BCP(事業継続計画)は、企業が安定的に存続し、事業展開を続けていく上で検討すべき計画です。近年、自然災害の頻発や新型コロナウイルス感染症の流行により、BCPの導入は企業にとって不可欠な要素となっています。本記事では、BCPの概要や最新トレンド、さらに効果的な実践方法について詳しく解説します。
BCPの基本概要
BCPは、以下のさまざまな社会情勢の変化に対応し、事業を存続していくために重要な計画です。
- 自然災害
- 感染症の流行 など
上記の原因による事業の中断は、収益の損失や顧客からの信頼喪失、市場シェアの低下などの悪影響をおよぼしかねません。そのため、BCPの策定は、持続可能な経営を支える重要な取り組みとして注目度が高まっています。また、BCPが注目されるようになった背景には、いくつかの大規模災害や危機的な出来事があります。
例えば、2001年に発生したアメリカ同時多発テロ事件や、2011年の東日本大震災は、多くの企業に事業継続の難しさを突きつけました。そして、パンデミックの発生もBCPの必要性を強く認識させました。なぜなら、新型感染症の流行はサプライチェーンの断絶や人材不足を引き起こし、事業運営そのものに深刻な影響をおよぼす可能性があるからです。BCPの導入と実践は、事業の安定性を確保し、顧客や取引先からの信頼を守るために重要な役割を果たします。
BCPを策定するメリット
BCPを策定するメリットは以下の通りです。
- 経済的損失を防止できる
- 競争力を保てる
- 従業員の士気向上や離職率低下に寄与する
ここでは、上記のメリットについて解説します。
経済的損失を防止できる
BCPを策定する最大のメリットの一つは、経済的損失を防止できる点です。事業が停止するような緊急事態が発生した際も、策定したBCPの内容に沿った適切な対応策を用意しておけば、被害を最小限に抑え、事業活動の迅速な復旧が可能となります。仮にBCPを策定していない場合、被害からの復旧が遅れ、ハード面での復旧費用だけでなく、競合他社にシェアを奪われるリスクも高まります。
競争力を保てる
BCP(事業継続計画)を策定することで、企業は競争力を保てます。緊急事態からの迅速な復旧だけでなく、平時においてもBCPを策定していれば、顧客や取引先に対してリスク管理の取り組みを明示できます。BCPによるリスク管理の明示ができれば、顧客や取引先と長期的な信頼関係を築きやすくなり、競争市場の中で優位に立てるでしょう。
従業員の士気向上や離職率低下に寄与する
BCPの策定は、従業員の士気向上や離職率の低下にも大きく寄与します。緊急事態が発生した際に指針となるBCPが策定されていれば、従業員は会社がどのように危機に対処し、自分たちの安全を守るのかを把握できるため、安心感を持てます。また、BCPは従業員一人ひとりがどのように対応すべきかを具体的に示しているため、緊急時に混乱が少なく、スムーズな対応を進められるでしょう。
さらに、BCPがあることで企業として従業員の安全を確保しようという姿勢を明示できるため、従業員の企業に対する信頼感が増します。その結果、従業員は安心して働き続けられるので、離職率の低下にもつながるのです。BCPの策定は、優秀な人材の確保と長期的な定着の面でも役立つものといえます。
BCPにおける最新トレンドを紹介
従来のBCPは、地震や水害などの自然災害への対策を主軸に検討されてきました。しかし、現在では新たにサイバー攻撃やパンデミックなどのリスクにも対応を迫られています。そのため、おもに以下の技術を活用したBCPの策定が最新のトレンドとなっています。
技術 | 概要 |
クラウドコンピューティング | ・災害時のデータへの迅速なアクセスを可能にし、事業の継続性を確保するのに役立つ ・クラウドベースのバックアップシステムにより、物理的なサーバー破損によるリスクを低減し、テレワークを活用して事業を継続可能 |
ビッグデータ分析 | 過去の災害やトラブルのデータを活用して、どのようなリスクが発生しうるかを予測し、必要な対策を事前に講じられる |
AI | ・緊急時の対応を自動化し、迅速かつ正確な対応を実現 ・予測分析により、リスク発生前に対策を講じられるため、災害をはじめ被害の軽減に貢献 |
IoT | リアルタイムで施設や設備の状態を監視し、業務の中断を防ぐ |
上記に代表されるような先進技術を効果的に組み合わせれば、企業はリスクに強い柔軟なBCPを構築し、事業の継続性を強化できるでしょう。
BCP策定のステップ
BCPの策定は、おもに以下のステップで進行します。
- リスク想定
- 対応策の計画
- 従業員への周知とトレーニング
- 定期的な見直し
ここでは、上記のステップについて解説します。
企業が直面する可能性のある全てのリスクを想定する
BCPを策定する際、最初に行うべきステップは、企業が直面する可能性のある全てのリスクを想定することです。リスクの想定は、できる限り多くの関係者からのヒアリングも実施した上で、以下のような内部もしくは外部の要因に分類して検討しましょう。
項目 | 概要 |
内部 | ・設備の故障 ・人材不足 ・システム障害 など |
外部 | ・自然災害 ・サイバー攻撃 ・パンデミック など |
上記のように考えられるリスクを網羅的に想定すれば、BCPの策定と実施に向けてより効果的な準備を整えられます。
具体的な対応策を計画する
BCPを策定する際の次のステップは、具体的な対応策の計画です。具体的な対応策は以下の内容を含みます。
- 緊急時の対応フローの作成
- 復旧に必要な人員や資金などのリソースの確保
- 従業員への役割分担と訓練 など
上記に加えて、リスク発生時における指揮命令系統の明確化も重要です。また、具体的な対応策の計画の際には、以下の2点を意識して実施するとより効果的なBCPが策定できます。
意識すべきポイント | 概要 |
経営陣も積極的に参画する | ・BCPは企業全体の存続に関わる戦略的な取り組みであるため、現場目線・経営目線双方が必要 ・経営陣が参画すれば、企業全体のビジョンや戦略に基づいた統一的な対応が可能 |
企業の規模に応じた運用体制を構築する | 企業の規模に応じて、無駄にリソースを集めることなく、適材適所で体制を整える |
BCPは、企業の規模を考慮して全社的に取り組めば具体的な対応策が策定できる手法といえます。
従業員への周知とトレーニングを行う
BCPを策定する上で、従業員への周知とトレーニングの検討・実施は重要なステップです。周知とトレーニングにより、従業員はBCPの内容を理解して緊急時にどのように行動すべきかを把握し、実際に発生する事態への対応力が向上します。また、既存の人員はもちろんのこと、新卒・中途採用で入社した人材にも、速やかにBCP関連の教育が行えるように環境を整えておくのも大切な要素です。
定期的な見直しを実施する
BCPは一度策定すれば終了ではなく、定期的な見直しが必要です。リスク環境や事業の状況は常に変化するため、一度策定したBCPをそのまま放置してしまうと、実際の緊急時に機能しない可能性があります。そのため、最低でも見直しは年に1回は実施すべきであり、外部・内部において大きな変化があった際には、追加で見直しが可能な体制の構築が求められます。定期的な見直しを実施すれば、企業は変化するリスクに対して柔軟に対応し、事業の継続性を高められるでしょう。
BCP運用に役立つクラウドストレージ
BCPの運用では、データ保管やファイルの共有をクラウドで行えるクラウドストレージが便利です。クラウドストレージであれば、クラウドサーバー上にデータを保管できるため、物理サーバーのように損害を受けてデータが破損する心配もありません。また、会社や生産拠点が被災をしても、リモートで必要なデータにアクセスできるため、情報の連携も円滑に行えます。なかでもBCP運用に役立つクラウドストレージならFleekdriveがおすすめです。Fleekdriveでは、特に以下の機能がBCP運用に役立ちます。
ファイル共有機能
- アプリをダウンロードせずともブラウザ上で閲覧可能
- アカウントを持たないユーザにもフォルダ・ファイル専用のURLにより閲覧・ダウンロード可能
- いつでもどこでも社内と同じ作業環境を実現
モバイルアプリの機能
- ファイルを事前にダウンロードしておけば、オフラインでも閲覧可能
- スマホで撮った写真をその場でアップロード
- 共有ファイルを社外でも安全に閲覧可能
上記の機能のほかにも、万全のセキュリティ機能や利便性の高いファイル共同編集機能などが利用でき、BCP運用のみならず普段のファイル管理・共有にもおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。