顧客情報や購入データなどの営業データはただたくさん集めるだけでは意味がありません。集まった営業データをしっかり分析し、結果を営業成績アップなどに活かすことが大事です。営業データ分析は現代のビジネスシーンにおいてとても重要な役割を担っています。目的に合った的確な分析手法を選び、集客数アップや業績向上のために上手に活用しましょう。ここでは、3つの分析手法をどのように組み合わせて営業データ分析をしたらよいかを解説します。

営業データ分析を実際にしている人はどれくらい?

まずは、普段の仕事で営業データ分析を行っている人がどれくらいいるかアンケートを取って調べてみました。

【質問】
仕事を進めるなかで、営業データ分析を活用していますか?

【回答結果】
いいえ : 58
はい : 42

【アンケート概要】
調査地域:全国
調査対象:【年齢】20 – 29 30 – 39 40 – 49 50 – 59 60 【職業】パート・アルバイト 個人事業主 公務員 正社員 派遣社員 経営者
調査期間:2017年08月29日~2017年09月05日
有効回答数:100サンプル

データを活用している人はまだまだ少数派

今回のアンケートでは、データの活用はしていないと回答した人が過半数を占めました。

  • 営業はない職種だから。(30代/派遣社員/女性)
  • 開発側の人間であり、営業データとしては利用しない。ユーザーの要望などは取り入れるが。(30代/正社員/男性)
  • 直接営業に関係する部署ではないので、営業データを見ることは少ないから。(40代/パート・アルバイト/女性)

いいえと回答した人のコメントを見ると、普段の仕事が営業に関与しない職種や業務内容のようです。営業データの存在自体がわからないため活用できないという声もありました。一方、営業データの活用をしていると回答した人のコメントは次の通りです。

  • 管理部門にいるので、販売動向やシェアの推移など常に営業データを分析しています。(40代/正社員/男性)
  • 会社でお客様向けに定期的にアンケートなどをとっているので、営業担当の部署がそれを使ってこれからの方針などを決めています。(40代/個人事業主・フリーランス/女性)
  • 小さな会社ですが、営業データ分析は、とても重要視しています。効率よく営業にいかせます。営業データ分析はとても大事な作業です。(40代/経営者/男性)

はいと回答した人のコメントには、どのように活用しているかが詳しく書かれているものがたくさん見受けられました。営業データの分析と一口に言っても、分析結果の活用方法はいろいろあることがわかります。

営業データの活用は進んでいないとも言える結果でしたが、使用している人の意見を見ると活用のメリットは多くありそうです。そこで、このアンケートの結果を踏まえつつ、営業データ分析がどうして重要なのか、その理由について見ていきましょう。

なぜ必要?営業データ分析の重要性とは?

営業データ分析を行っていないのは、必要性がはっきりわかっていないせいかもしれません。営業データ分析が必要な理由としては次の3つが挙げられます。

  • 知識や経験に頼る営業活動の限界
    ごく小さな店舗で、近所の人数名だけを相手に商売をしているのであれば、だれが何をどれくらい買うかがある程度経験によってわかります。ですから、何をどれくらい仕入れて売ればよいかが頭の中で整理でき、販売に活かせます。しかし、この場合でも頭の中で営業データ分析を気付かないうちに行っているだけです。人が頭で分析できるデータ量には限界があるため、知識や経験にのみ頼って営業活動を行うことには無理があります。
  • 思い込みの営業活動で業績悪化
    営業データに基づかず、営業担当者の思い込みに頼って営業活動を進めると、間違った方向に進む可能性が高く、業績悪化を生み出す危険性が高いと言えます。
  • 商品やサービスに対する顧客ニーズの多様化
    昔と比べて顧客が求める商品やサービスの種類が増えたため、単に物やサービスを買うか買わないかではなく、どれを選ぶかを重視しなければならなくなっています。古い営業手法が通用しなくなってきていることも営業データ分析が必要になった理由のひとつです。

収集するデータは広範囲に!

営業データの分析では、どのようなデータをどれだけ集められるかが重要なポイントになります。ひとつのデータを拾って分析しても、得られる成果は限定的ですから、多角的な視点でさまざまなデータを収集することが大事です。しかも、どのデータをどのように組み合わせて分析するかによって得られる結果が変わってきます。何を知りたいかによって必要なデータが異なるということも覚えておきましょう。ただし、収集するデータの数は、多いほうが顧客の傾向を正しく分析できるものの、データの種類が多すぎるとデータ分析に手間がかかり、本来の目的を見失う可能性も出てきます。目的に応じて、どんなデータを収集するかの種類は絞ったうえでサンプル数はできるだけ多く集めるという形にしたほうがよいかもしれません。せっかく分析しても、得られるものが実際の営業活動に役に立たないのでは意味がありません。営業データの分析は何に活用するかを前もってイメージしておくと、どんなデータがどれくらい必要なのか見えてきます。広範囲のデータを集めることは重要ですが、闇雲にたくさんデータを集めればよいというわけではありません。

分析は動向・要因・検証の3点で行う!

営業分析の手法として覚えておきたいのは次の3つの方法です。これら3つの手法を順番に用いて詳細な分析を行います。

  • 動向分析
    グラフを用いて、大まかに顧客の動きを読み取る分析です。数字のデータをグラフ化して目で見てわかりやすい形にし、傾向や内訳、比較などをしやすくします。ただし、動向分析でわかるのは大まかな動きだけです。大きな違いは目で見てはっきりしますが、わずかな数値の差はグラフではほぼ同じという判断だけしかできません。
  • 要因分析
    要因分析でもグラフを用いますが、動向分析とは異なり、全体の動きに最も大きな影響を与えているものは何かを見つけ出すための分析手法です。全体の動向を表すグラフと共に要因ごとのグラフを表示することによって、全体の動向を表すグラフの推移とよく似たグラフが見つかります。全体の動向に強い影響を与えた要因がわかれば、何を解決すればよいかが見えてきます。
  • 検証分析
    検証分析は、動向分析や要因分析によって立てられた仮説が本当に正しいのかを検証するための分析です。動向分析や要因分析によって見つかった要因が真の要因なのかを検証分析によってはっきりさせます。検証分析はグラフのほかに数字を用い、傍証を固める分析と原因の分析の2つを行います。原因の分析は動機をつかむための分析です。

何事も前向きなチャレンジが成功への第一歩!

営業データ分析というと最初から難しいものと捉えて敬遠しがちです。しかし、実際にやってみるとそれほど難しいものではありません。ですから、まずは一度実際にやってみましょう。やってみることによって、どのようなデータが必要なのか、どのくらいのサンプル数が必要なのかが徐々にわかってきます。顧客のニーズや動向をつかむことは、営業活動をするうえで欠かせません。多角的にデータを集めて、それを基に実際の分析にチャレンジしてみましょう。