クラウド技術の進歩は企業に新たな可能性を提供する一方で、データ保護の重要性も増してきています。しかし、クラウド技術はビジネスにとってどれほど重要なのか、データ保護はどのように確保すれば良いのかと、悩んでいるご担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、クラウドセキュリティにおけるデータ保護の重要性と大企業における具体的な対策について解説します。

クラウドセキュリティにおけるデータ保護とは

クラウドセキュリティは、現代の大企業において非常に重要な要素です。ここからはクラウド上でのデータ保護の目的と重要性について解説します。

目的

クラウドセキュリティにおけるデータ保護の主な目的は、以下の3つです。

  • 不正アクセスから守る
  • データ漏洩を防ぐ
  • サイバー攻撃から守る

データ保護の目的は、不正アクセスやデータ漏洩、サイバー攻撃から保護することです。膨大なデータを持つ企業にとって、顧客からの信用と信頼を維持するためには非常に重要です。また、法的リスクの回避にもつながります。データは企業の無形資産であり、その重要なデータをしっかり保護・管理することは企業の成長にもつながります。

重要性

近年のサイバー犯罪の増加に伴い、データ保護の重要性は高まる一方です。また、データ管理は企業のリスク管理でもあると言えます。個人情報を大量に扱う企業では、情報漏洩が発生してしまうと事業の継続が危ぶまれます。場合によっては損害賠償の問題へと発展することもあるため法令順守にも関わってきます。特に大企業においては、多種多様なデータのやりとりや、大量のファイルが日々作成されるため、取り扱うデータは年々膨らんでいきます。増え続ける重要なデータを、不正にデータを取得する脅威から保護することは、企業にとって非常に重要と言えるでしょう。

クラウドセキュリティにおけるデータ保護の課題

クラウド技術の進歩は、企業へ多くのメリットをもたらしていますが、データ保護については課題が増加しているのが現状です。ここでは、クラウドセキュリティにおけるデータ保護の課題について解説します。

データ可視性の欠如

データの可視性とは、クラウド内の運営状況を詳細に把握することです。データの可視性が欠如すると、多大なセキュリティリスクやパフォーマンスの問題を引き起こす可能性があります。クラウドサービスにおいては、データを保管するインフラの所有者はクラウド事業者です。データを通信するネットワークについてもクラウド事業者が提供するため、これらの箇所で何が発生しているかはクラウド事業者に依存します。 そのため、クラウドサービスを選定する際は、パフォーマンス問題をしっかりと診断・把握でき、セキュリティ上の脆弱性を特定できるようなサービスの選定が必要です。

データの機密性

クラウド上でのデータ管理では、データの機密性を保つことが重要です。しかし、クラウドサービスによっては、データアクセスの制御と暗号化が十分でない場合があります。それではデータ漏洩や不正アクセスのリスクが高まってしまいます。データの機密性を保護するには、適切なアクセス制御とデータの暗号化が可能なクラウドサービスの導入が不可欠です。

セキュリティ侵害

クラウドサービスの利用は、セキュリティ侵害のリスクも伴います。サイバー攻撃などによる外部からの侵入や内部の不正、またクラウド事業者におけるセキュリティポリシーの不備などが、セキュリティ侵害の要因として挙げられます。セキュリティ侵害は企業の信用に重大な影響を及ぼすため、定期的なチェックとモニタリング、教育・訓練が必要です。

クラウドでデータを保護する4つの方法

ここからは、クラウド上でのデータ保護を強化する4つの方法を紹介します。

適切なデータバックアップ

クラウドストレージを利用する際、データのバックアップは不可欠です。 クラウドストレージサービスは、クラウド事業者によってデータが保管されています。データが保管されているデータセンターが、自然災害に見舞われた場合、データが危険にさらされます。クラウドバックアップは、データを自動的にオンラインで複製し、安全に保管することができます。また、クラウド事業者により複数のサーバーで、かつ遠隔地においてもデータを分散させて保管します。もし何か事故が発生した際も、適切にデータをバックアップできます。

最適なプロバイダーの選定

クラウドサービスを提供する企業は、大手のソフトウェアベンダーから小規模の事業者などさまざまです。最適なプロバイダーを選定するためには、以下を評価のポイントとするとよいでしょう。

  • 提供するセキュリティレベル
  • 法令遵守への対応
  • カスタマーサポートのサービスレベル

中でも重要なことは、より高いセキュリティ性が確保されているかです。サービスの内容やコストだけでなく、セキュリティレベルやサポート体制に注力し、自社にとってもっともマッチするプロバイダーを選定しましょう。

ファイルレベルによる暗号化

データは、ファイルレベルで暗号化することも可能です。それにより「外部からの不正アクセス」と「内部からのデータ漏洩」を防ぐことができます。個々のファイルを特定の暗号化キーで保護することで、万が一外部からの不正アクセスがあってもデータを保護できます。特に現代は働く場所を選ばず、どこからでもファイルへアクセスできるケースが増えており、クラウド上でファイル共有が日常的に行われています。クラウドサービスによっては、PDFファイルの印刷やコピー&ペーストを禁止する機能もあります。よりセキュアにデータ保護が可能なサービスを選定しましょう。

安全なデータ転送

データを安全に転送するためには、SSLの使用が必須です。SSL(Secure Sockets Layer)とはWebサイト、および閲覧するユーザとのやり取りを暗号化する仕組みです。それにより、第三者による不正アクセスやデータ漏洩のリスクを低減し、データ転送時のセキュリティを強化できます。また、24時間体制で不正なアクションを自動通知するサービスもあります。たとえば、パートナー会社の担当者が、深夜にファイルを大量にダウンロードしていた場合、異常とみなして管理者へ即時に通知することも可能です。

まとめ

大企業において、クラウドセキュリティとデータ保護の重要性が高まっています。クラウドセキュリティは「データ可視性の確保」や「適切なデータバックアップの実施」など、データ保護のために最適な機能があります。一方で、適切な対策を講じなければならない課題も存在するため、高いセキュリティレベルを確保しているクラウドサービスの選定が重要です。この記事が、適切なデータ保護を実現できる最適なクラウドサービス選定の一助となれば幸いです。