基幹システムの運用が長くなるにつれて、「システムの動作が重い」「ストレージの追加費用が高額すぎる」といった課題に直面する企業は少なくありません。特に製造業の現場では、製品図面や仕様書、帳票などの大容量ファイルが日々増えていきます。

ただし、実際にはこうしたファイルをERP本体に直接保存するのではなく、図面管理システムやファイルサーバーなどで管理し、ERP側には品番や文書番号、リンク情報のみを持たせる設計も一般的です。課題になりやすいのは、ERPとファイル管理基盤の役割分担や連携が不十分なまま運用され、検索・閲覧・共有の導線が分断されてしまうことです。

そこで有効なのが、実ファイルの保存先を企業向けオンラインストレージに分け、ERPとは連携して使う考え方です。本記事では、SAPをはじめとする基幹システムのパフォーマンスを維持しつつ、インフラコストを抑えるための、添付ファイル保存先の分離と外部ストレージ連携について解説します。現場の利便性を損なわずにシステムをスリム化する具体的な考え方を確認していきましょう。

ERP内のファイル管理が引き起こす3つの経営リスク

基幹システムに直接ファイルを保存する運用だけでなく、ファイルサーバーや図面管理システムに分散して保管しながらERPとの紐付けが弱い状態も、データ量が増えるにつれて経営上のリスクになり得ます。多くの企業が陥りやすい弊害を整理します。

1. インフラ維持コストの不必要な増大

SAP S/4HANAのような基幹システムでは、受発注・在庫・会計などの業務データを安定して処理することが重要です。基幹側は本来、業務データを扱う場所であり、図面やPDFなどの大容量ファイルは別の管理基盤で扱う方が運用しやすい場合があります。ERP基盤側に添付ファイルを多く持つ構成では、容量計画や運用負荷の面で不利になりやすくなります。添付ファイルはERPと連携できるオンラインストレージ側で管理することで、基幹システムを業務データ中心に保ちやすくなります。

2. システムパフォーマンスの低下と現場のストレス

ERP基盤に非構造データを多く抱えると、バックアップやリストアの時間が長大化し、システム全体の運用負荷が増すことがあります。また、ERPと周辺のファイル管理がうまく連携されていないと、必要な図面や帳票にたどり着くまでに時間がかかり、現場のストレスにつながります。製造現場のユーザーにとって、図面1枚を開くたびに探し直しが発生する状況は業務効率を著しく阻害し、結果として「システムが使いにくい」という不満の温床となります。

3. 文書管理・共有機能の不足

ERPはデータの整合性を保つことには長けていますが、ファイル共有や柔軟な権限管理、バージョン管理といったコンテンツ管理の機能は限定的です。社外の取引先と図面を共有する際、ERPで管理している情報と実ファイルの保管先が分かれていても、連携が弱いと一度ローカルにダウンロードして別の手段で送るといった二重の手間が発生し、情報漏洩のリスクも高まります。

https://www.sap.com/japan/products/erp/s4hana.html

SAP Cloud ERP(SAP)

ERPのストレージ負荷を減らす「保存先分離」と「参照連携」の判断基準

ERPのスリム化を検討する際、どの程度のデータを外部に逃がし、どこまでERPから参照できるようにするかを判断するための指標が必要です。以下の手順で自社の現状を可視化し、外部ストレージ連携の投資対効果(ROI)を試算すると、必要性を判断しやすくなります。

適正容量の算出手順と判断軸

自社にとって外部連携が必要かどうかは、以下の3ステップで評価できます。

  1. 現状把握:ERP基盤側で保持している添付ファイル、またはERP運用に紐づく非構造データの現在の容量を特定する
  2. 増加予測:月間の新規登録件数 × 平均ファイルサイズから、年間で増え続けるデータ量を算出する
  3. コスト比較:「ERPの追加ストレージ単価」と「外部クラウドストレージの単価 + 連携構築費用」を5年スパンで比較する

一般的に、年間でテラバイト単位のデータ増加が見込まれる場合や、CADなどの1ファイルあたりが重いデータを扱う製造業では、保存先を分離することで基幹側の容量増設や運用負荷を抑えられる可能性があります。実際の効果は、現在のデータ量、増加ペース、利用中の基盤、連携方式に応じて個別に試算する必要があります。

現場の業務フローを止めない連携設計

外部ストレージへ移行する際、ユーザーが「ERPの画面から一度離れて別のシステムにログインする」ような設計は避けるべきです。実務では、ERP側には品番・案件番号・伝票番号・文書番号などのキー情報を持たせ、外部ストレージ側の関連ファイルにリンクまたは検索連携でアクセスできる構成が現実的です。ERPの画面上から必要なファイルを参照でき、実際の保存先はオンラインストレージ側にある、という構成にすると、現場の操作感を大きく変えずに運用を見直しやすくなります。

Fleekdrive連携で実現する「スリムな基幹システム」への移行

SAP等の基幹システムで扱う関連ファイルをFleekdrive側で管理することで、ERP単体では不足しやすいファイル共有・閲覧・権限制御の機能を補いやすくなります。ERP側には業務データや参照情報を持たせ、実ファイルはFleekdriveで管理する考え方です。

大容量ファイルやPDFのプレビューと共有

Fleekdriveはブラウザ上でファイルを閲覧できるプレビュー機能を備えています。主なOfficeファイルやAdobeファイルをブラウザから確認できるため、都度ダウンロードして開く手間を減らしやすくなります。また、共有リンクを使った社外共有にも対応しており、パスワード設定、ダウンロード回数制限、公開期間の指定などが可能です。図面運用では、確認用PDFを共有して関係者に確認してもらう形にすることで、やり取りを整理しやすくなります。

強固なセキュリティと証跡管理

フォルダやファイルごとにアクセス権限を設定できます。共有時にも公開条件を細かく制御できるため、社内外で扱うファイルを用途に応じて管理しやすいのが特長です。また、ログインからログアウトまでの操作記録が証跡として保存され、過去5年分を確認できます。こうした機能により、基幹システムから切り出したファイルについても、共有と統制を両立しやすくなります。

ERPに業務データと添付ファイルをすべて抱え込むのではなく、ERPとオンラインストレージの役割を分けたうえで、現場が迷わず参照できるように連携設計することが、運用負荷やコストを抑えながら使いやすさを維持するポイントです。基幹システムとオンラインストレージの役割分担を見直すことが、これからの安定運用につながります。