営業の成果を上げるためには、会社のマニュアルを熟読したり、多くの営業先に出向いたり、経験を積んだりといった方法があります。しかし、他の方法として、心理学を使うという手段も挙げられます。営業と心理学は結び付けにくいと感じる人もいるかもしれませんが、コツさえ掴めば圧倒的に有利になるのは確かです。どういった心理学が営業に役立つのか、具体的にどのような効果があるものなのかについて詳しく見ていきましょう。

営業職には心理学が必須!?仕事に活かしている人はどれくらい?

営業職に心理学が有効的なのは確かですが、実際にどれくらいの人が活用しているものなのでしょうか。現役営業職の人を対象に、仕事に心理学を取り入れているかどうかについて訊ねてみました。

質問

営業活動をする際に何かしらの心理学を取り入れていますか?

回答結果

取り入れている : 76
取り入れていない : 54

アンケート概要

調査地域:全国
調査対象:【職業】パート・アルバイト 個人事業主 公務員 正社員 派遣社員 経営者
調査期間:2017年08月03日~2017年08月10日
有効回答数:130サンプル

取り入れている派が多数!使ったほうが有利?

調査の結果、心理学を取り入れていると回答した人が130人中76人でした。一方で取り入れていないと答えた人は54人という結果です。

  • 悪いニュースは先に、良いニュースは後に言うことで商談全体のイメージを良いものにして終わらす。(20代/女性/正社員)
  • 商談相手の人と同じ仕草をすることはたまにあります。シンクロ効果です。(30代/男性/正社員)
  • 2択の選択肢しか用意しません。お客さんに多くの選択肢を紹介してしまうと、迷いが生じてしまい、商談がこじれる可能性があるからです。(20代/女性/正社員)

具体的な心理テクニックの内容についてはばらつきがありましたが、成約させるために効果的な方法を用いる傾向にあることが伺えます。どんな心理学の使い方が効果的だと思うかは人それぞれ違うといえそうです。

  • あえて意識して取り入れようとするとわざとらしくなり印象が良くないかと思うので、自分らしく誠実に対応するようにしている。(40代/女性/正社員)
  • 元気に対応することだけを意識している。(20代/男性/個人事業主・フリーランス)
  • 心理学は取り入れていないが相手のことを考えるようには常に心がけている。(30代/女性/派遣社員)

心理学を取り入れていないと回答した人は、主に誠実さや元気さを重視しているようです。取り入れると不自然な営業になることを懸念しているのかもしれません。ただ、相手の気持ちを考えるように配慮は怠らない姿勢もあることが伺えますね。

結果を見たところ、心理学や心理テクニックを取り入れて営業をかけている人のほうが多いことがわかりました。過信してしまって不自然な営業になることは避けるべきですが、活用する価値は大いにあるといえそうです。

営業の基礎!人間心理に基づく3つの効果

営業の基礎としてのポイントを押さえたいのなら、初頭効果やメラビアンの法則、それからカタルシス効果を意識しておきましょう。
初頭効果は簡単にいえば第一印象のことです。初対面の営業マンの印象は商品やサービスのイメージ、そして会社のイメージにも直結してくる問題です。お客様と契約を交わし、今後も継続していくのであれば、長期的に円満な関係を築いていく必要があります。第一印象をよくする初頭効果を上手く活用できれば、その後の営業もスムーズになりやすいでしょう。

さらに、トークのうえで欠かせないのはメラビアンの法則です。お客様によく見られたいがために、都合のいいことを言ったり、ご機嫌を伺うようなことを言ったりといった対応をすることがある人は注意しなければなりません。言葉自体はお客様の求めるような内容であっても、声のトーンや表情、しぐさなどから本心は読み取られてしまいます。そうなると後々トラブルに発展したり、結局は契約成立に至らなかったりといった問題が起こります。このようなトラブルを避けるためには、メラビアンの法則を意識して、最初から本心による言葉を使うのが大切なコツです。

それから、心の内に秘めている不満や苦悩、怒りの感情を言葉にすると不安が解消されることをカタルシス効果といいます。営業職では契約を取るために営業トークでアピールしたくなるものですが、お客様の声を聞くというのも重要なポイントです。先にお客様の悩みや不満を聞いて、そのうえで解決策として商品やサービスを紹介するとお客様も耳を傾けやすくなるでしょう。

営業のコツは信頼関係にあり!販売心理学に基づく3つの効果

成約率を高めるために効果的なのは、販売心理学を利用した営業トークです。警戒されずにお客様の本音を聞き出す方法としてはサトルクエスチョンという手段があります。営業をかけるには相手の気持ちを汲み取ったり、ニーズを知るために情報を引き出したりしなければなりません。

しかし、今は何の商品を使っているか、予算はいくらくらいなのかなどについて質問攻めにしてしまうとお客様は疲れてしまいます。まくし立てるようにいくつも質問をすれば、売りたいがための会話であることもお客様は察してしまうので警戒心を抱かせることにもなるでしょう。質問を全くしてはいけないわけではないですが、サトルクエスチョンを上手く活用することで、相手が質問されているという感覚を抱くことなく、情報を引き出せます。例えば「インドア派なら読書が好きですよね。」といった予想を踏まえた言葉を組み込むのがコツです。相手は自然とイエスかノーで反応してくれますから、積極的に取り入れてみるといいでしょう。

続いて、バックトラッキングも営業トークには欠かせない心理テクニックです。簡単に説明すると相手の言葉をオウム返しすることですが、それだけでも短時間で良好な関係を築くことができます。単純に同じ言葉を繰り返すように発するだけではなく、同じ意味の別の言葉で返す工夫もしてみるとより自然になるでしょう。お客様は話しているときの営業マンの反応が薄いと、きちんと話を聞いてもらえるか不安になるものです。そういった不安を払拭するためにも、きちんと話を聞いている姿勢を保つように心がけましょう。

また、ヴェブレン効果も忘れてはなりません。商品やサービスの価格を高くして購買意欲を高めるというものです。価格が安いほうが魅力的に感じるのではないかと思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。価格が安いと逆に商品やサービスの効果に対する信憑性が欠けてしまい、不安になることもあります。価格の引き上げは、高価なものを買って優越感を得たいお客様にも効果的なので試してみてください。

お客様の心に訴えかける!顧客心理に基づく3つの効果

他にも、顧客心理に基づいた営業に使える心理テクニックは多数あります。
代表的なものとしては、商品やサービスの魅力を高めるスノッブ効果が挙げられるでしょう。高級感を出す、もしくは会員限定とするなど、商品やサービスの特別感をアピールすることによって、その価値を高める方法です。誰もが手軽には手に入れられないという限定された状態は、お客様の購買意欲を効果的に高めることができます。

他にも、バンドワゴン効果も使ってみるといいでしょう。人気や流行を活用し、「販売数がトップ」、「売上1位」などのセールストークを用いる方法です。お客様はたくさん売れているのならいい商品やサービスに違いないという確信を持つので、自然と成約に繋がりやすくなります。

また、ツァイガルニック効果も使ってみましょう。商品やサービスを紹介するときにはつい概要や魅力をすべて伝えたくなるものですが、ツァイガルニック効果は敢えてすべては伝えないという手法になります。不完全な情報を伝えることでお客様の興味や関心を高められます。極端なケースですが、敢えて商品やサービスを全く紹介しない訪問をするというのも1つの手段です。なぜ営業をしないのか気になったお客様のほうから、商品について尋ねてもらえる可能性があるので活用してみましょう。

まとめ

営業に活用できる心理学には、人間心理に基づいたものを始め、顧客心理や販売心理に基づいたテクニックもあります。それぞれが商品やサービスを売り込むのに効果的な方法ですから、コツを掴むために積極的に心理学を活用してみることをおすすめします。慣れないうちはなかなか難しいものだと感じるかもしれませんが、自分のものにできさえすれば、営業成績の向上が期待できるのは確かです。さまざまある心理テクニックの中で、これならできそうだと思えるようなものから試してみるといいでしょう。

ホワイトペーパー『営業生産性向上のカギとなる「ファイル共有・管理」の変革』をダウンロード