卸売業では、受発注書類や納品書・請求書、価格表・取引条件、商品規格書・商品画像など、仕入先・販売先・倉庫との間で多くのファイルをやり取りします。保管の仕組みが整う一方で、過去の書類探しや最新版の確認、保存後の承認依頼や受注情報の再入力は、メールやチャットなど保存場所の外で発生しがちです。なお、卸売業では取引先の指定や商習慣からFAX・紙を併用する合理的な理由があるため、本調査は紙の利用自体ではなく、電子ファイル業務に残る負担を対象としています。
今回は製造業・建設業・金融業に続き卸売業を対象に、保存後に残る「隠れた業務負担」の実態と、かかる時間や取引先対応への影響、ファイル管理サービスに求める条件を調査しました。
Contents
- 1 調査サマリー
- 2 調査概要
- 3 卸売業のファイル管理における「隠れた業務負担」の実態調査
- 3.1 卸売業で日常的に扱う電子ファイル、「受発注書類」「納品書・請求書など」がともに63.8%で最多。「社内規程・マニュアル・教育資料」46.7%、「価格表・取引条件に関する資料」43.8%が続く
- 3.2 業務ファイルの保管・共有・受け渡しの手段は「社内のファイルサーバー」67.6%が最多。「メール添付による送付」46.7%、「オンラインストレージ・クラウドストレージ」45.7%が続く
- 3.3 49.5%が「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」、46.7%が「最新版や改訂履歴がわかりにくい」と回答
- 3.4 72.4%が、ファイル保存・更新後の作業のいずれかを別の手段で実施。最多は「上長や関係者への確認・承認の依頼」35.2%
- 3.5 ファイルの検索・共有や保存後の連絡などに「週1時間以上」を費やす人は43.9%
- 3.6 最新版の価格表・商品資料・取引書類を相手が確認したか「把握できていない」は36.2%
- 3.7 直近1年間で「確認・承認が滞り、納品や取引先への回答が遅れた」は39.0%。「変更が伝わらず、誤出荷や数量・仕様の食い違いが発生」も25.7%
- 3.8 取引先ごとの価格表・取引条件で手間なのは「取引先が指定する様式に合わせて作り直す必要がある」33.3%、「適用開始日が異なり、どの条件を使うか判断しにくい」32.4%
- 3.9 卸売業がファイル管理サービスに求める基準、第1位は「過去のファイルを素早く探し出せること」51.4%。「導入・運用にかかる費用」は23.8%
- 3.10 「扱いに特別な知識を必要としないこと」「クラウドサービスでかつ、ランサムウェア対策をしているところが良い」などの声も
- 4 まとめ
調査サマリー
- 49.5%が「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」、46.7%が「最新版や改訂履歴がわかりにくい」と回答。直近1年では39.0%が、確認・承認の滞りで納品や取引先への回答が遅れた経験あり
- 72.4%が、保存・更新後の作業のいずれかを別の手段で実施。検索・共有や保存後の連絡などに週1時間以上を費やす人は43.9%
- 選定基準の第1位は「過去のファイルを素早く探し出せること」(51.4%)。費用(23.8%)より、検索性・最新版管理・セキュリティを重視
調査概要
- 調査名称:卸売業のファイル管理における「隠れた業務負担」の実態調査
- 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
- 調査期間:2026年9月25日〜2026年9月29日
- 有効回答:従業員数100名以上の卸売業・商社に勤務する正社員で、直近1ヶ月以内に、社内外の複数人が扱う業務ファイルについて、作成・保存・更新・送付・配布・共有設定・承認依頼・承認・整理のいずれかを自ら行った105名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
卸売業のファイル管理における「隠れた業務負担」の実態調査
卸売業で日常的に扱う電子ファイル、「受発注書類」「納品書・請求書など」がともに63.8%で最多。「社内規程・マニュアル・教育資料」46.7%、「価格表・取引条件に関する資料」43.8%が続く
「Q1. あなたが、業務で日常的に扱っている電子ファイルの種類を教えてください。(複数回答)」(n=105)
「見積書・注文書・注文請書などの受発注書類」と「納品書・受領書・請求書・支払通知書」がともに63.8%で最も多く、「社内規程・マニュアル・教育資料」が46.7%、「価格表・見積条件・取引条件に関する資料」が43.8%と続きました。在庫表・入出荷予定・納期に関する資料(36.2%)や、商品規格書・仕様書・カタログ・商品画像(34.3%)も3割を超え、卸売業では、受発注から納品・請求、商品情報、在庫・物流まで、取引の流れに沿ったファイルを日常的に扱う人が多いことがわかります。

- 見積書・注文書・注文請書などの受発注書類:63.8%
- 納品書・受領書・請求書・支払通知書:63.8%
- 社内規程・マニュアル・教育資料:46.7%
- 価格表・見積条件・取引条件に関する資料:43.8%
- 取引基本契約書・覚書・与信関連書類:38.1%
- 在庫表・入出荷予定・納期に関する資料:36.2%
- 商品規格書・仕様書・カタログ・商品画像:34.3%
- 品質保証書・SDS・産地証明などの証明書類:25.7%
- その他:1.9%
- わからない/答えられない:3.8%
業務ファイルの保管・共有・受け渡しの手段は「社内のファイルサーバー」67.6%が最多。「メール添付による送付」46.7%、「オンラインストレージ・クラウドストレージ」45.7%が続く
「Q2. あなたが、業務ファイルの保管・共有・受け渡しに使用している場所や手段を教えてください。(複数回答)」(n=105)
「社内のファイルサーバー」が67.6%で最も多く、「メール添付による送付」が46.7%、「オンラインストレージ・クラウドストレージ」が45.7%と続きました。「自分のパソコン内、USBなどの外部メディア」は33.3%、「販売管理・受発注・在庫管理などの基幹システム」は28.6%、「チャットツールへの投稿・共有」は27.6%でした。紙での保管・回覧・郵送・FAX(14.3%)は、取引先の指定や商習慣から併用されている面もあると考えられます。保管の場所と受け渡しの手段があわせて使われ、経路が複数に分かれている実態がうかがえます。

- 社内のファイルサーバー:67.6%
- メール添付による送付:46.7%
- オンラインストレージ・クラウドストレージ:45.7%
- 自分のパソコン内、USBなどの外部メディア:33.3%
- 文書管理システム:31.4%・販売管理・受発注・在庫管理などの基幹システム:28.6%
- チャットツールへの投稿・共有:27.6%
- 電子ファイルを印刷し、紙で保管・回覧・郵送・FAX:14.3%
- その他:0.0%
- わからない/答えられない:1.9%
49.5%が「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」、46.7%が「最新版や改訂履歴がわかりにくい」と回答
「Q3. あなたが、業務ファイルの取り扱いに関して、現在非効率だと感じていることを教えてください。(複数回答)」(n=105)
「過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる」が49.5%で最も多く、「業務ファイルの最新版や改訂履歴がわかりにくい」が46.7%と続きました。「外出先・訪問先や倉庫から、必要な資料を確認しづらい」は32.4%、「商品画像など大容量データを取引先と共有しづらい」は26.7%にのぼり、「特に非効率は感じていない」は13.3%でした。

- 過去のファイルや資料を探すのに時間がかかる:49.5%
- 業務ファイルの最新版や改訂履歴がわかりにくい:46.7%
- 外出先・訪問先や倉庫から、必要な資料を確認しづらい:32.4%
- 商品画像など大容量データを取引先と共有しづらい:26.7%
- 確認・承認の依頼や変更内容の連絡に手間がかかる:22.9%
- アクセス権限や操作履歴の管理に手間がかかる:22.9%
- その他:1.0%
- 特に非効率は感じていない:13.3%
- わからない/答えられない:1.0%
72.4%が、ファイル保存・更新後の作業のいずれかを別の手段で実施。最多は「上長や関係者への確認・承認の依頼」35.2%
「Q4. あなたが、業務ファイルを保存・更新した後に発生する作業のうち、ファイルを保存した場所だけでは完結せず、別の手段を併用しているものを教えてください。(複数回答)」(n=105)
「上長や関係者への確認・承認の依頼」が35.2%で最も多く、「取引先・倉庫・関係部署への書類の送付・配布」が33.3%、「価格表・商品情報の更新や変更内容の連絡」が32.4%、「確認・承認の進み具合の把握や再連絡」が31.4%と続きました。「特に作業は発生していない」「わからない/答えられない」以外を選んだ人は72.4%で、「注文書の品番・数量などを別のシステム・表に手入力」も16.2%ありました。ファイルを保存した後も、承認依頼、送付・配布、変更の連絡、転記などが保存場所の外で発生している状況がうかがえます。

- 上長や関係者への確認・承認の依頼:35.2%
- 取引先・倉庫・関係部署への書類の送付・配布:33.3%
- 価格表・商品情報の更新や変更内容の連絡:32.4%
- 確認・承認の進み具合の把握や再連絡:31.4%
- 共有設定やアクセス権限の設定・変更:21.9%
- 注文書の品番・数量などを別のシステム・表に手入力:16.2%
- その他:0.0%
- 特に作業は発生していない:27.6%
- わからない/答えられない:0.0%
ファイルの検索・共有や保存後の連絡などに「週1時間以上」を費やす人は43.9%
「Q5. あなたが、業務ファイルの検索・共有、保存・更新後の連絡・配布、権限設定や台帳への転記などに費やしている時間は、1週間あたりどの程度ですか。」(n=105)
「1時間以上2時間未満」が27.6%で最も多く、「30分以上1時間未満」が26.7%と続きました。「1時間以上2時間未満」「2時間以上4時間未満」「4時間以上8時間未満」「8時間以上」を合わせると43.9%となり、4割を超える人がファイルの検索・共有や保存後の作業に週1時間以上を費やしています。

- 30分未満:22.9%
- 30分以上1時間未満:26.7%
- 1時間以上2時間未満:27.6%
- 2時間以上4時間未満:10.5%
- 4時間以上8時間未満:4.8%
- 8時間以上:1.0%
- わからない/答えられない:6.7%
最新版の価格表・商品資料・取引書類を相手が確認したか「把握できていない」は36.2%
「Q6. あなたは、社内外の関係者(取引先、倉庫・配送の担当者、関係部署など)が、最新版の価格表・商品資料・取引書類を確認したかどうかを把握できていると思いますか。」(n=105)
「あまりそう思わない」が29.5%、「全くそう思わない」が6.7%となりました。両者を合わせると36.2%に達し、最新版を配布・共有した後も、相手が確認したかどうかを把握できていない人が3人に1人を超えています。取引先や倉庫・配送の担当者まで変更が届いたかを確かめる作業が、送った後にも残っていることがうかがえます。

- 全くそう思わない:6.7%
- あまりそう思わない:29.5%
- ややそう思う:38.1%
- 非常にそう思う:12.4%
- 価格表・商品資料などを配布・共有する機会はない:7.6%
- わからない/答えられない:5.7%
直近1年間で「確認・承認が滞り、納品や取引先への回答が遅れた」は39.0%。「変更が伝わらず、誤出荷や数量・仕様の食い違いが発生」も25.7%
「Q7. あなたが、業務ファイルの取り扱いに関して、直近1年間に経験したことを教えてください。(複数回答)」(n=105)
「確認・承認が滞り、納品や取引先への回答が遅れた」が39.0%で最も多く、「必要な書類が見つからず、取引先への対応が滞った」が27.6%、「変更が伝わらず、誤出荷や数量・仕様の食い違いが発生」が25.7%と続きました。「改訂前の価格表・商品情報で受注が進み、訂正が発生」は20.0%、「監査や取引先からの証跡提出で、書類を集めるのに苦労」は14.3%、「価格条件など取引先の機密情報を意図しない相手に送信」は12.4%でした。「特に経験していない」「わからない/答えられない」以外を選んだ人は74.2%にのぼり、ファイル管理の負担が納品、出荷、取引先対応、情報管理にまで及んでいる様子がうかがえます。

- 確認・承認が滞り、納品や取引先への回答が遅れた:39.0%
- 必要な書類が見つからず、取引先への対応が滞った:27.6%
- 変更が伝わらず、誤出荷や数量・仕様の食い違いが発生:25.7%
- 改訂前の価格表・商品情報で受注が進み、訂正が発生:20.0%
- 監査や取引先からの証跡提出で、書類を集めるのに苦労:14.3%
- 価格条件など取引先の機密情報を意図しない相手に送信:12.4%
- その他:1.9%
- 特に経験していない:24.8%
- わからない/答えられない:1.0%
取引先ごとの価格表・取引条件で手間なのは「取引先が指定する様式に合わせて作り直す必要がある」33.3%、「適用開始日が異なり、どの条件を使うか判断しにくい」32.4%
「Q8. あなたが、取引先ごとの価格表・取引条件を扱う際に、手間だと感じることを教えてください。(複数回答)」(n=105)
「取引先が指定する様式に合わせて作り直す必要がある」が33.3%で最も多く、「適用開始日が異なり、どの条件を使うか判断しにくい」が32.4%、「取引先ごとに条件が異なり、確認に時間がかかる」が30.5%と続きました。「条件改定の連絡が個別に届き、集約されていない」も26.7%にのぼります。「特に手間だと感じることはない」は3.8%、「取引先ごとの価格表・取引条件を扱う業務はない」は13.3%でした。取引先ごとに様式や適用時期が異なる条件を、そのつど確かめたり作り直したりする手間が残っていることがうかがえます。

- 取引先が指定する様式に合わせて作り直す必要がある:33.3%
- 適用開始日が異なり、どの条件を使うか判断しにくい:32.4%
- 取引先ごとに条件が異なり、確認に時間がかかる:30.5%
- 条件改定の連絡が個別に届き、集約されていない:26.7%
- 同じ条件が複数の資料に分散している:20.0%
- 過去に適用した条件をさかのぼって確認しづらい:16.2%
- その他:0.0%
- 特に手間だと感じることはない:3.8%
- 取引先ごとの価格表・取引条件を扱う業務はない:13.3%
- わからない/答えられない:1.9%
卸売業がファイル管理サービスに求める基準、第1位は「過去のファイルを素早く探し出せること」51.4%。「導入・運用にかかる費用」は23.8%
「Q9. あなたが、業務ファイルを扱う製品やサービスを選ぶとしたら、どのような条件を重視するか教えてください。(上位3つまで回答可)」(n=105)
「過去のファイルを素早く探し出せること」が51.4%で最も多く、「最新版と改訂履歴がすぐにわかること」が43.8%、「セキュリティ・情報漏えい対策」が38.1%と続きました。「承認・通知・配布を同じ環境で進められること」と「導入・運用にかかる費用」はともに23.8%で、費用は上位3項目を下回っています。卸売業では、価格だけでなく、必要なファイルをすぐに探せること、最新版を確かめられること、安全に扱えることが重視されています。

- 過去のファイルを素早く探し出せること:51.4%
- 最新版と改訂履歴がすぐにわかること:43.8%
- セキュリティ・情報漏えい対策:38.1%
- 承認・通知・配布を同じ環境で進められること:23.8%
- 導入・運用にかかる費用:23.8%
- 誰がいつ閲覧・操作したかの記録が残ること:21.9%
- 自社の承認ルールや業務の進め方に合わせやすいこと:9.5%
- 大容量ファイルを社内外と安全に共有できること:7.6%
- その他:0.0%
- わからない/答えられない:3.8%
「扱いに特別な知識を必要としないこと」「クラウドサービスでかつ、ランサムウェア対策をしているところが良い」などの声も
「Q10. Q9で「わからない/答えられない」以外を回答した方にお聞きします。Q9で回答した以外に、業務ファイルを扱う製品やサービスを選ぶ際に重視する条件があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=101)
72件の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
- 扱いに特別な知識を必要としないこと
- レスポンスの良さ。操作が直感的に分かりやすいもの
- セキュリティが高く、かつ扱いやすいこと
- クラウドサービスでかつ、ランサムウェア対策をしているところが良い
- システムを入れてから、カスタマイズしたい時に素早くできる対応
まとめ
今回は、卸売業に勤務する105名を対象に、ファイル管理における「隠れた業務負担」の実態を調査しました。
非効率の上位は過去のファイル探し(49.5%)と最新版の確認(46.7%)で、72.4%が保存・更新後の作業を別の手段で行っています。直近1年では39.0%が確認・承認の滞りによる納品・回答の遅れを、25.7%が誤出荷や数量・仕様の食い違いを経験しました。
| 選定基準では、検索性(51.4%)と最新版・改訂履歴(43.8%)が費用(23.8%)を上回り、卸売業では過去のファイルをすぐに探せることや、必要なファイルの最新版・改訂履歴をすぐに確かめられることが重視されています。一方で、変更が伝わらないことによる誤出荷や数量・仕様の食い違いも起きており、取引先や倉庫まで変更が届いたかを追える仕組みは、こうしたトラブルを防ぐ上で重要だと考えます。 |
