2022年1月に施行された「改正電子帳簿保存法」。これにより、各企業はさまざまな要件を満たしたシステムを導入した上で、電子帳簿保存法に対応することが求められます。電子帳簿保存法では、不正やデータの改ざんを避けるためにも、記録内容が本物であることを証明する「真実性の確保」と、誰もが確認できる状態にしておく「可視性の確保」が重要であり、電子帳簿保存法に適したシステムを導入しない場合や、ルールに違反した場合には罰則を課せられることになります。
そこで今回の記事では、電子帳簿保存法に違反した場合の罰則と、違反しないための対処方法について一緒に学んでいきましょう。

電子帳簿保存法の罰則

電子帳簿保存法の罰則は大きく分けて以下の3つです。それぞれを詳しく見ていきましょう。

青色申告の承認取り消し

1つ目の罰則は、青色申告の承認が取り消されてしまうことです。青色申告では、最大65万円の特別控除や、欠損金の繰越などさまざまな優遇措置を受けることができますが、青色申告の承認が取り消しになってしまうと、それもできなくなってしまいます。さらに、承認が取り消されたという事実が、企業としての信頼を損なうことに繋がりかねません。

追徴課税や推計課税

また、国税関係帳簿書類に不備や誤記が多い場合には、所得税や法人税について税務署が税額を推定し課税する「推計課税」が行われる可能性もあります。これは、税務署の判断で金額が決められてしまうため、通常よりも多くの税金を支払わなくてはいけない可能性が出てきてしまうので注意が必要です。電子データの悪質な改ざんや隠ぺいが明らかになった場合も、通常の追徴課税である35%に10%が加重されてしまいます。

会社法による過料

3つ目の罰則として、会社法に基づいて過料が課せられることが挙げられます。電子帳簿保存法で違反が発覚したということは、「会社法」の第976条である「帳簿や書類の記録・保存に関する規定」にも違反している可能性があるからです。その場合、100万円以下の過料が課せられることもあります。

電子帳簿保存法で罰則を受けるのはどんなとき?

ここまでは、電子帳簿保存法の罰則について解説してきました。では、電子帳簿保存法で罰則を受けるのはどのような時なのでしょうか。電子帳簿保存法では、さまざまな保存要件が定められていて、それに違反していた場合には罰則を受ける可能性があります。ここからは、保存要件の例をいくつか挙げて詳しく見ていきましょう。

データ保存の要件

契約書や納品書、請求書、領収書など、資金や物の流れに直結するような「重要書類」や、見積書・注文書など資金や物の流れに直結しない「一般書類」を、相手企業から受けとったときや、自社で作成した書類の控えをスキャナで読み取るときには、「解像度が387万画素以上」、「24ビットカラー(256階調)以上」で読み取り・保存しなければなりません。ただし、一般書類についてはグレースケールでの保存も認められています。

保存期間

領収書などの書類は、電子保存できる期間が企業ごとによって定められているため注意が必要です。書類の受領や入力に関する事務処理規定を定めている場合は最長約2ヶ月と7営業日以内に、事務処理規定を定めていない場合は、7営業日以内に保存するように決められていて、違反した場合には罰則の対象となってしまうことがあります。具体的な期限は事務処理規定によって異なるため、いずれにしても速やかに処理をするのが賢明でしょう。

電子帳簿保存法の違反を避ける方法

電子帳簿保存法で違反とみなされてしまうのを避ける方法をいくつかご紹介します。

電子帳簿保存法の内容をしっかり理解する

電子帳簿保存法には、さまざまなルールが定められているため、違反を避けるためにはこれを正しく理解しているかが大きなポイントとなります。社内で経費精算システムを導入したり、社内の誰もが処理をできるような「業務フロー」を検討したりすることで、データの読み取りや保存時の要件を正しく満たせるようにしましょう。

社内ルールの徹底

また、不正を防ぐためのコンプライアンス教育やガバナンスなど、社内ルールの徹底も大切です。書類のデータ化には、データの改ざんや情報漏洩などのリスクがあり、一度そうした問題が発覚してしまうと罰則の対象となるだけでなく、会社の信用にも関わりかねません。
情報の取り扱いに関する社内ルールをしっかりと決めたり、情報ガバナンスへの取り組みを行ったりするなど、従業員に対するコンプライアンス教育を取り入れていくことも、電子帳簿保存法の違反を避けるためには重要な要素です。

電子帳簿保存法に対応したツールの導入

電子帳簿保存法に対応したシステムやツールの導入は、業務を大幅に効率化させるだけでなく、処理を正確に行うためにも有効な方法です。システムやツールの導入にはコストが必要になりますが、導入することで担当者の負担を軽減することにもつながります。
電子帳簿保存法の罰則や、違反を避けるための方法について紹介しました。上記の内容を参考にした上で、電子帳簿保存法対応のオンラインストレージであるFleekdriveの導入をご検討ください。