働き方の多様化と拠点の分散が進むなか、多拠点企業における拠点間ファイル共有の重要性は増し続けています。クラウドストレージをはじめとするツールの導入は広がり、担当者の多くは「拠点間のファイル共有はうまく回っている」と捉える傾向が見られます。一方で、本社と拠点間の情報鮮度の格差や、拠点ごとに異なる運用ルール、現場での定着のしにくさといった、多拠点運用ならではの課題が表面化しにくいまま蓄積している構造もあります。

現場では、最新情報が全拠点に行き渡るまでに時間がかかる、同じファイルを複数拠点で重複して作業してしまう、古い情報に基づいて判断が進んでしまうといった事象が繰り返し発生しています。これらは表立った障害としては認識されにくく、日常業務に織り込まれた「静かな業務ロス」として蓄積している状態です。

弊社が先に公表した「ファイル管理と業務効率化の実態調査」(2026年4月)では、ファイル管理ツールの選定軸が「価格・容量」から「自動化・定着性」へと移行しつつある実態を示しました。多拠点企業ではこの流れに加え、「拠点間で情報をどう揃え、どう運用定着させるか」という固有の論点が浮上しています。

そこで、株式会社Fleekdriveは、本調査の続編として、多拠点企業のファイル共有業務に携わる担当者を対象に、多拠点企業がクラウドストレージを選ぶ際に重視すべき要件を明らかにするため、本実態調査を実施しました。

Contents

調査サマリー

  • 拠点間ファイル共有、約9割(86.4%)が「スムーズに行えている」と回答
  • 一方、業務上の具体的な影響としては半数が「同じファイルの重複作業」、47.1%が「誤った情報に基づいて業務を進めた」を経験(Q3で課題ありと回答した n=102ベース)
  • 「うまくいっている」の裏で、誤情報と重複作業が日常業務に織り込まれた「静かな業務ロス」の構造
  • 最新情報が全拠点に届くまで「30分以上」が40.0%、課題トップは「古い情報のまま業務を進めてしまった」44.5%
  • ツール選定で最も重視されるのは「大容量データの高速転送」52.7%、ファイル管理統一の最大障壁は「全拠点への教育・研修コスト」52.7%
  • ツール統一・導入に向けた動きは70.0%に(完了23.6%+進行中46.4%)。市場の多くが既存環境の「静かな業務ロス」を課題視し、環境改善へと踏み出している
  • 今後最も改善したいのは「情報共有スピードの向上」40.9%

調査概要

  • 調査名称:多拠点企業におけるファイル共有の実態調査
  • 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
  • 調査期間:2026年4月13日〜同年4月14日
  • 有効回答:従業員数200名以上かつ本社以外に拠点を持つ企業に勤務し、拠点間のファイル共有業務に携わるIT部門・DX推進部門・総務・管理部門の担当者110名
    ※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。

多拠点企業におけるファイル共有の実態調査

多拠点企業の86.4%が拠点間ファイル共有を「スムーズ」と回答。
“主観評価”だけでは見えない多拠点運用の実態が明らかに

「Q1. あなたのお勤め先で、複数の拠点間でのファイル共有は、どの程度スムーズに行えていますか。」(n=110)

「非常にスムーズに行えている」が38.2%、「ややスムーズに行えている」が48.2%という回答となりました。担当者の約9割が拠点間のファイル共有を「スムーズ」と回答している一方で、約1割(12.7%)は「あまりスムーズでない」と感じている実態が明らかになりました。

  • 非常にスムーズに行えている:38.2%
  • ややスムーズに行えている:48.2%
  • あまりスムーズに行えていない:12.7%
  • わからない/答えられない:0.9%

最新情報が全拠点に届くまで「30分以上」が40.0%、うち約10%が「半日以上かかる」と回答

「Q2. 拠点間のファイル共有において、最新情報が全拠点に行き渡るまでにかかる時間はどのくらいですか。」(n=110)

「数分〜30分程度」が32.7%、「30分〜1時間程度」が29.1%、「半日程度」が9.1%、「1日以上」が1.8%という回答となりました。最新情報の全拠点共有に「30分以上」を要している担当者は合計40.0%に達し、うち10.9%は「半日以上」を要しています。拠点間で情報の時間差が常態化している実態が浮かび上がりました。

  • 即時〜数分程度:19.1%
  • 数分〜30分程度:32.7%
  • 30分〜1時間程度:29.1%
  • 半日程度:9.1%
  • 1日以上:1.8%
  • 把握できていない:5.5%
  • わからない/答えられない:2.7%

拠点間ファイル共有の課題、「古い情報のまま業務を進めてしまった」が第1位で44.5%、拠点間の“情報鮮度の差”が業務判断の質を左右

「Q3. 拠点間のファイル共有で課題だと感じる場面を教えてください。(複数回答)」(n=110)

「古い情報のまま業務を進めてしまったことがある」が44.5%、「本社と拠点で情報の鮮度に差がある」が42.7%、「大容量データの送受信に時間がかかる」が38.2%という回答となりました。上位2項目はいずれも情報鮮度に関わる課題となっており、拠点間の時間差が業務判断の質に直結している実態が示されました。

  • 古い情報のまま業務を進めてしまったことがある:44.5%
  • 本社と拠点で情報の鮮度に差がある:42.7%
  • 大容量データの送受信に時間がかかる:38.2%
  • 拠点ごとにファイルの保存ルールが異なる:33.6%
  • 拠点ごとに使用するツールが異なっている:29.1%
  • 各拠点のファイル操作状況を把握できない:16.4%
  • 拠点間のアクセス権限管理が煩雑である:9.1%
  • その他:0.9%
  • 特に課題はない:4.5%
  • わからない/答えられない:2.7%

ファイル共有の課題による影響について、2人に1人が「同じファイルの重複作業」と回答、次いで、「誤った情報で業務」が47.1%。認識と実態のギャップが鮮明に

「Q4. 拠点間のファイル共有の課題によって、実際に発生した業務上の影響を教えてください。(複数回答)」(n=102 ※Q3で「特に課題はない」「わからない/答えられない」以外を回答した方)

「同じファイルの重複作業が発生した」が50.0%、「誤った情報に基づいて業務を進めてしまった」が47.1%、「意思決定や承認に遅れが生じた」が36.3%という回答となりました。Q1で約9割が「スムーズ」と回答した一方、実際には約半数で重複作業や誤った情報に基づく業務が発生しており、主観評価と業務実態の間に大きなギャップが浮かび上がりました。

  • 同じファイルの重複作業が発生した:50.0%
  • 誤った情報に基づいて業務を進めてしまった:47.1%
  • 意思決定や承認に遅れが生じた:36.3%
  • セキュリティ上のリスクが発生した:30.4%
  • 顧客や取引先への対応が遅れた:25.5%
  • 拠点間の連携・信頼関係に支障が出た:10.8%
  • その他:0.0%
  • 特に影響はなかった:1.0%
  • わからない/答えられない:2.9%

利用中のファイル共有手段、第1位「クラウドストレージ」で55.5%、次いで「メール添付」「社内ファイルサーバ」が4割超で併存、共有経路の分散が情報鮮度の格差を生む構造に

「Q5. 複数の拠点間でファイルを共有する際に、現在使用している方法を教えてください。(複数回答)」(n=110)

「クラウドストレージ」が55.5%で首位となりました。一方で「社内ファイルサーバ(VPN接続含む)」「メール添付」がいずれも43.6%、「無料ファイル転送サービス」が28.2%、「USBメモリ等の物理媒体」が26.4%と、旧来型の手段が依然として高い割合で併用されています。多拠点環境において共有手段が一本化されておらず、経路の分散が情報鮮度の格差を生む一因になっている構造がうかがえます。

  • クラウドストレージ:55.5%
  • 社内ファイルサーバ(VPN接続含む):43.6%
  • メール添付:43.6%
  • 無料ファイル転送サービス:28.2%
  • USBメモリ等の物理媒体:26.4%
  • チャットツールの添付機能:21.8%
  • 社内ポータル・イントラネット:13.6%
  • その他:0.0%
  • 特に統一した方法はない:0.9%
  • わからない/答えられない:2.7%

「問題なく運用できている」81.8%の裏で、約半数が業務影響を経験
自己評価と業務実態のあいだに大きなギャップ

「Q6. 現在の拠点間ファイル共有の方法で、問題なく運用できていると思いますか。」(n=110)

「非常にそう思う」が30.9%、「ややそう思う」が50.9%という回答となりました。担当者の8割超が現在の運用を肯定的に評価している一方、Q4では約半数で具体的な業務への影響が発生しており、運用評価と業務実態が必ずしも一致していない状況が示されました。

  • 非常にそう思う:30.9%
  • ややそう思う:50.9%
  • あまりそう思わない:16.4%
  • わからない/答えられない:1.8%

ファイル管理統一の最大の障壁は「全拠点への教育・研修コスト」で52.7%、多拠点運用の論点は“導入のしやすさ”から“現場で定着する設計”へ

「Q7. 拠点間のファイル管理を統一する際に、障壁になると感じていることを教えてください。(複数回答)」(n=110)

「全拠点スタッフへの教育・研修コストがかかる」が52.7%、「現場スタッフの抵抗感・変更への反発がある」が37.3%、「拠点ごとに異なる業務プロセスへの対応が必要になる」が31.8%という回答となりました。一方、「予算の確保が難しい」は12.7%、「経営層の理解・承認が得にくい」は8.2%にとどまりました。障壁の中心が「予算」「経営層の理解」といった従来型の論点から、「現場でどう使い続けてもらうか」という運用定着を見据えたツール選定へと移っている実態が示されました。

  • 全拠点スタッフへの教育・研修コストがかかる:52.7%
  • 現場スタッフの抵抗感・変更への反発がある:37.3%
  • 拠点ごとに異なる業務プロセスへの対応が必要になる:31.8%
  • 既存ツールからの移行が難しい:29.1%
  • 統一ツールの選定基準が定まらない:29.1%
  • セキュリティ要件の調整が複雑になる:19.1%
  • 予算の確保が難しい:12.7%
  • 経営層の理解・承認が得にくい:8.2%
  • その他:0.0%
  • 特に障壁はない:4.5%
  • わからない/答えられない:2.7%

多拠点企業におけるファイル共有ツール選定で最も重視される条件、
「大容量データの高速転送」で52.7%。多拠点運用に求められる選定基準が浮き彫りに

「Q8. 拠点間のファイル共有ツールを統一・選定する際に重視する条件を教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=110)

「大容量データでも高速に転送できること」が52.7%、「多言語対応や拠点ごとのローカライズができること」が35.5%、「拠点ごとにアクセス権限・操作権限を細かく設定できること」が31.8%、「拠点間でリアルタイムに同期できること」が30.9%という回答となりました。一方で「コストパフォーマンスが高いこと」は10.9%にとどまりました。多拠点環境では、重い業務データを滞りなく流通させ、拠点ごとに異なる権限を一元管理し、更新を即時に反映するという3つの要件が選定の中核を占めている実態が明らかになりました。

  • 大容量データでも高速に転送できること:52.7%
  • 多言語対応や拠点ごとのローカライズができること:35.5%
  • 拠点ごとにアクセス権限・操作権限を細かく設定できること:31.8%
  • 拠点間でリアルタイムに同期できること:30.9%
  • 既存の業務フローに合った操作感であること:21.8%
  • 全拠点の操作ログを一元的に把握できること:14.5%
  • コストパフォーマンスが高いこと:10.9%
  • その他:0.0%
  • 特に重視していない:0.0%
  • わからない/答えられない:3.6%

ツール統一・導入に向けた動きは70.0%(完了23.6%+進行中46.4%)。既存環境の「静かな業務ロス」を見直し、最適な環境構築へ向かうフェーズへ

「Q9. 拠点間のファイル共有ツールの統一・導入検討は、現在どの段階にありますか。」(n=110)

「すでに統一・導入が完了している」が23.6%、「現在、導入・移行を進めている」が46.4%という回答となりました。両者を合わせると70.0%に達し、多拠点企業の多くが、既存のファイル共有方法に潜む「静かな業務ロス」に課題を感じ、その解消に向けて新たなツールの導入や環境の見直しへと踏み出している実態が示されました。

  • すでに統一・導入が完了している:23.6%
  • 現在、導入・移行を進めている:46.4%
  • ツールの選定・比較検討をしている:14.5%
  • 必要性は感じているが、具体的な検討は始めていない:5.5%
  • 現時点では検討の予定はない:4.5%
  • わからない/答えられない:5.5%

今後改善したい点、トップは「情報共有スピードの向上」40.9%、改善テーマは“スピード・教育・ルール統一”、多拠点運用の選定基準が再定義されつつある現状が浮き彫りに

「Q10. 拠点間のファイル共有に関して、今後最も改善したいことを教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=110)

「拠点間の情報共有スピードを向上させること」が40.9%、「ファイル管理に関する社内教育・リテラシーを向上させること」が37.3%、「ファイル共有のルール・運用方針を全社で統一すること」が35.5%という回答となりました。改善テーマの上位に「スピード」「教育・リテラシー」「ルール・運用」が並び、多拠点企業が次に向き合うべき論点が「ツール統一を通じて、いかに運用を定着させ、情報鮮度を確保するか」に集約されている実態が示されました。

  • 拠点間の情報共有スピードを向上させること:40.9%
  • ファイル管理に関する社内教育・リテラシーを向上させること:37.3%
  • ファイル共有のルール・運用方針を全社で統一すること:35.5%
  • 経営層の理解を得て十分な予算を確保すること:26.4%
  • セキュリティポリシーを整備・統一すること:25.5%
  • ファイル共有業務の属人化を解消すること:15.5%
  • 災害・障害時のデータ保全体制を整備すること:6.4%
  • その他:0.0%
  • 特に改善したいことはない:0.0%
  • わからない/答えられない:3.6%

まとめ

今回は、従業員数200名以上かつ本社以外に拠点を持つ企業に勤務し、拠点間のファイル共有業務に携わるIT部門・DX推進部門・総務・管理部門の担当者110名を対象に、多拠点企業におけるファイル共有の実態調査を実施しました。

拠点間のファイル共有について「スムーズに行えている」と回答した担当者は86.4%、現在の運用方法を「問題なく運用できている」と評価した担当者は81.8%に達しました。一方で、業務上の具体的な影響としては「同じファイルの重複作業が発生した」が50.0%、「誤った情報に基づいて業務を進めてしまった」が47.1%、「意思決定や承認に遅れが生じた」が36.3%と、約半数で業務への具体的な影響が生じていることが明らかになりました。最新情報が全拠点に届くまで「30分以上」を要する担当者は40.0%にのぼり、課題として最も多かったのは「古い情報のまま業務を進めてしまった」44.5%、「本社と拠点で情報の鮮度に差がある」42.7%でした。ファイル管理統一の障壁では「全拠点スタッフへの教育・研修コスト」が52.7%で首位、選定で重視する条件の第1位は「大容量データの高速転送」で52.7%、ツール統一・導入に向けた動きは「完了」「進行中」合計で70.0%に達し、今後改善したい点の上位には「情報共有スピードの向上」40.9%、「社内教育・リテラシーの向上」37.3%、「ルール・運用方針の全社統一」35.5%が並びました。

本調査から、多拠点企業における拠点間ファイル共有は「主観評価」と「業務実態」の間に大きなギャップを抱えている構造が浮かび上がりました。担当者の多くは「回せている」と捉えている一方で、情報鮮度の遅延を起点とした重複作業、誤った情報による業務、意思決定の遅れが日常業務に織り込まれ、表面化しにくい「静かな業務ロス」として蓄積しています。当社が先に公表した「ファイル管理と業務効率化の実態調査」では、ファイル管理ツールの選定軸が「価格・容量」から「自動化・定着性」へ移行している実態を示しました。今回の結果はこの流れを多拠点の文脈で補強しており、市場の70.0%が既存環境の「静かな業務ロス」を自覚してツール導入・見直しの動きを見せています。多拠点企業における論点は、単なるスペック重視のツール選びから、「拠点横断で情報をどう揃え、どう使われ続けるか」という運用定着と情報鮮度の確保へと移っています。

拠点間ファイル共有の課題は、もはや技術課題ではなく「多拠点経営における情報ガバナンス」の課題として再定義する段階に入っています。多拠点企業がクラウドストレージを選ぶ際の要件は、容量やコスト中心の選び方から、「拠点間ファイル共有のスピード」「情報の即時同期」「拠点別の細やかな権限設計」「現場での運用定着」を中核に据える方向へとシフトしています。情報鮮度の格差は、重複作業や誤った情報による業務を通じて、業務コストの増加や顧客対応の遅れを直接引き起こす経営課題です。

こうした市場構造の変化に対して、株式会社Fleekdriveが展開する企業向けオンラインストレージ「Fleekdrive」は、約1,000社・30万ユーザ以上、世界190カ国の導入実績のもと、多拠点経営に求められる「拠点間ファイル共有のスピード」「情報の即時同期」「拠点別の細やかな権限設計」に重きを置いて開発・運用されており、多拠点企業が直面する「情報鮮度の格差」と「運用定着」の双方に応えるサービスです。単なるファイル共有ツールにとどまらず、多拠点経営に求められる情報ガバナンスの基盤として、拠点横断の意思決定の質向上と業務上のリスク低減に貢献します。