルを印刷し、紙で保管・回覧:25.0%
  • 生産管理・基幹などの業務システム:22.2%
  • その他:0.0%
  • わからない/答えられない:3.7%

54.6%が「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」、半数が「最新版や改訂履歴がわかりにくい」と回答

「Q3. あなたが、業務ファイルの取り扱いに関して、現在非効率だと感じていることを教えてください。(複数回答)」(n=108)

「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」が54.6%で最も多く、「業務ファイルの最新版や改訂履歴がわかりにくい」が50.0%と続きました。「大容量ファイルを協力会社など社外と共有しづらい」「確認・承認の依頼や変更内容の連絡に手間がかかる」もそれぞれ30.6%にのぼり、「特に非効率は感じていない」は4.6%にとどまりました。

  • 過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる:54.6%
  • 業務ファイルの最新版や改訂履歴がわかりにくい:50.0%
  • 大容量ファイルを協力会社など社外と共有しづらい:30.6%
  • 確認・承認の依頼や変更内容の連絡に手間がかかる:30.6%
  • 工場や外出先から、必要なファイルを確認しづらい:25.0%
  • アクセス権限や操作履歴の管理に手間がかかる:23.1%
  • その他:0.9%
  • 特に非効率は感じていない:4.6%
  • わからない/答えられない:1.9%

約4割が、ファイル保存・更新後の「確認・承認の進み具合の把握や再連絡」を別手段で実施。保存した場所だけで完結しない“隠れた業務負担”

「Q4. あなたが、業務ファイルを保存・更新した後に発生する作業のうち、ファイルを保存した場所だけでは完結せず、別の手段を併用しているものを教えてください。(複数回答)」(n=108)

「確認・承認の進み具合の把握や再連絡」が38.9%で最も多く、「上長や関係者への確認・承認の依頼」「社内外の相手への送付・配布」がともに35.2%と続きました。一方、「いずれも、ファイルを保存した場所で完結している」は6.5%にとどまり、ファイルを保存した後の確認・承認・連絡・配布が、メールやチャットなど保存場所の外側の手段にこぼれ落ちている実態が明らかになりました。

  • 確認・承認の進み具合の把握や再連絡:38.9%
  • 上長や関係者への確認・承認の依頼:35.2%
  • 社内外の相手への送付・配布:35.2%
  • ファイルの更新や変更内容の関係者への連絡:28.7%
  • 共有設定やアクセス権限の設定・変更:21.3%
  • 台帳・管理表への転記:15.7%
  • その他:0.9%
  • いずれも、ファイルを保存した場所で完結している:6.5%
  • 特に作業は発生していない:10.2%
  • わからない/答えられない:2.8%

ファイル管理の付帯作業、約半数(43.6%)が「週1時間以上」を浪費。4人に1人は週2時間以上

「Q5. あなたが、業務ファイルの検索・共有、保存・更新後の連絡・配布、権限設定や台帳への転記などに費やしている時間は、1週間あたり平均でどの程度ですか。」(n=108)

ファイルの検索・共有、保存・更新後の連絡などの付帯作業に「週1時間以上」を費やす回答者が43.6%にのぼることがわかりました。さらに、4人に1人(26.0%)は「週2時間以上」を費やしており、特定層への業務集中も見受けられます。「週30分以上」の層まで含めると全体の80.6%に達し、1回あたりは数分の作業であっても、多くの社員にとって細かな「名もなき業務」が常態化し、見過ごせない負担となっている実態がうかがえます。

  • 30分未満:13.0%
  • 30分以上1時間未満:37.0%
  • 1時間以上2時間未満:17.6%
  • 2時間以上4時間未満:16.7%
  • 4時間以上8時間未満:6.5%
  • 8時間以上:2.8%
  • わからない/答えられない:6.5%

配布・共有したファイルを「相手が最新版を確認したか把握できていない」は40.8%

「Q6. あなたは、社内外に配布・共有した業務ファイルについて、相手が最新版を確認したかどうかを把握できていると思いますか。」(n=108)

「あまりそう思わない」が30.6%、「全くそう思わない」が10.2%という回答となりました。両者を合わせると40.8%に達し、配布・共有した後に「相手が最新版を確認したかどうか」を把握できていない回答者が4割を超えています。ファイルは“送った”後も、確認状況の把握という業務が残り続けています。

  • 非常にそう思う:14.8%
  • ややそう思う:37.0%
  • あまりそう思わない:30.6%
  • 全くそう思わない:10.2%
  • ファイルを配布・共有する機会はない:0.0%
  • わからない/答えられない:7.4%

直近1年間で「必要なファイルが見つからず、業務が滞った」は43.5%、「確認・承認が滞り、生産や業務の予定が遅れた」は38.9%

「Q7. あなたが、業務ファイルの取り扱いに関して、直近1年間に経験したことを教えてください。(複数回答)」(n=108)

「必要なファイルが見つからず、業務が滞った」が43.5%で最も多く、「確認・承認が滞り、生産や業務の予定が遅れた」が38.9%、「更新が関係者に伝わらず、再確認や手戻りが発生した」が32.4%と続きました。「改訂前の図面・手順書で作業が進み、手戻りが発生した」(18.5%)、「監査やISO審査で、必要な記録を集めるのに苦労した」(16.7%)など、ファイル管理の不備が生産・品質・監査対応にまで影響している実態が明らかになりました。

  • 必要なファイルが見つからず、業務が滞った:43.5%
  • 確認・承認が滞り、生産や業務の予定が遅れた:38.9%
  • 更新が関係者に伝わらず、再確認や手戻りが発生した:32.4%
  • 改訂前の図面・手順書で作業が進み、手戻りが発生した:18.5%
  • 監査やISO審査で、必要な記録を集めるのに苦労した:16.7%
  • 機密ファイルを意図しない相手に送信してしまった:10.2%
  • その他:1.9%
  • 特に経験していない:12.0%
  • 該当する業務に関わる機会はない:1.9%
  • わからない/答えられない:2.8%

製造業がファイル管理サービスに求める基準、第1位は「最新版と改訂履歴がすぐにわかること」46.3%。「導入・運用にかかる費用」は10.2%どまり

「Q8. あなたが、業務ファイルを扱う製品やサービスを選ぶとしたら、どのような条件を重視するか教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=108)

「最新版と改訂履歴がすぐにわかること」が46.3%で最も多く、「過去のファイルを素早く探し出せること」が44.4%、「セキュリティ・情報漏えい対策」が37.0%と続きました。さらに「承認・通知・配布を同じ環境で進められること」も34.3%にのぼる一方、「導入・運用にかかる費用」は10.2%にとどまりました。本調査の結果から、製造業におけるファイル管理サービスの選定基準は、費用よりも『最新版・改訂履歴の即時把握』『過去ファイルへの検索性』『セキュリティ』の3点に集約されます。重視される基準が、「保管できること」から、最新版に確実にたどり着き、承認・通知・配布までを同じ環境で完結できる「ファイル業務全体を効率化できること」へと移っている実態が示されました。

  • 最新版と改訂履歴がすぐにわかること:46.3%
  • 過去のファイルを素早く探し出せること:44.4%
  • セキュリティ・情報漏えい対策:37.0%
  • 承認・通知・配布を同じ環境で進められること:34.3%
  • 誰がいつ閲覧・操作したかの記録が残ること:17.6%
  • 大容量ファイルを社内外と安全に共有できること:13.0%
  • 導入・運用にかかる費用:10.2%
  • 自社の承認ルールや業務の進め方に合わせやすいこと:3.7%
  • その他:0.0%
  • わからない/答えられない:5.6%

「全員が同じファイルにアクセスしていることを保証できること」「機密情報のレベルによる権限設定の容易さ」などの声も

「Q9. Q8で「わからない/答えられない」以外を回答した方にお聞きします。Q8で回答した以外に、業務ファイルを扱う製品やサービスを選ぶ際に重視する条件があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=102)

73の回答を得ることができました。

<自由回答・一部抜粋>
  • 全員が同じファイルにアクセスしていることを保証できること(ローカルコピーを作れない=ショートカットやエイリアスになること)。
  • 機密情報のレベルによる権限設定の容易さ。
  • 依頼からの時系列が把握できる。
  • 保守がしっかりしていること。

まとめ

今回は、従業員数100名以上の製造業に勤務し、社内外の複数人が扱う業務ファイルの作成・保存・更新・送付・配布・共有設定・承認依頼・承認・整理のいずれかを直近1ヶ月以内に自ら行った正社員108名を対象に、ファイル管理における「隠れた業務負担」の実態を調査しました。

業務ファイルの保管・共有は「社内のファイルサーバー」(60.2%)を筆頭に、メール添付(49.1%)、オンラインストレージ(45.4%)、紙での保管・回覧(25.0%)まで複数の経路が併存していました。非効率と感じることの第1位は「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」(54.6%)で、半数が「最新版や改訂履歴がわかりにくい」と回答しています。さらに、約4割がファイルの保存・更新後に「確認・承認の進み具合の把握や再連絡」を保存場所とは別の手段で行っており、ファイルの検索・共有や保存後の連絡などに「週1時間以上」を費やす回答者は43.6%にのぼりました。配布・共有したファイルを「相手が最新版を確認したか把握できていない」は40.8%に達し、直近1年間では43.5%が「必要なファイルが見つからず、業務が滞った」、38.9%が「確認・承認が滞り、生産や業務の予定が遅れた」経験をしています。ファイル管理サービスの選定基準では、「最新版と改訂履歴がすぐにわかること」(46.3%)、「過去のファイルを素早く探し出せること」(44.4%)、「セキュリティ・情報漏えい対策」(37.0%)が上位に並び、「導入・運用にかかる費用」は10.2%にとどまりました。

本調査から、製造業のファイル管理の課題が、ファイルの「置き場所」を整えるだけでは解消されない構造が浮かび上がりました。ファイルサーバーやクラウドの導入で保管環境が整っても、保存した後の確認・承認の依頼、変更内容の連絡、配布、台帳への転記といった作業が、保存場所の外側で発生し続けるといった、保存した場所だけでは完結しない見えにくい作業の積み重ねこそが、本調査が明らかにした製造業のファイル管理における「隠れた業務負担」です。選定基準として「最新版と改訂履歴がすぐにわかること」が費用を大きく上回った結果は、製造業のファイル管理製品に求められる水準が、「保管できること」から、最新版に確実にたどり着き、確認・承認・配布までを同じ環境で完結できる「ファイル業務全体を効率化できること」へ引き上がっていることを示しています。

製造業のファイル管理の課題は、保管場所の不足ではなく、保存後の確認・承認・連絡・配布が保存場所の外側で発生し続ける「隠れた業務負担」へと再定義する段階に入っています。ファイルの「置き場所」を整えるだけでは、探す時間・承認待ち・伝達漏れによる手戻りは解消されません。製造業の現場で求められるファイル管理サービスの要件は、「保管できること」から、「最新版と改訂履歴の即時把握」「過去ファイルへの検索性」「セキュリティ」を基本に、「承認・通知・配布を同じ環境で完結できること」までを含めた「ファイル業務全体を効率化できること」へと引き上がっています。