電子帳簿保存法は、すべての企業や事業者を対象とした法律です。国税関係書類の管理体制を整えていく中で、書類データの保存場所についても検討する必要があります。今回の記事では、電子帳簿保存法に対応した書類データの保存場所について解説します。

電子帳簿保存法での書類の保存分類

電子帳簿保存法では、書類が3つの保存分類に分けられています。それぞれに対象となる書類を整理していきましょう。

電子帳簿等保存

国税に関わる帳簿や書類は、会計ソフトや請求書発行システムなどを介して電子的に作成した場合、電子データのまま保存することができます。該当する書類の例としては、会計ソフトで作成した仕訳帳、総勘定元帳、売上台帳などの「国税関係帳簿」、「国税関係書類」のうち、貸借対照表、損益計算書などの「決算関係書類」などが挙げられます。

スキャナ保存

スキャナ保存とは、紙で受け取った国税関係書類をスキャンし、電子データへと変換して保存することです。スキャナ保存の対象となる書類の例としては、相手から受領した請求書、領収書、見積書、納品書、注文書などが挙げられます。

電子取引

取引関係の書類のうち、メールなどの電子取引で受け取ったものは、そのまま電子データとして保存する必要があります。電子データとして受領したものを、印刷して紙で保管することは認められません。電子データ保存の対象となるのは、電子データでやり取りした国税関係書類です。2023年12月末日までは宥恕期間とされ、紙面に印刷して保管することも認められますが、2024年以降は電子データでの保存が義務となります。

保存分類に応じた保存要件

電子帳簿保存法では、それぞれの保存分類に応じた保存要件が設けられています。

電子帳簿等保存の保存要件

電子帳簿等保存では、以下の保存要件を満たすことで電子データとして保存することができます。

  • システム概要書等を備え付ける
  • 見読可能装置等を備え付ける(見読可能装置とは、電子データで保存した書類を画面上で確認したり、書面で出力したりするための装置のことで、パソコンのディスプレイやプリンターなどのことを指します。)
  • 税務職員からのダウンロードの求めに応じることができる

加えて、以下の優良な保存要件を満たしている場合は、過少申告加算税の軽減措置が適用されます。

  • 訂正削除履歴の保存
  • 帳簿との相互関連性の確保
  • 検索機能の確保

スキャナ保存の保存要件

スキャナ保存は、契約書、領収書、請求書などの「重要書類」と、見積書、注文書、検収書などの「一般書類」で、守るべき要件が異なります。

重要書類のスキャナ保存を行うためのルール

  • 入力期間の制限
  • 一定の解像度による読み取り
  • カラー画像による読み取り
  • タイムスタンプ付与
  • バージョン管理
  • 帳簿との相互関連性の確保
  • 見読可能装置等の備付け
  • 速やかに出力すること
  • システム概要書等の備付け
  • 検索機能の確保

一般書類の場合は、重要書類の要件の中で「帳簿との相互関連性の確保」が不要となります。また「入力期間の制限」「カラー画像」「見読可能装置の備付け」に関しては、重要書類と異なる要件が設けられています。

電子取引の保存要件

電子取引データは、以下の保存要件を満たす必要があります。

  • 改ざん防止措置(タイムスタンプの付与、訂正削除履歴の保存など)
  • 検索機能の確保
  • 見読可能装置の備付け

電子帳簿保存法に対応した保存場所

電子帳簿保存法に対応するためには、書類のデータ化だけでなく、データの保存場所の設定が必要です。ここでは、主な保存場所として考えられるものを紹介します。

社内サーバーなどのハードディスク上に保存

まず、社内サーバーやハードディスク上に保存する方法が挙げられます。この場合、ルールを設定して整然と保管するほか、ファイル名、データ名に規則性を持たせ、必要なデータがいつでも検索できるようにしておくことが重要です。また、外付けのハードディスクなどに保存する場合は、ハードディスク自体の保管場所にセキュリティ体制を整備することも欠かせません。わかりやすく整理するだけでなく、紛失や情報漏えいを防ぐ安全な管理体制を整えましょう。

CDやDVDに保存

CDやDVDなどのメディアに保存する方法も一つです。この場合でも先ほどと同じく、検索しやすいように細かい保存方法のルールを決めておくことが求められます。また、ハードディスクと同様に、文書データを保存したCDやDVD自体の保管場所にセキュリティ体制を整備することが重要です。

クラウドドライブに保存

インターネット上で情報が保管できる、クラウドドライブ上で保存する方法もあります。オンライン上で保存・共有ができるため、アクセスや管理がしやすい点が特徴です。また、中には電子帳簿保存法に対応した機能が備わったクラウドドライブもあります。法律に対応した保管ルールやシステムを自社で構築する必要がなく、スムーズに文書管理体制が整えられるのが大きなメリットです。セキュリティ上の問題にも配慮されたドライブであれば、安心して利用できるでしょう。

電子帳簿保存法にのっとった文書データ管理体制を整えるためには、保存要件を満たした最適なデータ保存場所を考えることも重要です。今回の記事を参考にしながら、自社にあった保存場所を検討してみてください。

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