時間や場所を選ばず仕事ができる環境を整えるため、オンプレミス環境からクラウドサービスへサーバを移行する企業が増えています。クラウドサービスへデータ移行をするためには、さまざまな確認事項があります。またクラウドストレージは多くのサービスが存在するため、「どのサービスを選定すべきなのか」頭を悩ませるご担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、大企業においてオンプレミス環境からクラウドストレージへデータ移行をするための手順や、選定のポイントについて分かりやすく解説します。

大規模プロジェクトに最適なクラウドストレージへのデータ移行手順

大企業においてクラウドストレージへデータ移行をするためには、どのような点に注意して進めるべきなのでしょうか。ここでは、データ移行の手順について詳しく解説します。

1.クラウドストレージへの移行計画を立てる

クラウドストレージへデータ移行するための計画を立案します。クラウドストレージで必要なシステムや、移行するデータの容量、社内の予算を整理し確認しましょう。場合によっては、専用のシステムを構築することも検討しなければなりません。大規模プロジェクトでは、移行する対象のデータが膨大となります。移行作業に必要なスタッフを複数名確保し、十分な移行期間を設定しましょう。また、全社員にデータ移行の計画を周知しておくことも必要です。

2.データの評価と分析を行う

保存されているストレージ内のデータの評価や分析を行います。容量だけでなくどのように運用されているかを分析することで、どんなプランを選定すべきかがある程度明確になります。それにより、現状の課題や改善ポイントをイメージできるため、ベンダーへ相談する内容を整理できます。

3.クラウドストレージサービスとベンダーの選定

予算に合ったクラウドストレージサービスとコンサルを提供してくれるベンダーを選定します。そのためにはまず、候補となるクラウドサービスやベンダーをリストアップしましょう。クラウドサービスは規模や予想費用を収集し、ベンダーは事業内容や過去のクラウド移行実績を確認します。それぞれリストアップして十分に比較検討しましょう。これらの選定方法については次の章で詳しく解説します。

4.マニュアル作成と社内トレーニング

オンプレミス環境で使い慣れていたシステムからクラウド環境への移行により、運用方法が変わることで社員が混乱してしまう可能性もあります。したがって、新しくなるシステムの使用方法についての社内トレーニングや、マニュアルの作成が必要です。データ移行をベンダーへ依頼する場合、トレーニングやマニュアルの作成を代行してくれるケースもあります。

5.事前テスト・データのバックアップを行う

準備が整ったらクラウド移行の事前テストを行います。テストは本番と同じ環境のテストサーバーで行い、システムが問題なく動作するかを確認します。もし問題が発見された場合、その解決策を検討して移行の本番に備えて準備を整えましょう。

6.クラウドストレージへデータ移行する

クラウドストレージを契約し利用可能となったら、データ移行作業を開始します。データ量が多いほど移行作業に時間がかかりミスが生じやすくなります。そのため、作業には十分な期間と人的リソースの確保が重要です。また、データのバックアップを確実に行うことも重要です。オンプレミス環境からクラウドへのデータ移行時にトラブルが起こる危険性はゼロではありません。

7.データ移行後の検証を行う

システムが要件を満たしているか、想定通りのシステム連携パフォーマンスを発揮しているかを確認します。もし、事前の想定とテスト結果に大きな乖離がある場合、原因をつきとめる必要があります。

8.定期的な運用評価を行う

データ移行が完了したあとも定期的に評価を行います。たとえば、毎月のデータ容量はストレージのしきい値まで達する危険性がないか、アクセスが集中する時間帯のトラフィックに問題がないかなどです。また、定期的に各部署へ日々の運用に問題がないかのアンケートを実施するのも良いでしょう。

大規模プロジェクトにおけるクラウドストレージサービス選定のポイント

これまで、オンプレミスからクラウドサービスへデータ移行する手順について解説しました。それでは、どのようなサービスを選定すればよいのでしょうか。ここからは、クラウドストレージサービス選定のポイントについて詳しく解説します。

自社に必要な機能があるか

主なポイントは「ブラウザとアプリの双方でアクセス可能か」「スマートフォンやタブレットなどのデバイスに対応しているか」の2つです。働き方が柔軟になる昨今、アクセス性の高いサービスが必須といえます。どこからでも社内システムへアクセスできれば、たとえば営業担当者が帰社しなくても外出先からデータを閲覧できるため業務効率化につながります。

セキュリティ対策は十分であるか

クラウドストレージを利用する際、セキュリティ対策は不可欠です。暗号化通信やIPアドレス制限などを講じることで、ランサムウェアやマルウェアからの脅威を防げます。新たな脅威に対して常にセキュリティ対応をしているサービスを選定しましょう。

DR(ディザスタリカバリ)についても考慮

DRとは災害によってシステムの継続利用が不可能になった際の復旧や、修復するためのシステムを指します。地震や台風などの災害が多い日本において、災害時を想定した事業継続性の確保が重要です。データセンターのエリア、データの分散保存を実施しているかなども確認しましょう。

データ容量の拡張性が高いか

将来的にデータが増加することを想定する必要があるため、データ容量の拡張性が高いサービスを選定しましょう。ただ導入初期から大容量プランを選定すると余分なコストがかかるので、容量の追加や容量ごとのプランが充実しているサービスを選定することが失敗しないためのポイントです。

データ移行サービスがあるか

クラウドストレージサービスによっては、データ移行サービスを提供している場合もあります。自社でデータ移行作業を実施するには、時間や人員リソースが多くかかります。データ移行サービスを選定すれば、人員リソースをかけずにスムーズに作業を実施できます。

サポート体制が充実しているか

データ移行終了後のサポート体制が充実しているかも重要なポイントです。「24時間365日の問い合わせに対応しているか」「チュートリアルやマニュアルが充実しているか」など、日々の運用におけるシステム担当者の負担を軽減し、社員が使いやすいサービスを選定することが重要です。

まとめ

大規模プロジェクトにおけるクラウドストレージへのデータ移行作業は、計画立案と現状分析だけでなく、移行後の定期的な運用評価を行うようにしましょう。クラウドストレージサービス選定のポイントは、自社に必要な機能があるか、セキュリティ対策の充実やDR(ディザスタリカバリ)についても確認することです。データ移行サービスの有無や、サポート体制が充実しているクラウドストレージを選定することで、スムーズなデータ移行作業を実現するだけでなく、導入後のトラブル対応にも大いに役立ちます。
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