建設業の現場では、設計図・施工図・竣工図、仕様書・施工要領書、工程表、工事写真、安全書類、契約書・取引文書など、現場担当者、協力会社、発注者を含む複数の関係者が扱う業務ファイルが日常的に発生します。社内のファイルサーバーやオンラインストレージ、施工管理システムが使われる一方、メール添付、個人のパソコンやUSB、紙による受け渡しも残り、保管先と共有経路が複数に分かれやすい状況があります。
保管先が用意されていても、過去のファイルを探す作業、最新版・改訂履歴の確認、大容量の図面や写真の社外共有、現場からのアクセス、保存後の承認依頼や進み具合の確認、変更内容の連絡は、別の手段で続く場合があります。一つひとつは大きな障害として表れにくい一方、資料を探す時間、承認待ち、変更の伝達漏れによる工程遅延や手戻りとして積み重なります。当社が先に公表した複数の調査でも、容量や価格だけでなく、検索性、最新版管理、業務の自動化が重視される傾向を示してきました。
そこで株式会社Fleekdriveは、建設業におけるファイルの保管・共有の実態と、保存後に発生する“隠れた業務負担”を把握し、検索・共有・連絡などに費やす時間や、工程遅延・手戻りなどの影響、ファイル管理サービスに求める基準を明らかにするため、本調査を実施しました。
Contents
- 1 調査サマリー
- 2 調査概要
- 3 建設業のファイル管理における「隠れた業務負担」の実態調査
- 3.1 建設業で日常的に扱う電子ファイル、「設計図・施工図・竣工図などの図面データ」「仕様書・設計計算書・施工要領書」がともに51.4%で首位
- 3.2 業務ファイルの保管・共有は「社内のファイルサーバー」61.9%が最多、「メール添付による送付」も55.2%。現場情報の受け渡しが複数の手段に分散
- 3.3 48.6%が「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」、40.0%が「最新版や改訂履歴がわかりにくい」と回答
- 3.4 36.2%が、保存・更新後の「確認・承認の進み具合の把握や再連絡」を別手段で実施。変更内容の連絡も32.4%
- 3.5 ファイルの検索・共有や保存後の連絡などに「週1時間以上」を費やす人は49.5%
- 3.6 関係者が最新版の図面・書類を確認したか「把握できていない」は33.3%
- 3.7 直近1年間で「確認・承認が滞り、工程に遅れが生じた」は31.4%、「変更が伝わらず、再確認や施工内容の食い違いが発生」は30.5%
- 3.8 建設業がファイル管理サービスに求める基準、第1位は「最新版と改訂履歴がすぐにわかること」47.6%。費用24.8%を上回る
- 3.9 「セキュリティ管理が容易」「マニュアルを見なくても操作できる」「PDFに手書き入力」などの声も
- 4 まとめ
調査サマリー
- 建設業の48.6%が「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」、40.0%が「最新版や改訂履歴がわかりにくい」と回答。直近1年間で31.4%が「確認・承認が滞り、工程に遅れが生じた」経験
- 36.2%が、ファイル保存・更新後の「確認・承認の進み具合の把握や再連絡」を保存場所とは別の手段で実施。ファイルの検索・共有や保存後の連絡などに「週1時間以上」を費やす人は49.5%
- ファイル管理サービスの選定基準、第1位は「最新版と改訂履歴がすぐにわかること」(47.6%)。「過去のファイルを素早く探し出せること」(43.8%)、「セキュリティ・情報漏えい対策」(37.1%)も「導入・運用にかかる費用」(24.8%)を上回る
調査概要
- 調査名称:建設業のファイル管理における「隠れた業務負担」の実態調査
- 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
- 調査期間:2026年8月21日〜2026年8月25日
- 有効回答:従業員数100名以上の建設業に勤務する正社員で、直近1ヶ月以内に、社内外の複数人が扱う業務ファイルについて、作成・保存・更新・送付・配布・共有設定・承認依頼・承認・整理のいずれかを自ら行った方105名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
建設業のファイル管理における「隠れた業務負担」の実態調査
建設業で日常的に扱う電子ファイル、「設計図・施工図・竣工図などの図面データ」「仕様書・設計計算書・施工要領書」がともに51.4%で首位
「Q1. あなたが、業務で日常的に扱っている電子ファイルの種類を教えてください。(複数回答)」(n=105)
「設計図・施工図・竣工図などの図面データ」と「仕様書・設計計算書・施工要領書」がともに51.4%で最も多く、「工程表・施工計画書」と「見積書・注文書・請求書などの取引文書」がともに42.9%と続きました。工事写真・施工記録、契約書・打合せ記録、社内規程・教育資料も各41.0%となり、工程、品質、契約、社内運用に関わるファイルが幅広く扱われています。

- 設計図・施工図・竣工図などの図面データ:51.4%
- 仕様書・設計計算書・施工要領書:51.4%
- 工程表・施工計画書:42.9%
- 見積書・注文書・請求書などの取引文書:42.9%
- 工事写真・施工記録(出来形・品質管理記録):41.0%
- 契約書・打合せ記録・協議書・指示書:41.0%
- 社内規程・マニュアル・教育資料:41.0%
- 安全書類(労務安全書類、グリーンファイル):26.7%
- その他:1.0%
- わからない/答えられない:8.6%
業務ファイルの保管・共有は「社内のファイルサーバー」61.9%が最多、「メール添付による送付」も55.2%。現場情報の受け渡しが複数の手段に分散
「Q2. あなたが、業務ファイルの保管・共有・受け渡しに使用している場所や手段を教えてください。(複数回答)」(n=105)
「社内のファイルサーバー」が61.9%で最も多く、「メール添付による送付」が55.2%と続きました。「自分のパソコン内、USBなどの外部メディア」は34.3%、「オンラインストレージ・クラウドストレージ」は33.3%、「施工管理システム・工事情報共有システム」は29.5%でした。保管先を用意するサービスと、相手へ渡す手段が併存し、現場情報の経路が複数に分かれています。

- 社内のファイルサーバー:61.9%
- メール添付による送付:55.2%
- 自分のパソコン内、USBなどの外部メディア:34.3%
- オンラインストレージ・クラウドストレージ:33.3%
- チャットツールへの投稿・共有:30.5%
- 施工管理システム・工事情報共有システム:29.5%
- 文書管理システム:24.8%
- 電子ファイルを印刷し、紙で保管・回覧・郵送・FAX:13.3%
- その他:0.0%
- わからない/答えられない:2.9%
48.6%が「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」、40.0%が「最新版や改訂履歴がわかりにくい」と回答
「Q3. あなたが、業務ファイルの取り扱いに関して、現在非効率だと感じていることを教えてください。(複数回答)」(n=105)
「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」が48.6%で最も多く、「業務ファイルの最新版や改訂履歴がわかりにくい」が40.0%と続きました。「大容量の図面・写真を社外関係者と共有しづらい」は34.3%、「現場や移動中に必要な図面・書類を確認しづらい」は29.5%でした。検索、版管理、社外共有、現場アクセスの各段階で非効率が生じています。

- 過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる:48.6%
- 業務ファイルの最新版や改訂履歴がわかりにくい:40.0%
- 大容量の図面・写真を社外関係者と共有しづらい:34.3%
- 現場や移動中に、必要な図面・書類を確認しづらい:29.5%
- 確認・承認の依頼や変更内容の連絡に手間がかかる:17.1%
- アクセス権限や操作履歴の管理に手間がかかる:12.4%
- その他:0.0%
- 特に非効率は感じていない:12.4%
- わからない/答えられない:4.8%
36.2%が、保存・更新後の「確認・承認の進み具合の把握や再連絡」を別手段で実施。変更内容の連絡も32.4%
「Q4. あなたが、業務ファイルを保存・更新した後に発生する作業のうち、ファイルを保存した場所だけでは完結せず、別の手段を併用しているものを教えてください。(複数回答)」(n=105)
「確認・承認の進み具合の把握や再連絡」が36.2%で最も多く、「図面・書類の更新や変更内容の連絡」が32.4%、「上長や関係者への確認・承認の依頼」が29.5%と続きました。ファイルを保存した後も、承認状況の確認、変更連絡、権限設定、現場・協力会社・発注者への送付が別の手段で発生しています。

- 確認・承認の進み具合の把握や再連絡:36.2%
- 図面・書類の更新や変更内容の連絡:32.4%
- 上長や関係者への確認・承認の依頼:29.5%
- 共有設定やアクセス権限の設定・変更:21.9%
- 現場・協力会社・発注者への図面・書類の送付・配布:21.0%
- 工事台帳・管理表への転記:9.5%
- その他:0.0%
- 特に作業は発生していない:22.9%
- わからない/答えられない:7.6%
ファイルの検索・共有や保存後の連絡などに「週1時間以上」を費やす人は49.5%
「Q5. あなたが、業務ファイルの検索・共有、保存・更新後の連絡・配布、権限設定や台帳への転記などに費やしている時間は、1週間あたり平均でどの程度ですか。」(n=105)
「30分以上1時間未満」が24.8%で最も多く、「2時間以上4時間未満」が19.0%、「1時間以上2時間未満」が18.1%と続きました。「1時間以上」を合計すると49.5%となり、約半数が週1時間以上をファイルの検索・共有、保存後の連絡、権限設定、台帳への転記などに費やしています。

- 30分未満:14.3%
- 30分以上1時間未満:24.8%
- 1時間以上2時間未満:18.1%
- 2時間以上4時間未満:19.0%
- 4時間以上8時間未満:8.6%
- 8時間以上:3.8%
- わからない/答えられない:11.4%
関係者が最新版の図面・書類を確認したか「把握できていない」は33.3%
「Q6. あなたは、社内外の関係者(現場担当者、協力会社、発注者など)が、最新版の図面・書類を確認したかどうかを把握できていると思いますか。」(n=105)
「あまりそう思わない」が29.5%、「全くそう思わない」が3.8%となりました。両者を合わせると33.3%に達し、3人に1人が、配布・共有した最新版を関係者が確認したか把握できていないと回答しています。図面・書類を送った後も、確認状況を追う作業が残っています。

- 非常にそう思う:11.4%
- ややそう思う:39.0%
- あまりそう思わない:29.5%
- 全くそう思わない:3.8%
- 図面・書類を配布・共有する機会はない:5.7%
- わからない/答えられない:10.5%
直近1年間で「確認・承認が滞り、工程に遅れが生じた」は31.4%、「変更が伝わらず、再確認や施工内容の食い違いが発生」は30.5%
「Q7. あなたが、業務ファイルの取り扱いに関して、直近1年間に経験したことを教えてください。(複数回答)」(n=105)
「確認・承認が滞り、工程に遅れが生じた」が31.4%で最も多く、「変更が伝わらず、再確認や施工内容の食い違いが発生」が30.5%、「必要な図面・書類が見つからず、業務が滞った」が29.5%と続きました。「改訂前の図面・書類で作業が進み、手戻りが発生した」も20.0%となり、ファイル管理の問題が工程、施工内容、手戻りに影響しています。

- 確認・承認が滞り、工程に遅れが生じた:31.4%
- 変更が伝わらず、再確認や施工内容の食い違いが発生:30.5%
- 必要な図面・書類が見つからず、業務が滞った:29.5%
- 改訂前の図面・書類で作業が進み、手戻りが発生した:20.0%
- 機密性の高い図面・書類を意図しない相手に送信した:13.3%
- 検査・監査・引渡しの書類を集めるのに苦労した:10.5%
- その他:1.0%
- 特に経験していない:20.0%
- わからない/答えられない:6.7%
建設業がファイル管理サービスに求める基準、第1位は「最新版と改訂履歴がすぐにわかること」47.6%。費用24.8%を上回る
「Q8. あなたが、業務ファイルを扱う製品やサービスを選ぶとしたら、どのような条件を重視するか教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=105)
「最新版と改訂履歴がすぐにわかること」が47.6%で最も多く、「過去のファイルを素早く探し出せること」が43.8%、「セキュリティ・情報漏えい対策」が37.1%と続きました。「導入・運用にかかる費用」は24.8%で、上位3項目を下回りました。本調査では、価格だけでなく、正しい最新版へ早くたどり着けること、必要な過去資料を探せること、社内外で安全に扱えることが重視されています。

- 最新版と改訂履歴がすぐにわかること:47.6%
- 過去のファイルを素早く探し出せること:43.8%
- セキュリティ・情報漏えい対策:37.1%
- 導入・運用にかかる費用:24.8%
- 承認・通知・配布を同じ環境で進められること:15.2%
- 誰がいつ閲覧・操作したかの記録が残ること:13.3%
- 大容量ファイルを社内外と安全に共有できること:13.3%
- 自社の承認ルールや業務の進め方に合わせやすいこと:3.8%
- その他:1.9%
- 特にない:4.8%
- わからない/答えられない:5.7%
「セキュリティ管理が容易」「マニュアルを見なくても操作できる」「PDFに手書き入力」などの声も
「Q9. Q8で「特にない」「わからない/答えられない」以外を回答した方にお聞きします。Q8で回答した以外に、業務ファイルを扱う製品やサービスを選ぶ際に重視する条件があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=94)
65件の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
- セキュリティ管理が容易であること
- カスタマイズしやすいこと
- ユーザーインターフェースに優れた商品(マニュアルを見なくてもイメージで操作が可能な商品)
- 急な変更に対応するためにPDFデータに手書きで入力できるような機能が欲しい。
まとめ
今回は、建設業に勤務する会社員105名を対象に、ファイル管理における「隠れた業務負担」の実態を調査しました。
保管・共有は「社内のファイルサーバー」(61.9%)が最多で、「メール添付による送付」(55.2%)、「自分のパソコン内、USBなどの外部メディア」(34.3%)が併存しています。非効率と感じることの第1位は「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」(48.6%)、次いで「最新版や改訂履歴がわかりにくい」(40.0%)でした。保存・更新後も36.2%が「確認・承認の進み具合の把握や再連絡」を別の手段で行い、49.5%が検索・共有や保存後の連絡に週1時間以上を費やしています。直近1年間では31.4%が「確認・承認が滞り、工程に遅れが生じた」と回答しました。選定基準の上位は「最新版と改訂履歴がすぐにわかること」(47.6%)、「過去のファイルを素早く探し出せること」(43.8%)、「セキュリティ・情報漏えい対策」(37.1%)で、いずれも「導入・運用にかかる費用」(24.8%)を上回りました。
| 建設業のファイル管理の課題は、保管先そのものではありません。最新版の確認、過去ファイルの検索、承認状況の追跡、変更の連絡が保存場所の外側で続くと、工程遅延や手戻りにつながります。選定基準の上位は「最新版・改訂履歴」「検索性」「セキュリティ」が占め、費用を上回りました。正しいファイルへ早く安全にたどり着き、現場と社内外の関係者が同じ情報を確認できる運用が求められています。 |
