営業担当が個別に資料提供、一件の対応に約30分かかることも

ブラザー工業株式会社マシナリー事業では、BVCM(ブラザー・バリュー・チェーン・マネジメント)の考えのもと販売パートナー制を取り、国内だけでなく、海外35カ国64社の販売パートナーと連携を図り、お客さまへの販売や情報提供を行っている。
情報提供にあたっては、販売パートナー向けのWebサーバを用意し、技術マニュアルや製品カタログといった各種営業用資料をダウンロードしてもらい、お客さまには印刷したものを提供していた。販売パートナーは、Webサーバにない資料は担当営業に電話やメールで請求することになり、担当営業は別の社内サーバから資料を探し出し、提供可能なものかどうかを確認後、メールやCDなどで提供していた。この一連の対応に約30分かかることもあり、連絡があるたびに業務が中断されるため、非常に生産性が悪かった。担当営業が海外出張等で不在の場合は、代わりの社員が対応するため、さらに時間がかかっていた。

資料が一元化されておらず、最新情報がタイムリーに届かない

さらに不便だったのが、各種営業用資料がさまざまな場所に点在して保管されていたことだ。そのため、資料の内容が更新されても、各サーバへのアップデートは個別で行われていたため、社内で更新が済んでいても、販売パートナーに提供した資料が更新前ということがしばしばあり、社内と販売パートナーとの情報が均一化できていなかった。
そんな中、運用していたオンプレミスのCRMをSalesforce※に切り替えるなど、早くからクラウド導入に積極的なマシナリー事業の方針もあり、Salesforceと連携可能でセキュリティに強く、安定したオンラインストレージを導入すべく、展示会やセミナーに参加して情報収集するようになった。

  • Salesforce
    セールスフォース・ドットコム(本社:米国)によるIoTやAIを活用した世界をリードするクラウドベースのCRM(顧客関係管理)ソリューションサービス。

Saleforceとの連携で、ログインを一元化

Salesforceは、2007年に導入され、顧客管理のプラットフォームとして運用されていた。Fleekdriveと連携することで、社員がSalesforceのIDを使ってログインでき、Salesforceと画面を共有して、ファイル共有・管理ができる点が大きな魅力だった。

点在する資料をFleekdriveに集約

Fleekdriveが評価された点は、さまざまな場所に保管されている各種営業用資料を、一元管理できること。1つのファイルを更新するだけで、最新の情報を共有できるため、営業担当がさまざまな場所から最新の資料を探し回る必要がない。

細かな権限設定により、ひとつの環境で社内・外も共有可能

さらに挙げられた点は、細かな権限設定を可能にすることだ。Fleekdriveならば、「社内」だけでなく、「販売パートナー」さらには「お客さま」それぞれに、最適かつ最新の情報を、ダイレクトに、セキュアに提供できることは、多くの販売パートナーや顧客を持つブラザー工業にとって効果的なメリットだ。

営業の作業工数ゼロで、生産性が向上

1人の営業担当が1週間に1件、販売パートナーへの資料提供に30分手を取られていた。導入後は、5人の営業担当の作業工数がほぼゼロとなり、生産性が大幅にアップした。

ランニングコストが約6分の1に

「Fleekdriveを導入したことで、以前のWebサーバを利用していた頃と比べて、運用費が半分になり、人件費も3分の1になったので、トータルコストが6分の1になったと言えます」と内山氏は語る。

一元管理された情報共有システムの構築

Fleekdriveを導入したことで、複数のサーバにあった資料をFleekdriveに集め、社員はSalesforceから、販売パートナーとお客様はそれぞれのポータルサイトを経由して資料を利用できる、一元管理された情報共有システムを構築することができた。

販売パートナー、お客様への情報提供が迅速に

海外の販売パートナーからは迅速なナレッジ共有を求められていたが、Fleekdriveの所定のフォルダにアップロードするだけで、各販売パートナーに自動的に配布できるようなった。
またお客さまには、1,000ページ以上ある印刷物のカタログやサービスマニュアルを提供していたため、更新や修正があっても、すぐに印刷物の差し替え、再配布というのができずにいたが、Fleekdrive導入を機にファイルでの提供に切り替えたことで、PDFのみならず、製品動画などのムービーファイルの提供が可能になった。
「資料を一元管理できるため、国内、海外のユーザーにまとめて最新の情報が迅速に公開できるようになった。セキュリティやアクセスログの管理がしっかりできる点も良い」と情報管理業務を一手に担う企画チームの田中望美氏は語る。

海外のお客さまへの展開、MAとFleekdriveを連携活用した情報提供の強化

今後の展望は2点。1つめは、国内と海外の販売パートナー、および国内のお客さまにはFleekdriveを使った情報共有に成功しているため、この成果を受けて、海外のお客さまにまで資料提供を展開していくことだ。
2つめはMA※を活用し、情報提供の質を強化していくこと。MA推進担当の水谷智晴氏は、「お客さまがダウンロードしたファイルのアクセス解析を行い、Fleekdriveを連携活用しながら、お客さまにより必要なファイルを提供していく活動を行っていきたい」と語る。将来的にはお客さまが使用する機械側の情報を受信・分析し、必要な情報を提供するといったIoT技術を駆使し、お客さまやパートナーの満足度向上に努めていく。

  • MA(マーケティングオートメーション)
    企業のマーケティング活動において、旧来は人手で実施していた定型的な業務や、人手では膨大なコストと時間がかかってしまう複雑な処理や大量の作業を自動化し、効率を高める仕組み。また、そのような自動化を実現するソフトウェア・ツール。