プレゼンを成功させるためには、話のメインとなる部分だけでなく、「はじめ」と「まとめ」の部分も大切です。特に、「はじめ」の部分でプレゼンのテーマに少し触れておくと、「まとめ」までスムーズに話を続けていくことができます。

それだけでなく、強調したいメッセージを何度も伝えることになるので、「まとめ」の部分で述べる結論も印象に残りやすくなるのです。ここではプレゼン全体の印象を左右する「はじめ」と「まとめ」の作り方のコツを紹介します。

「はじめ」と「まとめ」が重要な理由

プレゼンを成功させるためには本論部分はもちろん、「はじめ」の部分、および「まとめ」の部分を練りこんでおくことが重要になります。「はじめ」と「まとめ」のインパクトが強いと、聞き手も集中してプレゼンを聞いてくれますし、内容も頭に残りやすくなるからです。逆にこの部分が弱いと、強い印象を残すことができません。

まず「はじめ」の部分では、プレゼンのテーマを伝えることが大切です。「まとめ」の部分だけでなく、「はじめ」の部分でもプレゼン内容の要約をすることで、聞き手に「話し手がプレゼンで伝えたいこと」が伝わりやすくなります。テーマを「はじめ」と「まとめ」の部分で繰り返すことで、大事なことを強調することができるのです。また「まとめ」の部分については、解決策などの結論をきちんと出すことで、プレゼン全体が引き締まった印象になります。

プレゼンの目的は話を聞いてもらうのではなく、相手に具体的な行動を起こしてもらうことにあります。印象的なフレーズで相手の行動を促す、あるいは最も伝えたいメッセージを持ってくるなどして、プレゼンを効果的にまとめましょう。プレゼンの内容も印象に残りますし、聞き手もどのように行動をすればいいかが明確になります。

「はじめ」と「まとめ」で気をつけたいポイント

それでは聴衆の心に訴えかけるような「はじめ」と「まとめ」を作るためにはどのようなことに注意するべきなのでしょうか。ここではそのポイントを4つ紹介します。

  • 「はじめ」の部分でテーマを紹介
    結論などの言いたいことについては「まとめ」の部分だけでなく、「はじめ」の部分でも少し触れておきましょう。何について話したいのかテーマがはっきりするため、聴衆がプレゼンに集中しやすくなります。
  • 曖昧な言葉やネガティブな言葉は使わない
    曖昧な表現やネガティブな言葉よりも、シンプルで前向きな言葉を使ったほうが、聞き手への説得力が増します。受身表現(~される)や過去形(だった)にも注意しましょう。自分から主体的に働きかける、という印象のある言葉遣いを心がけましょう。
  • シンプルで明快なメッセージを
    「はじめ」の部分で、簡潔で力強いフレーズを使うと聞き手を一気に話に引き込むことができます。
  • 最後にお礼の言葉は必ずつける
    「ご清聴ありがとうございました」、「貴重なお時間いただき、ありがとうございました」というフレーズを最後につけることで、プレゼンが終わるということを明確に示しつつ、聴衆への感謝の気持ちを表すことができます。

プレゼン内容を考えるのが難しい!何が一番難しい?

上手なプレゼンをするためには、話す内容が重要ですよね。プレゼン経験者のみなさんは、内容を決める上でどのようなポイントを難しいと感じているのでしょうか。アンケート調査を実施して訊いてみました。

【質問】
プレゼンを考える時、一番難しいと思うのはどの部分ですか?

【回答結果】
プレゼンのテーマ:25
プレゼンのイントロダクション:27
プレゼンのまとめ方:50
プレゼンの構成:87
その他:10

【アンケート概要】
調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年03月10日~2017年03月16日
有効回答数:200サンプル

構成、まとめ……難しさを感じるポイントはいろいろある模様

1番多かったのは、「構成」と回答した人でした。

  • 構成の組み立て方が下手だと、聴衆を惹きつけることができません。(40代/女性)

2番目に多かったのが、「まとめ」という意見です。

  • 終わりよければすべてよし、というように、まとめさえできていれば伝えたいことは伝わると思う。逆にこれができていないと何も伝わらない。(30代/男性)

3番目には「イントロダクション」(「はじめ」の部分)、僅差で「テーマ」が続きます。

  • いかにその場で、参加者の心掴むかが勝負と思いますので(50代/男性)
  • 物事に取りかかる一番最初のテーマ決めでつまずくと何も進まない為。(20代/女性)

プレゼンの内容を上手にまとめるためには、それぞれのパートをきちんと練り上げることが大切なようです。具体的な構成に関しては、プレゼンをバランス良く構成し、またテーマを明確に聞き手に伝えるためにも、「はじめ」「まとめ」が重要な意味を持っていることがわかります。

効果的なまとめにするための考え方

「まとめ」を作るときに意識したいのが、プレゼンの目的です。プレゼンの目的は、聞き手を納得させ、そのうえで何か行動を起こしてもらうことにあります。したがって「聞き手にどんな行動をとってほしいのか」という目的を具体的に決めておくことで、プレゼン全体の構成もよくなりますし、効果的な「まとめ」も思いつきやすくなります。

それには、聞き手が何を欲しているのかということをよく考えることが大切です。聞き手は自分の聞きたい話に興味を示すものだからです。たとえば、ある問題の解決策(ex頭痛の解決法にはお風呂がよい)を聞き手に提案する場合を考えてみましょう。まず聞き手の興味や関心を踏まえた上で、現状の問題と原因を考えます(ex冷え)。そして具体的な行動につなげるために、その行動をすることが聞き手にどのようなメリットをもたらすのか考えるのです(ex血行がよくなる)。

そうすることで、伝えるべきテーマ(ex冷えを解決するにはお風呂がよい)が明確に見えてきます。これが「はじめ」と「まとめ」で話すべき内容になるのです(ex頭が痛いときはお風呂に入るのがおすすめですが、なぜお風呂にはいるのが効果的なのかその理由を3つお話します)。

まとめ

わかりやすいプレゼンは構成上手です。全体の構成はもちろん大切ですが、「はじめ」と「まとめ」部分を作り込むと、さらに聞き手の印象に残りやすくなります。そのためにも、あくまで聞き手の立場を考えながら話を組み立てるようにしましょう。

プレゼンの目的は、聞き手に自分の望む行動を起こしてもらうことにあります。聞き手の求めているものを把握することで、当初の目的をより達成しやすくなるはずです。

また、某コンサル企業では、作成した資料をより良く使い回せるようにオンラインストレージを活用し各事業部で共有をしているそうです。過去に先輩社員が作成した資料構成を流用することで、資料作成が苦手な人や、経験の浅い若手社員がノウハウを学べ、結果的に質の良いプレゼン資料が作れるとお話していました。

プレゼン構成に悩んでしまった時は、分かりやすくまとめられた資料を参考にし、何故分かりやすいのか分解して考えてみるのも良いでしょう。