「直接部門」の代表格である営業部門の活動は、企業の業績に対して直接影響を与えます。そんな営業部門ですが、昨今では多くの企業が人材不足に頭を抱えています。今後は生産年齢人口が減少の一途をたどるため、営業担当の人材不足という問題はさらに深刻化すると言われています。

こうしたなか、限られた人材で業績を維持あるいは向上していくために、営業生産性の向上を目指した取り組みをスタートさせる企業が増えつつあります。直行直帰型勤務やモバイルワークの導入といった働き方改革はその顕著な例と言えるでしょう。SFA(営業支援)やCRM(顧客関係管理)、MA(マーケティング・オートメーション)といったITツールを導入することで業務を自動化あるいは効率化し、生産性を高めようとしている企業も増えてきています。

そこで、「ファイル共有・管理」という視点から営業生産性の向上を考えていきたいと思います。営業部門はもちろん、その周辺のマーケティング部門や販促部門の生産性向上にもつながるエッセンスが詰まっています。ぜひ最後までお読みください。

ファイル共有・管理を見直せば、営業生産性が向上する?!

多くのセールスパーソンがコア業務に専念できずにいます。日本能率協会コンサルティングによると、セールスパーソンのコア業務と言える面談時間は総勤務時間のなかで3分の1程度にとどまっているそうです。営業生産性を向上させるには、セールスパーソンをコア業務に専念させなければなりません。そのためには、社内時間と移動時間を短縮する必要があります。とはいえ、移動時間を短縮することは困難…したがって、社内時間の短縮を目指すのが現実的です。では、具体的にどうすれば社内時間を短縮できるのでしょうか?

セールスパーソンは、提案書や営業日報など日々多くのファイルを扱うため、社内時間のなかでもファイルを探したり、新たなファイルを作成したりといった時間が長くなってしまいがちです。こうした無駄な時間は、ファイル共有・管理の変革によって短縮することができ、結果としてコア業により多くの時間を充てられるようになります。

必要なファイルをスピーディーに見つけられるようにする

「あれ? この前作った提案書はどのフォルダに入れたっけ?」など、必要なファイルが見つからず、ファイル探しに時間を奪われてしまうことがありませんか?特に、セールスパーソンは提案書や見積書・請求書、営業日報など多くのファイルを扱うため、ファイル探しに奪われる時間も増えがちです。

このようなファイル探しの時間を短縮することで、その分コア業務に専念できるようになるでしょう。たとえばファイル探しに費やしている時間を毎日30分短縮できた場合、年間で120時間もの時間がコア業務に充てられる計算になります。

ファイルを共同編集できるようにする

セールスパーソンとSEというように、異なる部署の人間と共同で資料を作成する機会も少なくありません。多くの場合ExcelやPowerPoint、WordといったいわゆるOfficeソフトで作成されますが、Officeソフトは共同編集、特に同時での複数人による共同編集には向きません。別の誰かがファイルを開いている場合には、排他処理によって編集や保存ができないからです。そのため、時間差を設けて各人が1つのファイルを編集するか、各人が別々のファイルで作成したものを誰かがマージするといった面倒な方法をとらざるを得ません。

それは、活動状況や案件情報をまとめた営業日報でも同じです。基本的にはセールスパーソンごとに別々のファイルで営業日報を作成するため、営業マネージャーはすべてのファイルを開いて閲覧しなければならなりません。あるいは、すべてのファイルを開いたうえで1つのファイルにマージすることが、毎朝のルーティーンワークになってしまっている営業マネージャーも少なくありません。
このような営業生産性の低下につながる状況から抜け出すには、同時に複数人が編集でき、必要に応じてチャットなどでリアルタイムにコミュニケーションを図りつつ共同編集できるようなファイル管理ツールが求められます。

“良い”資料をみんなが使えるようにする

同じような提案書を、何人ものセールスパーソンがそれぞれで作ってはいませんか?当然、このような状況は営業生産性を低下させる要因となります。細部を編集する必要はあっても、商材が同じであれば、1つの標準化された提案書で事足りるケースが多いものです。
たとえば、成約確度の高いトップセールスの提案書を標準化して、組織的な営業力の底上げを図っている企業もあります。そのため、標準化された提案書を複数のセールスパーソンで共有できるような仕組みが必要です。
さらに、自分のファイルだけではなく、別の人が作成したファイルも探せるような共有機能があると良いでしょう。また、共有ファイルを「星」の数や「いいね」の数で評価でき、実際に活用するセールスパーソンの多くが“良い”と思う資料、すなわち標準化すべき資料を素早く見つけ出せるような機能があるとより良いでしょう。