鎌倉発祥の「鎌倉シャツ」。 メーカーズシャツ鎌倉株式会社(以降、メーカーズシャツ鎌倉)では「上質なシャツを手頃な価格で提供する」をポリシーに、25年間にわたりこの鎌倉シャツを作り続けている。早期からSPA※モデルを取り入れ、またデジタルトランスフォーメーションの取り組みにも積極的であり、アパレル業界の中では先進的企業と言える。
「世界で活躍するビジネスパーソンを応援する」という企業理念のもと、上質なシャツを提供し続けるメーカーズシャツ鎌倉が現在注力しているサービスが、「Made to Measure」と呼ばれるパターンオーダーシャツである。
お客様ごとに適したフィット感を実現するために、限りなくフルオーダーに近い、様々な箇所の部分補正が可能で、300種以上の生地から選ぶことができる。
※SPA(specialty store retailer of private label apparel)
生産機能をもったアパレル専門店であり、商品の企画から製造、物流、プロモーション、販売までを一貫して行う小売業態。
オーダーシートをFAXで送り、さらに郵送するという二度手間
現在では、世界中から毎日オーダーが入るようになり、ビジネスとしての手ごたえを感じているが、「ここまでたどり着くには、いくつかの課題がありました」と語るのはメーカーズシャツ鎌倉のオンラインショップとパターンオーダーシャツを担当する上島氏だ。
以前は、パターンオーダーシャツの納期は1カ月、とお客様にご案内していたそうだ。上質なオーダーシャツを少しでも早くお客様のもとへ届けるため、受注から生産、出荷に至るまでの工程を見直し、徹底的に効率化した。
店舗で注文を受ける際にオーダーシートに記入し、それをメーカーズシャツ鎌倉から縫製工場にFAXで送信。さらに、FAXだと細かい数字などが判読できないこともあり、オーダーシートを追って郵送していた。縫製工場では、受け取ったオーダーシートを見ながら、パターンシステムに入力するため、誤入力による生産ミスも発生していた。「お客様の元にシャツが届いてから、初めて間違いに気づくということもありました」(上島氏)。
工場との情報連携に必要なのは“扱いやすさ”
サービスが好評を得て、需要が増えつつあるなか、より多くのお客様に少しでも早くシャツを提供することを目指すメーカーズシャツ鎌倉は、パターンオーダーシャツ生産における情報連携の改善を検討し始めた。工場とのやりとりにおいては、PC操作に慣れていないスタッフに配慮し、使い勝手の良いサービスを探していたところ、Fleekdriveを知ることになる。「ユーザーインターフェースやファイルをアップロードする時の操作感など、Fleekdriveの扱いやすさは決め手のひとつとなりました」(上島氏)。導入時には工場に出向いてレクチャーを行ったが、使い方を理解してもらうまでには時間がかからなかったという。
1カ月だった納期が2週間に、売り上げは約2倍に!
Fleekdrive導入を含めた改善の結果、仕組みは大きく変わった。今では毎朝、店舗から送られてきた前日のオーダーシートをまとめてPDFにして、Fleekdriveにアップするだけ。縫製工場ではそれをダウンロードして、必要な情報をCADに読み込むだけで縫製にかかれる。ミスもなくなり、1カ月だった納期が2週間で商品がお客さまのもとに届けられるようになった。この納期の短縮は、大きなセールスポイントとなった。縫製工場の生産能力があがってきたこともあいまって、オーダーシャツの売り上げは以前に比べ、約2倍になった。さらに、オーダーシートにかかっていたFAX通信費や郵送費などのコスト削減を実感することができた。
社内業務の時短にも貢献
Fleekdriveの活用は、オーダーシートの受け渡しのみにとどまらない。本社内での情報共有をはじめ、各店舗への資料配布にもFleekdriveを利用している。また、縫製工場では工場間での情報共有、本社や店舗との入荷報告書、伝票のやりとりに、さらにはオンラインショップでの倉庫とのやりとりなど、Fleekdriveの利用範囲は多岐にわたる。
これらのやりとりにおいても、以前まではFAXやメール、他システムなどが混在し、手間が生じていたが、Fleekdriveにより本社はもちろん、店舗、縫製工場の勤務時間の短縮に貢献する結果となった。
市場規模が桁違いの海外戦略でこそ、Fleekdriveが生きる
2012年10月にオープンしたニューヨーク店は、実はこのパターンオーダーシャツの受注が最も多い店舗である。「ニューヨークだけで毎月約150件の受注があります。富裕層の方は、1回の注文が1週間分だとか1ダースだとか、桁が違いますね」とメーカーズシャツ鎌倉海外サイト副責任者の日坂氏は語る。2018年には現地に倉庫を新設し、提供スピードをさらに早めることができたという。これだけのオーダーのやりとりをFleekdriveで効率化できたコスト効果は大きい。またメーカーズシャツ鎌倉では、中国において先行しているオンライン販売に続き、上海をはじめとする店舗展開も検討している。
Fleekdriveは、郵送やFAXなどのアナログツールに頼ることなく、情報を瞬時に、かつ同時に、国境を越えて共有できるサービスである。これからのメーカーズシャツ鎌倉の海外戦略に欠かせないものとなるだろう。