世間一般的に、外出先や自宅など、社外で仕事をする状況が増えてきました。柔軟なワークスタイルを実現したり、空き時間を有効利用したりといったメリットが多い一方で、管理者の立場としては情報漏洩のリスクが気になります。社内のデータを社外で共有・アクセスする場合、どのような課題やリスクが考えられるのでしょうか。ここでは、社外で社内のデータを共有・アクセスする方法をいくつかご紹介し、方法ごとの課題やリスクを解説します。

1. 外付けメディアやメールで共有する

必要なデータを社外でも利用したい場合、ハードディスクやUSBメモリといった外付けのメディアに、データをコピーして持ち出すのが簡易な方法のひとつです。手軽であり、比較的大容量のデータを移動させるのに便利ではありますが、紛失のリスクが高く、情報漏洩にもつながりやすいといえます。また、ウイルスに感染したメディアを社内のパソコンに接続した場合、社内に被害を拡大させてしまうおそれもあります。そのため、使用する場合には許可制にしたり、暗号化ソリューションを導入したりといった対策をとることが望ましいでしょう。また、ファイルサイズが小さいデータであれば、仕事で使っているメールアドレスから、プライベートのメールアドレス宛てに、データを添付して送信することも考えられます。非常に手軽な方法ではありますが、誤送信の危険性があるほか、プライベートで使用するネットワークが脆弱だった場合、盗み見の心配もあります。いずれにせよ、プライベートのパソコンなどが、セキュリティ面で十分に管理できていなければ、そこから情報漏洩を引き起こしてしまうリスクがあります。

2. VPNで社内ネットワークにアクセスする

VPNとはVirtual Private Networkの略で、「仮想専用線」と呼ばれる技術です。VPNによる通信は暗号化で保護されており、社内のサーバへ安全にアクセスすることができます。例えば、社内のネットワーク機器とユーザーのスマートフォンがVPNに対応していれば、社外から簡単に社内ネットワークにアクセス可能です。社内の環境に直接アクセスするため、ファイルを二重管理することもなく、オフィスにいるのと同じように、効率良く作業することができます。導入コストも少なくて済むことから、セキュリティにきびしい企業でも利用されるケースが多いVPNですが、アクセスが集中した場合やユーザーが利用する通信回線の状態によってはスムーズさを欠き、思うように仕事ができないリスクがあります。

3. 社内の自分のパソコンにリモート接続する

会社で使用しているパソコンを遠隔操作可能な状態に設定することで、社外のパソコンなどからオフィスのパソコンを使用することができます。いつもと同じ環境をそのまま外から利用できるため、仕事をしやすいことが特徴です。ただし、リモートで接続できるようにするには、上位ライセンスのOSや専用ツールが必要な場合もあり、企業にとっては追加投資の可能性があります。また、設定を怠ると、プライベートのパソコンなどにファイルをコピーできるなど、情報漏洩の可能性が残ります。

4. クラウドにデータを入れる

外部から接続できるクラウドストレージにファイルを保存しておくことで、インターネットにさえつながれば、どこからでもファイルを利用できるようになります。パソコンだけでなく、モバイルデバイスからも利用でき、利便性が高い方法です。ただし、共有の設定ミスなどにより、誤ってファイルが拡散してしまうおそれがあります。また、ファイルをダウンロードできるように設定されている場合には、ユーザーが利用しているデバイスの管理が不十分であれば、情報漏洩につながってしまうリスクがあります。クラウドストレージには、法人向け機能が充実したサービスがあり、管理者が許可しない限り共有できない設定が可能なものや、ダウンロードを制限して閲覧専用にできるもの、操作ログから業務時間外の利用実態を把握することができるものも存在します。

適切なデータ共有方法をしっかり選ぶことが重要

働き方改革の推進を求める声など、外部から社内のデータにアクセスする需要は高まっています。いずれの手段にもメリットとデメリットが存在し、ニーズによって適切な方法を選ぶことが大切です。また、セキュリティだけではなく、労務管理上の課題もあることから、運用ルールの整備や実態把握のしくみも必要です。

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