IT・情報通信業では、開発や提案、保守運用の現場で扱う文書の種類と量が増え続けています。仕様書や設計書、議事録、手順書、ナレッジ、提案書など、業務の判断材料となる文書は、社内ファイルサーバやクラウドストレージ(インターネット経由でデータを保管するサービス)、ビジネスチャット、個人のPCなど、複数の場所に分かれて保管される傾向があります。
ツールの選択肢が広がる一方で、文書がどこにあるか分かりにくい、どれが最新版か判別できない、担当者が代わると所在が分からなくなるといった、保管はできていても活用に至らない状態が生まれやすくなっています。こうした問題は大きな障害としては表面化しにくく、探す時間や古い情報による手戻りとして、日常業務のなかに少しずつ積み上がっていきます。
弊社が先に公表した「ファイル管理と業務効率化の実態調査」(2026年4月)では、ファイル管理ツールの選定軸が「価格・容量」から「自動化・定着性」へ移りつつある実態を示しました。文書管理の領域でも同様に、どれだけ保管できるかより、必要な文書の最新版に必要な人がいつでもアクセスできるかが問われ始めています。
そこで株式会社Fleekdriveは、IT・情報通信業の現場で文書管理に携わる担当者を対象に、文書の保管実態と手戻り・属人化の発生状況、文書管理ツールに求められる基準を明らかにするため、本調査を実施しました。
Contents
- 1 調査サマリー
- 2 調査概要
- 3 IT・情報通信業における文書管理実態調査
- 3.1 業務文書の保管先は「社内ファイルサーバ」57.5%が最多、クラウド・チャット・個人PCまで複数の経路が併存
- 3.2 業務文書が「2つ以上の場所・ツールに分散」は75.0%、文書の分散が常態化
- 3.3 「どのツール・どこを探せばよいか迷う」経験は84.9%、文書の所在が分かりにくい実態
- 3.4 文書の分散による問題、第1位は「探すのに時間がかかる」59.1%、「どれが最新版か分からなくなる」も42.1%
- 3.5 古い文書による手戻り・トラブルの経験は84.5%、「時々ある」が約半数
- 3.6 文書が最新でない理由の第1位は「どれが最新版か判別する仕組みがない」55.9%、鮮度を保つ仕組みの不在が露呈
- 3.7 前任者の退職・異動時に8割超が困った経験、「必要な文書が見つからず探すのに時間」43.9%/文書の属人化リスクが顕在化
- 3.8 文書管理状況が業務効率に「影響している」は72.7%、文書管理が日常業務の生産性を左右
- 3.9 探す時間や手戻りで「週1時間以上」のロスが53.8%、見えにくい時間コストが積み上がる
- 3.10 IT・情報通信業の文書管理ツール「選定の3基準」は『一元管理』『検索性』『バージョン管理』/第1位は「情報の一元管理」64.6%、容量重視は16.0%どまり
- 4 まとめ
調査サマリー
※以下の数値はすべて株式会社Fleekdrive調べ。IT・情報通信業に勤務し、業務文書の管理・参照に携わる会社員212名への調査(2026年6月)による。
- 業務文書の保管先は「社内ファイルサーバ」57.5%を筆頭に、チャット・クラウド・個人PCまで複数の経路が併存
- 業務文書が「2つ以上の場所・ツールに分散」は75.0%で、文書の分散が常態化
- 「どこを探せばよいか迷う」経験は84.9%、古い文書による手戻り・トラブルの経験は84.5%
- 手戻りの理由トップは「どれが最新版か判別する仕組みがない」55.9%
- 前任者の退職・異動時に文書をめぐる支障を経験したのは8割超、文書の属人化リスクが顕在化
- 文書管理状況が業務効率に「影響している」は72.7%、探す時間・手戻りで「週1時間以上」ロスが53.8%
- 文書管理ツールに重要な基準トップは「情報の一元管理」64.6%、次いで「検索のしやすさ」54.7%、「バージョン管理」47.2%
調査概要
- 調査名称:IT・情報通信業における文書管理実態調査
- 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
- 調査期間:6月23日〜同年6月24日
- 有効回答:IT・情報通信業に勤務し、業務上の文書の管理・参照に携わる会社員212名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
IT・情報通信業における文書管理実態調査
業務文書の保管先は「社内ファイルサーバ」57.5%が最多、クラウド・チャット・個人PCまで複数の経路が併存
「Q2. お勤め先が業務上の文書を保管・参照している場所・ツールを、あてはまるもの全て教えてください。(複数回答)」(n=212)
「社内のファイルサーバ(NAS・共有フォルダ)」が57.5%で最も多く、「ビジネスチャットのファイル機能(Slack、Teams等)」が51.9%、「クラウドストレージ(Googleドライブ、Box、Dropbox等)」が50.0%と続きました。さらに「個人のPC・個人アカウントのドライブ」が34.0%、「文書管理システム・専用の文書管理ツール」が33.0%となり、保管先が一つに定まらず、複数の経路に分かれて文書が置かれている実態が浮かび上がりました。

- 社内のファイルサーバ(NAS・共有フォルダ):57.5%
- ビジネスチャットのファイル機能(Slack、Teams等):51.9%
- クラウドストレージ(Googleドライブ、Box、Dropbox等):50.0%
- 個人のPC・個人アカウントのドライブ:34.0%
- 文書管理システム・専用の文書管理ツール:33.0%
- 社内Wiki・情報共有ツール(Confluence、Notion等):32.1%
- 紙の書類・キャビネット:25.5%
- メール添付の履歴:21.2%
- その他:0.5%
- わからない/答えられない:4.7%
業務文書が「2つ以上の場所・ツールに分散」は75.0%、文書の分散が常態化
「Q3. 業務上の文書は、おおむねいくつの場所・ツールに分かれて保管されていますか。」(n=212)
「2〜3つに分かれている」が43.4%、「4〜5つに分かれている」が19.8%、「6つ以上に分かれている」が11.8%という回答となりました。2つ以上に分かれていると答えた担当者は合計75.0%に達し、「1つにまとまっている」は12.7%にとどまりました。業務文書が複数の場所に分散して保管されている状態が、多くの現場で常態化しています。

- 1つにまとまっている:12.7%
- 2〜3つに分かれている:43.4%
- 4〜5つに分かれている:19.8%
- 6つ以上に分かれている:11.8%
- わからない/答えられない:12.3%
「どのツール・どこを探せばよいか迷う」経験は84.9%、文書の所在が分かりにくい実態
「Q4. 業務で必要な文書について、『どのツール・どの場所を探せばよいか分からない』と迷うことはありますか。」(n=212)
「よくある」が20.3%、「時々ある」が35.8%、「たまにある」が28.8%という回答となりました。頻度の差はあるものの、必要な文書を探す際に「どこを探せばよいか迷う」経験があると答えた担当者は合計84.9%に達しました。文書がどこにあるか分かりにくい状況が、日常的に発生しています。

- よくある:20.3%
- 時々ある:35.8%
- たまにある:28.8%
- ほとんどない:9.9%
- 全くない:1.9%
- わからない/答えられない:3.3%
文書の分散による問題、第1位は「探すのに時間がかかる」59.1%、「どれが最新版か分からなくなる」も42.1%
「Q5. 文書が複数の場所・ツールに分かれていることで生じている手間や問題を、あてはまるもの全て教えてください。(複数回答)」(n=159 ※Q3で「2つ以上に分かれている」と回答した方)
文書が複数の場所・ツールに分かれていると回答した方に、それによって生じている手間や問題を聞いたところ、「目的の文書を探すのに時間がかかる」が59.1%で最も多く、「どれが最新版か分からなくなる」が42.1%、「必要な文書に自力でたどり着けないことがある」が32.1%と続きました。分散が「探しにくさ」と「最新版の分かりにくさ」を同時に生んでいる構造がうかがえます。

- 目的の文書を探すのに時間がかかる:59.1%
- どれが最新版か分からなくなる:42.1%
- 必要な文書に自力でたどり着けないことがある:32.1%
- 同じ内容を複数の場所に転記・コピーする作業が発生する:31.4%
- 古い情報を参照してしまうことがある:30.2%
- 同じ文書を複数のツールで二重に管理している:27.0%
- 担当者本人しか保管場所を把握していない:17.0%
- 特に手間や問題は感じていない:6.9%
- その他:0.0%
- わからない/答えられない:0.6%
古い文書による手戻り・トラブルの経験は84.5%、「時々ある」が約半数
「Q6. 参照した文書が最新の内容ではなく(古い情報のまま)、手戻りやトラブルにつながった経験はありますか。」(n=212)
「頻繁にある」が9.9%、「時々ある」が49.1%、「一度はある」が25.5%という回答となりました。古い情報のままの文書を参照して手戻りやトラブルにつながった経験があると答えた担当者は合計84.5%に達し、「全くない」は9.9%にとどまりました。多くの現場で、文書の鮮度に起因する手戻りが起きています。

- 頻繁にある:9.9%
- 時々ある:49.1%
- 一度はある:25.5%
- 全くない:9.9%
- わからない/答えられない:5.7%
文書が最新でない理由の第1位は「どれが最新版か判別する仕組みがない」55.9%、鮮度を保つ仕組みの不在が露呈
「Q7. 『文書が最新でない・更新が追いつかない』状況が起きる主な理由として、あてはまるものを教えてください。(複数回答)」(n=179 ※Q6で手戻り・トラブルの経験ありと回答した方)
Q6で手戻りやトラブルの経験があると答えた方にその理由を聞いたところ、「どれが最新版か判別する仕組みがない」が55.9%で最も多く、「置き場所がバラバラで、更新の有無を追えない」が43.0%、「更新・管理のルールが定まっていない」が38.5%と続きました。文書が古くなる原因が、担当者個人の不注意ではなく、最新版を判別し更新を追う仕組みそのものの不在にあることが示されました。

- どれが最新版か判別する仕組みがない:55.9%
- 置き場所がバラバラで、更新の有無を追えない:43.0%
- 更新・管理のルールが定まっていない:38.5%
- 更新する担当・責任の所在が曖昧:33.5%
- そもそも更新されないまま放置されている:20.7%
- その他:1.7%
- わからない/答えられない:2.8%
前任者の退職・異動時に8割超が困った経験、「必要な文書が見つからず探すのに時間」43.9%/文書の属人化リスクが顕在化
「Q8. 前任者の退職・異動の際に、その人の個人PCや個別のツールにしか存在しない文書で困った経験について、あてはまるものを全て教えてください。(複数回答)」(n=212)
前任者の退職や異動の際に、その人の個人PCや個別のツールにしか存在しない文書で困った経験を聞いたところ、「必要な文書が見つからず、探すのに時間がかかった」が43.9%、「前任者にしか分からず、内容を再現・作り直すことになった」が38.2%、「新メンバーの引き継ぎ・立ち上がりが遅れた」が30.7%という回答となりました。「特に困った経験はない」は17.0%にとどまり、8割超が何らかの支障を経験しています。文書が特定の担当者に紐づく属人化(特定の担当者しか所在や内容を把握していない状態)が、引き継ぎの遅れやナレッジの消失につながっています。

- 必要な文書が見つからず、探すのに時間がかかった:43.9%
- 前任者にしか分からず、内容を再現・作り直すことになった:38.2%
- 新メンバーの引き継ぎ・立ち上がりが遅れた:30.7%
- 全社共通の置き場がなく、新任者がどこを見ればよいか分からなかった:23.6%
- 過去の経緯やナレッジが失われた:18.4%
- 特に困った経験はない:17.0%
- その他:0.0%
- わからない/答えられない:2.4%
文書管理状況が業務効率に「影響している」は72.7%、文書管理が日常業務の生産性を左右
「Q9. 文書の管理状況は、あなたの日常業務の効率にどの程度影響していると感じますか。」(n=212)
「非常に影響している」が13.7%、「ある程度影響している」が59.0%という回答となりました。両者を合わせると72.7%に達し、文書の管理状況が日常業務の効率に影響していると感じている担当者が多数を占めました。文書管理が、個人の作業効率を左右する要素になっています。

- 非常に影響している:13.7%
- ある程度影響している:59.0%
- どちらともいえない:14.2%
- あまり影響していない:10.4%
- まったく影響していない:2.4%
- わからない/答えられない:0.5%
探す時間や手戻りで「週1時間以上」のロスが53.8%、見えにくい時間コストが積み上がる
「Q10. 文書を探す時間や、古い資料による手戻りなどで、業務上ロスしている時間は、週あたりどのくらいだと思いますか。」(n=212)
文書を探す時間や、古い資料による手戻りなどで業務上ロスしている時間を聞いたところ、「週5時間以上」が5.2%、「週3〜5時間程度」が21.2%、「週1〜3時間程度」が27.4%という回答となりました。週1時間以上をロスしていると答えた担当者は合計53.8%に達します。一件ずつは小さく見えても、探す時間と手戻りが積み重なり、無視できない時間コストとなっています。

- 週5時間以上:5.2%
- 週3〜5時間程度:21.2%
- 週1〜3時間程度:27.4%
- 週1時間未満:28.8%
- ほとんどない:11.3%
- わからない/答えられない:6.1%
IT・情報通信業の文書管理ツール「選定の3基準」は『一元管理』『検索性』『バージョン管理』/第1位は「情報の一元管理」64.6%、容量重視は16.0%どまり
「Q11. 文書管理ツールに本当に重要だと感じる基準を3つまで教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=212)
文書管理ツールに本当に重要だと感じる基準を聞いたところ、「情報を一元管理できること(正本を1か所に集約)」が64.6%で最も多く、「検索のしやすさ(目的の文書にすぐたどり着ける)」が54.7%、「バージョン管理(最新版・更新履歴の管理)ができること」が47.2%と続きました。一方で「保存容量の大きさ」は16.0%にとどまりました。本調査の結果から、IT・情報通信業における文書管理ツールの選定基準は、保存容量よりも『正本の一元管理』『検索性』『バージョン管理』の3点に集約されます(株式会社Fleekdrive調べ、n=212)。重視される基準が「容量」から、正本を一か所に集約し最新版にすぐたどり着ける設計へと移っている実態が示されました。

- 情報を一元管理できること(正本を1か所に集約):64.6%
- 検索のしやすさ(目的の文書にすぐたどり着ける):54.7%
- バージョン管理(最新版・更新履歴の管理)ができること:47.2%
- 操作ログ・監査性(誰がいつ閲覧・編集したか分かる):20.3%
- 細かな権限設定ができること:19.3%
- 保存容量の大きさ:16.0%
- 操作の使いやすさ:12.7%
- その他:0.5%
- わからない/答えられない:2.4%
まとめ
今回は、IT・情報通信業に勤務し、業務文書の管理や参照に携わる会社員212名を対象に、文書管理の実態を調査しました。
業務文書の保管先は「社内ファイルサーバ」57.5%を筆頭に複数の経路が併存し、75.0%が「2つ以上の場所・ツールに分散」していると回答しました。「どこを探せばよいか迷う」経験は84.9%にのぼり、古い文書による手戻りやトラブルの経験は84.5%に達しています。その理由の第1位は「どれが最新版か判別する仕組みがない」55.9%でした。前任者の退職・異動時には8割超が文書をめぐる支障を経験し、文書管理状況が業務効率に「影響している」と答えた担当者は72.7%、探す時間や手戻りで「週1時間以上」をロスしている担当者は53.8%にのぼりました。文書管理ツールに重要な基準としては「情報の一元管理」64.6%、「検索のしやすさ」54.7%、「バージョン管理」47.2%が上位に並びました。
本調査から、IT・情報通信業の文書管理は「保管できているか」ではなく「必要な文書の最新版に、必要な人がいつでもアクセスできるか」が問われる段階に入っている構造が浮かび上がりました。文書が複数の場所に分散し、どれが正本か判別する仕組みがないまま運用されることで、必要な文書の所在と最新版が分からなくなる「正本の所在不明」が生じ、探す時間と古い情報による手戻りが日常業務に積み上がっています。さらに、文書が特定の担当者に紐づく属人化は、退職・異動のたびに「正本の所在不明」を深刻化させ、引き継ぎの遅れやナレッジの消失を招きます。重視される基準が「容量」から「集約・検索・バージョン管理」へと移っている結果は、文書管理の論点が「どれだけ保管できるか」から「正本を一か所に集約し、最新版に確実にたどり着けるようにするか」へ移っていることを示しています。
| 文書管理の課題は、保管場所の不足ではなく、必要な文書の所在と最新版が分からなくなる「正本の所在不明」へと再定義する段階に入っています。文書が分散し、どれが正本か判別する仕組みがないまま運用されることで、探す時間・古い情報による手戻り・属人化によるナレッジ消失が生じ、業務効率と引き継ぎの質を直接左右します。IT・情報通信業の現場で求められる文書管理ツールの要件は、容量中心の選び方から、「正本の一元管理」「検索のしやすさ」「バージョン管理」を中核に据える方向へとシフトしています。 |
こうした市場構造の変化に対して、株式会社Fleekdriveが展開する企業向けオンラインストレージ「Fleekdrive」は、約1,000社・30万ユーザ以上、世界190カ国の導入実績のもと、文書の一元管理、最新版を保つバージョン自動更新、目的の文書にたどり着くための全文検索、フォルダ単位の権限管理に重きを置いて開発・運用されています。文書の分散や属人化、最新版の分かりにくさといった現場の課題に対し、正本を一か所に集約し、最新の状態を保ちながら必要な人が必要な文書にたどり着ける環境づくりに貢献します。
