情報システム部門では、サーバーのパッチ適用や障害対応、バックアップ運用などの日常業務に工数が取られ、本来注力すべき業務改善や企画に十分な時間を割けないケースが少なくありません。こうした状況は、IT・DX人材の確保が難しくなる中で、今後さらに深刻化すると考えられます。IPA「DX動向2025」では、日本企業の85.1%がDXを推進する人材の量に不足を感じているとされており、限られた人員で運用・保守と改善施策の両方を担う難しさがうかがえます。本記事では、情シスが保守運用の負担を見直し、「自社で持つ」から「サービスとして利用する」へ発想を転換することで、生産性向上につなげる考え方と実践ステップを解説します。

https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」

IT人材不足の深刻化と情シスが抱える「保守の罠」

デジタル変革(DX)が急務とされる一方で、多くのIT部門が既存システムの維持管理にリソースを奪われ、新しい施策に手を付けられない「保守の罠」に陥っています。中堅企業の現場では、特に次のような業務が情シスの工数を圧迫し、本来取り組むべき戦略的なIT投資を後回しにさせています。

  • オンプレミスサーバーのハードウェア保守・故障対応
  • 深夜や休日に行われるOS・ミドルウェアのアップデート作業
  • 属人化したバックアップ運用とリストアテスト

こうした負担に加え、物理サーバーの老朽化対応やOSのサポート終了(EOS)に伴う移行作業も重なり、情シスの工数削減をより難しくしています。

IT部門の生産性を低下させる見えない工数

IT部門の生産性を向上させるには、定型業務の削減が不可欠です。しかし、多くの企業では動いていて当たり前のインフラ維持に、部門リソースの7割から8割を割いているのが実態です。この状態では、経営層から求められる「AI活用」や「データ分析による事業貢献」といった高度な要求に応えることは困難と言えるでしょう。

運用レスを実現するSaaSシフトの判断軸

現状の保守負担を軽減する手段として、外部のマネージドサービス活用は有効な選択肢です。ただし、単なる外注化(BPO)と、インフラそのものをなくす「SaaSシフト」では、得られる効果が異なります。

マネージドサービスとSaaS完全移行の違い

マネージドサービスは、既存のインフラ運用を専門業者に委託する形態です。これに対し、SaaSへの完全移行は管理すべきサーバーを廃止するアプローチを指します。

  • マネージドサービス(運用代行):責任の所在を外部に移すが、インフラ構成自体は残るため、構成変更時の調整工数が発生する
  • SaaS(運用レス):インフラの運用・保守・セキュリティアップデートはすべてベンダー側が行うため、利用者は機能の活用に専念できる

情シスが戦略業務に軸足を移すためには、可能な限り後者のSaaSネイティブな環境を目指すことがおすすめです。

比較検討時のチェックポイント

SaaS型のクラウドサービスを選定する際は、インフラ運用そのものがベンダー側に移管されているかどうかを基準に、以下の視点で評価してください。運用を外部委託するマネージドサービスとは異なり、情シスが管理作業から完全に解放されるかどうかが重要な判断軸となります。

  • 管理画面のわかりやすさ:専門知識がなくても設定変更が可能か
  • 自動化の範囲:バックアップやログ管理、パッチ適用がベンダー側で完全に自動化されているか
  • スケーラビリティ:ユーザー数やデータ量の増加に伴うサーバー増強作業が不要か

戦略業務へシフトするための3ステップ

経営層から求められる「AI活用」や「データ分析による事業貢献」に応えられる情シスへと転換するためには、段階的な業務の棚卸しと、テクノロジーを活用した運用負荷の抜本的な削減が必要です。

ステップ1:業務の棚卸しと捨てる判断

まずは現在の業務を付加価値を生む業務と、現状維持のための業務に分類します。サーバーの死活監視やバックアップの確認といった現状維持の業務は、マネージドサービスやSaaSへ積極的にリプレースし、自社で持つことを捨てる判断を下します。

ステップ2:ファイル管理などの共通基盤からSaaS化する

最も工数削減の効果が出やすいのが、全社員が利用するファイルサーバーやドキュメント管理の領域です。オンプレミスのファイルサーバーを廃止し、SaaS型のストレージへ移行することで、ハードウェアの更新や容量不足への対応から解放されます。

ステップ3:空いた工数をAI推進・データ活用に充てる

インフラ保守から解放されて生まれた時間は、AIなどの新技術検証に充てます。例えば、社内ドキュメントをAIに学習させ、業務回答を自動化する仕組みの構築などは、インフラ運用の知識を持つ情シスだからこそリードできる戦略業務です。

Fleekdriveで実現する、インフラ運用負荷の削減と戦略業務へのシフト

法人向けクラウドストレージ「Fleekdrive(フリークドライブ)」は、情シスの運用負荷を最小化しながら、セキュアなファイル共有を実現するSaaSです。

サーバー管理を不要にするクラウドネイティブな設計

Fleekdriveは、AWS(アマゾンウェブサービス)の堅牢なインフラ上で稼働するフルマネージドなSaaSです。自社で物理サーバーを管理する必要がないため、従来のファイルサーバー運用で発生していた以下の工数を大幅に削減できます。

  • ディスク容量の監視と増設:必要に応じて柔軟に拡張可能なため、事前の容量設計や増強工事は不要です。
  • セキュリティパッチの適用:プラットフォーム側で常に最新のセキュリティ状態が維持されるため、情シスによる手動アップデートは不要です。

業務を自動化するワークフロー

単なるストレージとしてだけでなく、ファイルに紐づく定型業務を自動化できる点もIT部門の生産性向上に寄与します。例えば、特定のフォルダに保存されたファイルをPDFへ自動変換したり、承認ワークフローを回したりする機能により、現場の業務効率化と同時に、情シスへの操作方法の問い合わせや個別対応を削減できます。

セキュリティとガバナンスを運用しやすい設計

Fleekdriveは、クラウドセキュリティの国際認証規格であるISO/IEC 27001およびISO/IEC 27017を取得しています。ログインからログアウトまでの操作記録を証跡として保存する機能や、フォルダ・ファイルごとにきめ細かくアクセス権限を設定できる機能が備わっているため、監査対応やアクセス管理を進めやすい基盤を整えやすいのが特長です。

こうした共通基盤を活用することで、情シスが個別運用に追われにくい状態をつくり、安全性と運用効率の両立を図りやすくなります。まずは、全社で使うファイル管理のような共通基盤から見直すことで、情シスが保守に追われる状態を脱し、より付加価値の高い業務へシフトする足がかりになります。