自分のやりたい企画やアイディアを通すためにも、プレゼンのスキルは重要です。社会人になって、プレゼンをする機会が増えたという人も多いはず。もともと得意な人ならよいのですが、世の中、そういう人ばかりとは限りません。なかにはプレゼンが苦手という人もいるのではないでしょうか。しかし、実はプレゼンに才能はあまり関係ありません。ここで紹介するいくつかのコツを飲み込めば、相手の心を動かすプレゼンがより簡単にできるようになるはずです。

プレゼンが苦手な人ってどのくらいいる?

プレゼンでは、人前で自分の意見や考えを発表し、しかも発表された内容について聞き手を納得させなくてはいけません。得意、不得意がはっきりとあらわれる分野ではないでしょうか。そこでここでは、プレゼンに苦手意識を持つ人がどれくらいいるのかを調べるべく、アンケート調査を実施。全国200人の男女から回答を得ることができました。

【質問】
プレゼンは苦手ですか?

【回答結果】
苦手:165
得意:35

調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年03月10日~2017年03月16日
有効回答数:200サンプル

できるものならやりたくない……苦手な人が圧倒的に多い!?

アンケートをとったところ、「苦手」という回答が多数を占める結果となりました。

  • 人前で話すのが苦手。原稿を用意していても、本番で頭が真っ白になってしまう。(20代/女性)
  • 大勢の人の前で話をすること自体が苦手だから。(40代/男性)
  • 私は苦手ですね。プレゼンの機会は社会人にとって何かと回ってきます。人前で聞き手の目線に立って、相手に刺さる情報だけを伝えることはとても難しいですね。自分の言いたいことを並べても相手に心は伝わりません。(50代/女性)

「苦手」と回答した人からは人前で話すのが苦手、プレゼンの内容を考えるのも難しいなどとの意見が寄せられています。一方、なかにはこんなプレゼン上手な人たちも。

  • ステージの上に立つと、全てが吹っ切れて楽しくなる。また、始まるまでの準備期間に立ち振る舞いなどを考えるのがたまらない。(20代/男性)
  • webディレクターだった頃、プレゼン前には地道に下調べをして、クライアントの興味を確実に引ける要素を資料に詰め込んでからプレゼンに臨んでいました。事前に何度も確認、シミュレーションを繰り返し、自信を持ってプレゼンできたので、コンペの勝率はなかなかだったと思います。プレゼンは準備と自信が重要ですね!(30代/女性)

プレゼンが得意という人でも、もともとの才能に頼りっぱなしというわけではないようです。下準備やリハーサルなどかなり努力をしています。
どうやらプレゼンを成功させるためには、いくつかポイントがありそうです。そのポイントをこれから学んでいきましょう。

プレゼンの構成はわかりやすくが基本!まずは頭の中を整理して

それでは、どうしたら人の心に訴えかけるようなプレゼンができるのでしょうか。そもそもどんな内容を話すべきか、構成の仕方がわからないという人もいるかもしれません。しかし、プレゼンの構成というのはテクニカルなものです。そこに才能はあまり関係ありません。
プレゼンの構成を考える上で大切なことは、シンプルでわかりやすい構成を心がけることです。あれもこれもと情報を詰め込んでしまうと、何が言いたいのかわからないプレゼンになってしまいます。まずは頭の中を整理し、プレゼンで伝えたいテーマを1つに絞り込みましょう。そのうえで今度は、5W1Hや帰納法、演繹法といった枠組みに基づき、プレゼンの内容を論理的にまとめていきます。そうして論理の流れに破綻がないような中身ができあがったら、今度はそれを特定のパターンに落とし込んでいきます。
実は、良いプレゼンといわれるものには一定の型があります。これはプレゼンの名人といわれる人々のプレゼンでも同じです。こうしたプレゼンの構成パターンを覚え、それに基づいてプレゼンの内容を組み立てていけば、人に伝わるプレゼンができます。代表的な構成パターンとしては、三部構成やSDS法などがあります。

ひと目でわかる!プレゼン資料の上手な作り方のコツ

口頭だけで説明するよりも、目で見る資料があったほうが効果的に話の内容を伝えられることもあります。そこで活躍するのがスライドなどのプレゼン資料です。テキストだけでなく、グラフや統計データ、画像などを聞き手に見せることで、よりプレゼンの内容を理解してもらいやすくなります。
もっとも見づらい資料はかえってプレゼンの足を引っ張ってしまいます。プレゼン資料の作り方にはコツがあるのです。
1つ目の作り方のコツは、シンプルな内容を心がけるということです。基本は1ページ(1スライド)1メッセージです。書く内容を絞りこみ、一目でそこに書かれた内容が理解できるような資料を目指しましょう。物事を列挙するときはインデックス番号をつけたり、言葉で説明する代わりにグラフや表を使ったりするなど、見ている人が情報を整理しやすいように作るのも大切です。
2つ目の作り方のコツは、視認性に優れたレイアウトを心がけるということです。資料は目で読むものですので、いくら内容が良くても見づらい資料は良い資料とはいえません。フォントなどの全体のレイアウトを統一する、色を使いすぎないなどがこれに当てはまります。すっきりした、見やすいレイアウトを目指しましょう。

話し方を覚えればOK!うまくプレゼンをするコツとは?

プレゼンのテクニックには構成、資料作りだけでなく、話し方も含まれます。プレゼンで話すのと、パーティーなどで大勢の人と雑談するのとでは、求められる能力がまったく異なります。あがり症や話下手という人でも、訓練を積めば、プレゼン上手になることは十分に可能です。
プレゼンにおける話し方には、声のボリュームや話すスピード、アイコンタクトのとり方などいくつかのコツがあります。また話し方だけでなく、話者の態度や表情、姿勢も重要です。表情が硬かったり、姿勢が悪かったりすると、聞き手にあまり良い印象を与えません。
プレゼンの話し手には、良い姿勢でにこやかに振る舞うこと、聞き取りやすい声で聴衆に語りかけるように話すことなどが求められています。これらを身につけるのにもっとも効果的なのは、本番さながらの状況で練習を繰り返すことです。プレゼンをする予定が決まったら、本番までに何度も声を出してリハーサルを行いましょう。しかも、ただ声をだすのではなく、姿勢や表情など細かいところまでチェックしながら練習するのがコツです。こうした事前準備をきちんとしておくことで、本番でも余裕のある態度が取れるようになるでしょう。

気を抜かないで……プレゼンはまとめ方を覚えると良い

プレゼンを成功させるためには全体の構成や話し方も大切ですが、プレゼンの内容、それも導入部分になる「はじめ」と、最後の「まとめ」を作り込んでおくと、より印象に残るプレゼンができます。
話のつかみとなる「はじめ」が退屈だと聞き手の集中力が途切れてしまいますし、「まとめ」の内容がぼやけているとプレゼンの印象が薄いものになってしまいます。プレゼン全体の構成を引き締めるためにも、「はじめ」と「まとめ」の内容には気を配るべきです。
プレゼンの目的はただ誰かに話を聞いてもらうことではありません。本当の目的は、その話を通じて聞き手にアクションを起こさせることにあります。そのためにも聞き手の「聞きたいこと」をよく考えながら、伝えるべきメッセージを決めなければなりません。こうして考えたメッセージやテーマを、「はじめ」や「まとめ」の内容に取り入れていきます。
まず「はじめ」の部分でテーマに触れ、聞き手をその後の話に集中させます。そして「まとめ」の部分で、伝えたいメッセージやテーマをもう一度繰り返します。繰り返しには強調効果があるため、「何を伝えたかったのか」ということを意識して繰り返すのがまとめ方のポイントと言えます。

ここまで読めば大丈夫?大切なのは伝わるかどうか

ここまで、主にプレゼンのテクニックにまつわるトピックスを紹介してきました。
よいプレゼンをするためには、構成のパターンを押さえるなど多少のテクニックは必要です。構成や話し方、資料作りなどのコツを押さえ、何度も練習を重ねれば、プレゼンのスキルは次第に上がっていきます。
もっとも、テクニックを身につければ良いプレゼンができるかというとそうとも限りません。プレゼンの本来の目的を忘れ、マニュアルやテンプレートに頼りすぎてしまうと、かえってよいプレゼンから遠のいてしまう可能性があるのです。
プレゼンの目的は、自分の意見や考えを伝え、聞き手から共感を得ることにあります。人の心を動かすためには、まず「このメッセージを伝えたい」という熱意が重要です。マニュアル通りの無難なプレゼンよりも、多少はたどたどしくても自分の言葉で語ったプレゼンのほうが聞き手の印象に残ることもあります。よいプレゼンをするためには、テクニックと同じくらい、話し手自身が自分のプレゼンしている内容に自信や愛情を持つことも大切なのです。プレゼンの名人といわれている人のプレゼンにはそれがあります。テクニックに溺れすぎず、伝えたいという熱意を大切にしてください。

まとめ

プレゼンのスキルは、生まれ持った才能だけで決まるものではありません。構成や話し方などのテクニックを身につけ、そして練習を重ねれば、どんどんうまくなっていきます。人前で話すのが苦手という人でも、相手の心に届くプレゼンはできます。「伝えたい」という熱意を大切にしつつも、マニュアルやテンプレートの力を借りて、誰が聞いてもわかりやすい、そして言いたいことがはっきりと伝えられるプレゼンを作っていきましょう。