データ分析は難しいという先入観にとらわれている人が少なくありません。しかし、データ分析はコツをつかめば思っているほど難しいものではありません。データ分析に少しでも関心があるなら、やり方のコツを覚えて自分で行えるようになっておきましょう。データ分析のコツがつかめれば有益なデータ分析ができるようになるため、会社に貢献することも可能です。ここでは、データ分析をするうえで役に立つ4つのテクニックを紹介します。

データを活用するのは難しい?日々の業務に活かしている人の割合は?

まずは、日頃の仕事に過去のデータを活用している人がどれくらいいるか、アンケートを取って調べてみました。

【質問】
普段の業務のなかで過去のデータを参考にすることはありますか?

【回答結果】
ある : 56
ときどきある : 34
ない : 10

【アンケート概要】
調査地域:全国
調査対象:【年齢】20 – 29 30 – 39 40 – 49 50 – 59 60 【職業】パート・アルバイト 個人事業主 公務員 正社員 派遣社員 経営者
調査期間:2017年08月29日~2017年09月05日
有効回答数:100サンプル

ときどきも含めればあるが9割

今回のアンケートでは、あると答えた人が最も多く、過半数を占めました。

  • 過去の売り上げデータで先の日々の売り上げを予測し、そのデータを元に作業の効率化を進めています。(50代/正社員/男性)
  • 毎日過去のデータをもとに売上予算との戦いをしている職種なので。毎年同じ時期でも状況は違うので、参考程度にしかなっていないと思いますが。(20代/パート・アルバイト/女性)

日々の仕事で過去のデータを活用していると回答した人のコメントを見ると、毎日過去データを基に売り上げ予測を立てたり、目標を定めたりしなければいけない職種であることがうかがえます。ただし、毎日過去のデータを活用するという場合は、過去の同じ時期と比較するなど、一定の使い方をしている人が多いようです。次に多かったのはときどきあると回答した人でした。

  • 過去のデータは困った時や煮詰まった時に知恵を借りる形で重宝します。(30代/正社員/男性)
  • 稼働率の高い月を分析し、低い時期に何かイベントはできないかなど、考える材料として活用することがあるから。(30代/正社員/女性)

ときどきあると回答している人のコメントを見ると、解決方法がわからないときなど、過去にどのようにしたかを確認するために利用する人が多いことがわかりました。過去と現在のデータを比較して、新たに分析をするという人は少ないようです。最後にないと回答した人のコメントは次の通りです。

  • 普段の業務のなかで、過去のデータは参考にならないので参考にすることはない。(30代/正社員/男性)
  • 小売業なので、過去のデータよりも将来のトレンドを知るほうを優先しています。過去のデータはほとんど参考にしていませんし、なりません。(40代/個人事業主・フリーランス/女性)

ないと回答した人のコメントを見ると、データを必要としない職種か、過去のデータがあまり参考にならない業種で仕事をしている人が多いようです。しかし、なかにはデータ分析のコツを知っていれば、過去のデータを仕事に活かせるのではないかと感じられる回答も見受けられました。

今回のアンケートでは、過去のデータを仕事に活用しているという回答が多いという結果になりましたが、コメントを細かく見ていくと、データの分析がきちんとできていない例が多いように感じられました。ここからは業務に活かせるデータ分析の手法について詳しく見ていきましょう。

ドリルダウン手法をマスターしよう!

データ分析を効率よく進める手法のひとつとして、ドリルダウン手法があります。ドリルダウンとは名前が示す通り、データ集計の項目レベルをひとつずつ掘り下げていき、詳しく分析していく手法です。わかりやすく例えるなら、国別に集計していた項目を都道府県別にして集計し直す方法です。企業では、売り上げ分析などに用いられるケースが多く、全国レベルから、地域別に掘り下げ、更に営業所別にといった具合に絞り込んでいきます。集計する項目の階層レベルを下げていくことで、問題の特定や絞り込みがしやすい反面、ひとつの項目を選んだうえで掘り下げていくため、選ぶ項目を間違えると意味のない分析結果になってしまうという欠点もあります。ですから、最初にしっかりとした仮説を立てたうえで、焦点を絞ったドリルダウンを行うことが重要です。

取得するデータは正しい数値のものを!

データ分析は目的や目標を決め、仮説を立てたうえで行います。イメージ通りの分析結果を得るためには、使用するデータが正しい数値であることはもちろん、詳細なデータを取得して用いることも必要です。基礎になる数値が間違っていると、正しい分析結果にならないのは当然ですし、仮説通りの結果を導き出すために正しい数字を用いずに分析したのでは、分析結果自体が信憑性のないものになってしまいます。仕事におけるデータ分析には、分析結果を何らかの形で仕事に活かす目的があると考えて間違いありません。ですから、目的や目標に合った仮説が必要ですし、より有益な分析結果を導き出すためには、最初に選ぶデータが正しい数値であることが欠かせません。正しい数値を基に正しいプロセスで分析することができれば、仕事で有効に使える分析結果を得られるはずです。

データの共有で分析を効率化!

収集したデータを同僚などと共有して、データから読み取れる内容について話し合ってみると、さまざまな発見があるはずです。視点が変わることで、自分ひとりで見ていたときには気付かなかったことがはっきりするからです。これを普段の業務に取り入れると、効率の良いデータ収集と、他人を納得させられるデータ分析ができるようになります。自分が課題として取り上げたことが他人にはどう見えるか、自分の考えがほかの人に通じるのかといったことを普段から考えるようになれば、客観的なものの見方が自然と身に付きます。最初は漠然とデータを集めていた人でも、他人を納得させるためにはどのような仮説を立て、どんな分析をしたら良いかを考えるようになるからです。仮説の立証に不要なデータを紛れ込ませることなく分析手法も最適なものを選ぶことができ、作業が効率よくなります。

データ分析で止まらない!さらなる改善を目指そう!

過去のデータを日々の仕事に活用しているつもりでいる人でも、過去の分析で出たデータをそのまま参考にして終わっている人が少なくありません。しかし、データ分析は最初に立てた仮説に基づいた分析を一度行っただけで終わりというわけではありません。分析によって得られたデータを基に、更に目標や仮説を立て、それに合わせてデータ収集や分析を行うというサイクルを繰り返すことが大事です。身の回りで起きている課題を解決するために仮説を立て、それに合ったデータを収集して分析するという場合、何も最初からすべて新しいデータを集めて分析しなければならないわけではありません。過去に得られたデータをベースに新たなデータを加えて分析することで、問題の解決が図れるかもしれません。データ分析は繰り返して行うことに意味があるということを覚えておきましょう。

コツを押さえて実りあるデータ分析を!

データ分析は数値やカテゴリーの関係性を調べる作業です。ですから、ただ数値を集計するだけではデータ分析とは言えません。なぜ起こるのか、どんなときに起こるのか、AとBにはどんな関係があるのかといったことを正確に分析することが大事です。データ分析が適切に行われれば、業績アップにつながる期待もあります。それだけにデータ分析は仕事をするうえで重要です。コツを身に付けてデータ分析を日々の仕事に取り入れてみましょう。