「現場の業務効率化のためにこのSaaSを導入したい!」と意気込んで稟議を進めた矢先、情シス(情報システム部門)から「まずはベンダーにセキュリティ質問票を書いてもらって」と数百項目のExcelを渡され、どこから手を付けるべきか迷っていませんか?専門用語が並ぶ質問票は、非IT部門の担当者にとって難解です。ベンダーへの依頼や情シスとの調整に時間がかかり、導入計画がストップしてしまうケースは少なくありません。

本記事では、SaaS導入を進めたい非IT部門の業務改善担当者に向けて、セキュリティ質問票の目的や、情シス審査を通すためのベンダーへの依頼手順を解説します。情シスの意図を理解し、社内調整の板挟みを解消して、現場が求めるSaaSをスムーズに導入しましょう。

SaaS導入で「セキュリティ質問票」が求められる理由と情シスの意図

なぜ情シスは数十〜数百項目のExcelを渡してくるのか?

現場の事業部門が「業務効率化」や「使いやすさ」を重視してSaaSを選ぶのに対し、情シスが最も警戒しているのは「情報漏洩」や「システム障害」といったセキュリティインシデントです。万が一導入したSaaSが原因で顧客データが流出したり、ウイルスに感染したりすれば、企業の存続に関わる重大な事態を招きます。

そのため情シスは、導入予定のSaaSが自社の厳しいセキュリティ基準を満たしているか、ベンダーの管理体制が適切かを客観的に評価しなければなりません。その評価材料として用いられるのがセキュリティ質問票(チェックシート)です。

質問票には、通信の暗号化やバックアップ体制、アクセス権限の管理手法から、ベンダー社内の教育体制に至るまで、細かな確認項目が網羅されています。情シスは「安全性が確認できない限り導入は許可できない」という責任を負っているため、どうしても確認項目が多くなり、結果として数十〜数百項目にわたるExcelシートを事業部門に渡すことになるのです。

質問票(チェックシート)の基本フォーマットと一般的な基準

セキュリティ質問票のフォーマットは企業ごとに異なりますが、多くの企業では公的な機関が公開しているガイドラインをベースに独自のカスタマイズを加えています。一般的に広く参考にされているのが、経済産業省やIPA(独立行政法人情報処理推進機構)などが公開しているセキュリティ対策のガイドラインやチェックリストです。これらには、クラウドサービスを安全に利用するためのシステム要件や、ベンダー側の運用体制を評価するための基準が体系的にまとめられています。

しかし、これらの基準は専門的なIT知識を前提としているため、非IT部門の担当者がすべてを理解する必要はありません。事業部門の担当者に求められる役割は、個々の専門用語を解読することではなく、情シスが「どのレベルの安全性を求めているのか」という大枠を把握し、それをベンダーに正しく伝達することです。

ベンダーへの依頼手順と情シス審査を最速で通すコツ

情シスと事前に「必須要件(絶対条件)」をすり合わせる

ベンダーへセキュリティ質問票を丸投げする前に、必ず情シスと「今回のSaaS導入における必須要件」をすり合わせておくことが重要です。質問票の全項目が最高評価でなければ導入できない、というわけではありません。扱うデータが「公開済みのカタログデータ」なのか「機密性の高い顧客の個人情報」なのかによって、求められるセキュリティレベルは大きく変わります。

まずは情シスに対し、「このSaaSでどのようなデータを、誰が、どのように扱うのか」という業務の利用シーンを具体的に説明しましょう。そのうえで、「絶対にクリアしなければならないセキュリティ要件」と、「できれば満たしてほしい要件」を仕分けしてもらいます。これにより、ベンダーからの回答に一部「非対応」があっても、代替策でカバーできるかどうかの判断が早くなり、無駄な差し戻し工数を削減できます。

ベンダーへ的確に依頼し、スピーディーな回答を引き出す方法

情シスとのすり合わせが終わったら、SaaSベンダーへ質問票の記入を依頼します。このとき、ただファイルをメールで送るだけでなく、回答を早めるための工夫が必要です。まず、依頼時には「いつまでに回答が必要か」という期限と合わせて、「回答を急いでいる背景(稟議のスケジュールなど)」を明確に伝えましょう。また、多くのSaaSベンダーは、過去に他社から受けた質問票の回答を蓄積していたり、一般的なセキュリティチェックシートの項目を網羅した「ホワイトペーパー」や「セキュリティ回答書」をすでに用意していたりします。

そのため、「もし貴社で用意している標準のセキュリティ回答資料があれば、そちらを先に提出していただいても構いません」と伝えると、ベンダー側の負担が減り、スピーディーな対応を引き出しやすくなります。ベンダーから提出された標準資料を情シスに一次確認してもらい、どうしても足りない項目だけを追加で質問する流れにすれば、双方の確認作業を最小限に抑え、審査を通す確率を高めることができます。

審査に引っかかりにくい安全なSaaSの見極め方

導入部門でもできる、セキュリティ対策の初期チェック

情シスの審査をスムーズに通過するためには、SaaSを選定する段階で、ある程度のセキュリティレベルを満たしているか、導入部門自身で初期チェックを行うことが効果的です。ベンダーの公式サイトにある「セキュリティ」や「信頼性」に関するページを確認し、以下のポイントをチェックしてみましょう。

  • データの暗号化(保存時および通信時)が行われているか
  • IPアドレス制限など、アクセス元を限定する機能があるか
  • 誰がいつどのファイルを操作したかというログ(証跡)が残るか
  • ISO27001(ISMS)などの第三者認証を取得しているか

これらの情報が公式サイトで明確に公開されているSaaSであれば、セキュリティに対する意識が高く、情シスの厳しい質問票に対しても的確かつ迅速な回答が得られる可能性が高いと判断できます。

セキュリティ要件を網羅したSaaSの具体例

企業レベルの要件に対応するクラウドストレージを選ぶなら、こうした項目に標準で答えられるサービスを候補に入れましょう。Fleekdriveはビジネス利用を前提に開発されており、金融機関などの厳しい審査もクリアできる高度なセキュリティ機能を標準で備えています。たとえば、あらかじめ許可した社内や支店のネットワークからのみアクセスを許可する「IPアドレス制限」を設定することで、第三者からの不正アクセスを強力に防ぎます

さらに、ダウンロードしたPDFファイルに「日時・ユーザID」などの透かし文字を自動で挿入する機能や、印刷・コピーを禁止する機能により、正当な利用者からの意図しない情報持ち出しや漏洩リスクも軽減します。こうした分かりやすいセキュリティ機能は、非IT部門から情シスへ「このツールなら安全です」と説明し稟議を通す際の強力な根拠となります。

情シスとベンダーの架け橋となり、安全なSaaSで業務改善を実現しよう

セキュリティ質問票は、単なる面倒な手続きではなく、自社の重要なデータを守るための不可欠なプロセスです。非IT部門の担当者が専門用語をすべて理解する必要はありません。情シスが何を守ろうとしているのかという本音を理解し、ベンダーと適切にコミュニケーションを取る「社内調整・依頼術」こそが、SaaS導入を最速で進める鍵となります。

事前に必須要件をすり合わせ、ベンダーの標準資料をうまく活用することで、板挟みのストレスなく審査を通過させましょう。