企業の情報管理は、データが消失しないよう適切に行うことが大切です。情報システムや従業員のパソコンなど、デジタルデータを前提にした業務では、消失により事業継続が困難になるという重大なリスクに直結しているからです。データ消失にはどのような原因があり、そしてどのような影響を及ぼすのでしょうか。データ消失を防止するバックアップの方法も併せてご紹介します。

データ消失が起きる理由

人的ミスのほか、機器、外部要因など、さまざまな理由で発生するデータ消失。データがなくなるだけではなく、データの中身が意図しないものに書き換わってしまうことも消失といえます。

誤操作

パソコンを操作している際に、うっかりミスでファイルを消してしまうことがあります。また、ITスキルが低い従業員の場合、消すつもりがないのにアプリケーションからの問いかけを理解できず、削除の指示をしてしまう可能性もあります。また、管理者が作業中に設定を誤ってしまい、データを消失することも考えられます。

故障・障害

記憶装置などのハードウェアが故障することによって、データが消失するおそれがあります。データ復旧によって、残っているデータを取り出すことができる可能性もありますが、最悪の場合は保存していたすべてのデータが消えてしまうこともあります。

災害

台風や大雨、地震、津波など、近年は甚大な自然災害が多発傾向にありますので、意識しておくべき消失原因といえるでしょう。また、火災や水道管の破裂など、自然が原因ではない災害も想定されます。

サイバー攻撃

社外からの悪意を持ったアクセスによって、データを消失するおそれがあります。サイバー攻撃は、業務を停止させた上で復旧のために金銭を要求するもののほか、単純に業務を停止させて妨害するために行われるものが増えています。

コンピュータウイルス・マルウェア

愉快犯や技術力の誇示などを目的として作成されたコンピュータウイルスには、ファイルを消失させるものがあります。悪意のあるプログラムであるマルウェアを、サイバー攻撃を仕掛けるために潜ませておく手口もあります。

データ消失がビジネスに与える影響

データを消失することで、ビジネスにどのような影響が出てしまうのでしょうか。なお、企業だけでなく、顧客や取引先への影響も考えられます。

業務がストップしてしまう

システムやパソコンの使用を前提にした現代の業務では、データの消失は業務の停止を意味します。パソコン1台だけの話であれば影響も限定的ですが、ファイル共有に使用しているファイルサーバ、会計や在庫管理などを行う業務システム、メール管理サーバなどのデータが消失すると、会社全体の業務継続が困難になってしまいます。事業によっては、顧客の個人情報や注文情報を預かっていることもあります。その場合、データ消失によって連絡がとれなくなってしまうなど、業務を正常化するのが困難なケースも考えられます。

復旧までのコストがかかる

データの復旧にコストがかかることは間違いありません。例えば、「入力した情報の再登録」「作成した資料の再作成」「手元からなくなった受領資料を再送してもらう」など、多大な労力と時間を要します。また、業務が停止している時間が長いほど、利益を上げることができません。対外的な信用が落ちることで業務再開後にも影響を及ぼすでしょう。取引先への補償が必要な場合にはその額も膨らむため、多大なコストを払うことも考えられます。

信用問題に関わる

業務が停止してしまうと、取引先に大きな迷惑をかけることになるなど、対外的な信用を失うことになります。また、情報管理が不十分なのではないかと、ほかの範囲にまで疑念が及ぶ可能性もあります。社内に目を向けてみると、消失させてしまった従業員個人が信用を失うだけでなく、部署や上司の信用にも影響が及ぶことが考えられます。会社全体として対策が不十分だったと判断されれば、事前に手を打てなかった情報システム部などへの風当たりも強くなるでしょう。

データをバックアップする方法

万が一、データが消失してしまった場合に備えて、データをバックアップすることで復旧(リカバリ)を図ることができます。バックアップの方法は、データ量や頻度、所要時間、コストなどによって最適なものを選択します。ただコピーを残しただけでは意味がなく、復旧する際にかかる時間なども考慮に入れておかなければなりません。バックアップ先の選択肢には、次のようなものがあります。

外付けHDD

外付けのHDDは、入手が容易で、比較的大容量です。容量の割に価格が安く、手軽に持ち運びができ接続も容易なので、バックアップに利用しやすいのが特徴です。

NAS

NASは、HDDに比べると高価ですが、複数のHDDをまとめて、さらに大容量化することができます。構成によっては、同じ内容を複数台に書き込むこともできるため、1台のディスクが故障しても復旧可能です。さらに、ネットワークを通じて複数の端末から接続できることも特徴ですが、機器によってはHDD単体より速度が劣ります。

光ディスク

DVDなどの光ディスクは、入手しやすくコンパクトなので管理しやすいバックアップメディアです。ただし、一般的には数ギガバイトまでの容量となるため、用途によっては適しません。速度も、必ずしも高速とはいえません。また、経年劣化のおそれがあるため、長期間の保存には注意が必要です。

磁気テープ

磁気テープは、大容量でバックアップには適していますが、専用の機器が必要なので、初期投資の負担が大きくなります。速度も遅く、データが順番に記録されるので、必要な情報にアクセスするまで時間がかかってしまいます。しかし、テープを日付別に分けるなど管理方法を工夫すれば、目的の日時にデータを戻しやすいという特徴を持っています。そのため、小さなデータの復旧よりも、システム全体を復旧させるのに適しているといえます。近年は、磁気テープをシステムと離れた安全な場所に保管しておくことで、災害対策として利用が見直されているメディアです。

SSD

SSDはHDDと同じように使え、遥かに高速なので、急いでバックアップを取る必要がある場合に適しています。ただし、コストあたりの容量は小さいので、用途に合わせて利用するのが一般的です。また、HDDは故障してもデータを取り出せる可能性がありますが、SSDは故障するとデータの復旧が難しいメディアです。

クラウド

クラウドは、ハードウェアを購入しないで済むため、初期コストを抑えることができます。また、機器の故障や複数拠点での分散などはクラウド事業者がすべて対応しているため、利用者は気にする必要はありません。容量も利用状況に合わせて柔軟に変更できることが一般的です。自前の機器でバックアップを取るよりコストが増えることもありますが、管理者にとっては負担が少ないため、むしろトータルでのコストを抑えられることもあります。ネットワークが高速化している現在、バックアップ先の候補としてよく検討されています。

データ消失に備え、日頃からバックアップを

データは消失の可能性があるという前提に立ち、日頃からバックアップを取り、いざというときには迅速にデータを復旧できるようにしておくことが大切です。データやシステムの特性にもよりますが、最近では管理に手間がかからず、自前で設備を持つ必要がないクラウドの利用が一般的になっています。

企業向けオンラインストレージ「Fleekdrive(フリークドライブ)」の資料請求はこちらから