ナレッジ共有やコスト削減などを目的に、紙そのものではなく、紙を電子化して文書管理を行うペーパーレス化に取り組む会社が増えています。しかし、ペーパーレス用のソリューションを導入する負担があることや、利用するためのスキル不足、そもそも慣れ親しんだ紙から離れることへの拒否反応があるなど、ペーパーレス化が進みにくい状況も散見されます。ペーパーレスで文書管理を行うメリットを整理し、導入にあたってのポイントを押さえておきましょう。

文書管理は業務効率化に直結する

企業活動における文書管理とは、文書を使った業務とワークフローの管理を指し、文書そのものの管理だけではなく、作成して回覧し、申請や承認、決裁を行う流れを管理することでもあります。つまり、効率的な文書管理は、業務効率化に直結します。文書管理を効率化する手法として、電子化して紙をなくすペーパーレス化があります。従来は領収書などの証憑について、紙の原本を長期間保存することが法律で義務付けられていましたが、現在はスマートフォンのカメラで撮影しただけでも問題ないなど、世の中がペーパーレス化に向かう流れができつつあります。

紙の文書管理で生じる問題点

では、なぜペーパーレス化が効率化に有効なのでしょうか。まずは、紙における文書管理の問題点を挙げてみましょう。

管理や検索に時間や手間がかかる

デスク上が書類でいっぱいになっていると、必要な情報を探すのに時間がかかってしまいます。これは、個人だけではなく、企業全体でも同じことが起きています。紙の文書をファイルにとじて、キャビネットに保管するのですが、ファイリング自体にも手間がかかり、保管する場所も必要です。ファイリングしたとしても、膨大なファイルのどこに欲しい情報があるのか容易に見つけ出すことができません。また、紙の書類は、適切な報告や承認が行われているのかすぐにわからないなど、ワークフロー上の管理にも課題があります。

情報を共有しにくい

紙では、ナレッジや作成物が個人のデスクに埋もれてしまい共有しにくく、組織の競争力を高めるには望ましくない状態になります。また、必要な人に情報共有ができない、伝達まで時間がかかるといった事態も発生しやすくなります。さらに紙では、他人の目にもふれやすいため、機密性の高い情報を共有しづらいことも課題です。

管理にコストがかかる

紙の文書は保管する場所が必要で、オフィスの維持コストが増えてしまいます。また、会議の度に資料を紙に印刷するコストや廃棄コスト、加えてFAXや郵送などの通信コストも発生します。

ペーパーレスの文書管理のメリット

紙の書類を電子化し、ペーパーレスにすることで、さまざまなメリットが得られます。紙による文書管理の問題点の解消にもつながる、ペーパーレス化のメリットについて、いくつかご紹介します。

物理的な保管場所が不要

ペーパーレス化すると、分類してファイルにとじる手間がなくなります。また、どこに保管していたとしても検索することができるので、目的の文書を容易に探し出すことが可能です。もちろん、物理的な保管場所も不要で場所をとりません。作業効率が劇的に上がるので、顧客からの問い合わせにも素早く応じることができるなど、サービスの向上にもつながります。そして、プリントアウトする紙やインク代、郵送などのコストも不要になるため、目に見える形でのコストダウンにも貢献します。

紙に比べ管理も容易に

ワークフロー上のどこまで承認を得たのかといった管理も簡単にできるので、報告漏れを防ぐことができます。さらに、物理的な制約がなくなるため、共有すべき関係者に対して瞬時に資料等を配布することができ、同時に関係者以外の目にふれることはありません。

ペーパーレスの文書管理導入のポイント

ペーパーレス化のメリットは理解していても、思うように進まないことがあります。その原因には、「慣れている紙から離れる抵抗感」「ツールをうまく使うことができない」「過去の資料をペーパーレス化する手間がかかる」「共有範囲が広くなりセキュリティが心配」といった課題があります。
その中で特にクリアすべきなのは、誰もが簡単に扱えるペーパーレスの環境やしくみを整えることです。文書管理は社内ですべての人が関わることなので、ツールの操作方法がわからず、苦手意識を持つような事態は避けるべきです。ITスキルに差があったとしても、直感的に誰もが利用できるようにすることが必要です。また、管理者の立場としては、スキル不足が原因で意図せずに文書が改変されたり削除されたりしないようなしくみが必要です。

クラウドサービスを活用する

ペーパーレスの文書管理において検討したいのが、文書管理専用のソリューションだけでなく、クラウドサービスの導入です。特に法人向けのサービスであれば、Windowsでファイルを操作するのと同じ感覚で扱えるものがあり、基本的なルールさえ周知すればすぐに利用を開始することができるからです。また、ただ文書を保存するだけではなく、ワークフローのしくみを備えたクラウドサービスも存在します。管理者にとっても、指定した管理者でなければ共有設定を変更できなくしたり、閲覧限定で不用意な削除を防止したりすることができます。アクセスログを残せるサービスであれば、もし消えたファイルがあっても元に戻しやすいものです。

ペーパーレスの文書管理は業務の高速化につながる

ペーパーレス化した文書管理によって管理コストを下げるだけでなく、業務を高速化し企業の競争力を高めることができます。導入にあたっては誰もが簡単に利用できる方法が望ましく、専用ツールに限らず、文書管理にも対応した法人向けのクラウドサービスも有力な選択肢になります。

参考ページ:アナログの書類を手間なくデジタル化するスキャナ連携

参考事例:フォルダ内の資料整理を自動化、業務効率アップ:大学生協事業連合 関西北陸地区