2023年末で導入の猶予期間が終了し、2024年から本格的に運用が開始される電子帳簿保存法は、企業にとって無視できない存在になっています。しかし、そもそもどのような法律なのか?どの書類や取引が対象なのかわからないという方もいるでしょう。また、導入しない場合にはどのような罰則やリスクがあるのかを知りたい方も多いはずです。
この記事では、そもそも電子帳簿保存法とは何かを解説した上で、導入しない場合の罰則とリスク、対応するために必要なことを具体的に解説します。

そもそも電子帳簿保存法とは

そもそも電子帳簿保存法はどのような法律で、誰が影響を受けるのかを確認していきましょう。

ほぼすべての事業者が対象となる

電子帳簿保存法は、事業の取引書類のデジタル化を促進し、効率性と透明性を高めるための法律です。結論からいうと、ほぼすべての事業者がその対象となり、要件を満たした書類の保存方法が必要となります。具体的には、原則として法人や個人事業主などの事業者が、経理帳簿や契約書などの重要書類を電子データとして保存することが必要です。以下では、対象となる書類と保存する際の要件を順番にまとめていきます。

対象書類

電子帳簿保存法の対象となる書類は、事業者が事業活動で利用する経理帳簿や会計帳簿、受領書の財務に関連する資料全般です。また、取引の証拠となる契約書や見積書、注文書、納品書なども含まれます。電子データによる保存が義務づけられているため、これらの文書をデジタル形式に変換し、適切な方法で保管することが必要です。さらに、電子取引だけではなく、紙の書類をスキャナ保存する場合も要件を満たす場合に限り対象となります。

保存要件

電子帳簿保存に対応するための保存要件には主に2つがあります。1つが、データの作成・訂正・削除が記録され記録が改ざんできないように管理されることを示す真実性の要件です。2つ目が、取引日や金額、取引日で検索できることなどを示す可視性要件です。上記に加えて、スキャナ保存の場合には、解像度やカラー画像などいくつかの要件を満たす必要があるため注意しましょう。

2024年までに電子帳簿保存対応を導入しない場合の罰則とリスク

2023年の年末までが電子帳簿保存法の改正による対応の猶予期間となっています。もし、2024年になっても電子帳簿保存法への対応を導入しない場合に考えられる罰則やリスクは以下の3つです。

  • 重加算税10%が加算される可能性
  • 青色申告の取り消し処分の可能性
  • 100万円以下の罰金を課される可能性

それぞれ詳しく見ていきましょう。

重加算税10%が加算される可能性

電子帳簿保存法の改正によって、電子データに改ざんや不正、申告漏れがあった場合、課税額に追加して重加算税10%が加算されるなど、ペナルティが厳罰化されました。重加算税のリスクを防ぐためにも、電子帳簿保存法に対応した書類の管理方法やシステムを導入して運用しておくことが必要です。
(参照:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました

青色申告の取り消し処分の可能性

電子帳簿保存法に違反した場合、青色申告の承認取り消しの可能性があります。青色申告とは、税務署への事前承認を得ることで適用される制度で、一定の要件を満たすことで税制上の多くの優遇が得られます。しかし、電子帳簿保存法を導入しない場合、不正や改ざんを疑われてしまい、税務署からの承認が取り消され、これらの特典を失うリスクがあります。税負担が増えるなど、経営に悪影響を与えるため注意が必要です。

100万円以下の罰金を課される可能性

電子帳簿保存法対応を導入しない場合、会社法に違反したこととなり、罰金が科せられる可能性もあります。具体的には、会社法「第九百七十六条(過料に処すべき行為)」であるように、100万円以下の罰金が科せられることが定められています。これは書類や帳簿の改ざんや不正などを指摘された場合に対象となるため注意が必要です。また、企業の財務状況はもちろん、その社会的評価にも影響を及ぼす可能性があります。

電子帳簿保存法に対応するために必要なこと

電子帳簿保存法に対応するためには、ただ単に書類を電子データ化して保存するだけでは不十分です。電子帳簿保存法の要件や保存区分の理解やシステムの導入はもちろん、社内の管理体制の見直し、電子帳簿保存法に対応できる人材育成・研修も必要となります。以下では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

電子帳簿保存法の保存要件や対象書類を理解する

まずは、電子帳簿保存法に適用するための保存要件と対象となる書類を理解しましょう。電子帳簿保存法には、主に3つの区分があり、どの区分で保存するかによっても対象書類と保存要件は異なります。
具体的には、電子取引の場合は契約書や納品書などが対象書類となり、取引日や金額で検索できる状態にして保存するなどの要件を満たすことが必要です。また、スキャナ保存で紙の書類を電子データ化する場合は、一定水準以上の解像度やタイムスタンプの付与など、改ざんや削除ができないための保存要件があります。
このように、電子帳簿保存法のすべてに対応するためには、幅広い要件を満たす必要があるため、すでに法律に対応したシステムやクラウドサービスの導入が現実的です。

電子帳簿保存法に対応したシステムやクラウドサービスの導入

電子帳簿保存法に対応するためには、まず電子契約や契約書管理に対応したシステムやクラウドサービスの導入がおすすめです。なぜなら、契約書類や請求書、領収書などのデジタルデータを一元管理・保存ができ、いつでも容易にアクセスできるようになるからです。
また、システム導入は、データ整理の効率化だけでなく、定期的なアップデートによる法律への準拠や使いやすさも効率化につながります。利用中のシステムとの連携や、対応範囲などがそれぞれ異なるため、利用目的や業務フローに合わせた適切な選択が必要です。

社内の管理体制を見直す

システムの導入だけでは電子帳簿保存法に完全対応することは難しいため、社内の管理体制の見直しも必要です。これには、ルールや手順の明確化、適切な教育・研修、業務フローの見直しや新たな役割分担の設定などが含まれます。社内全体での理解と協力が不可欠で、これによりデータの品質保持や業務効率の向上、法令遵守が可能です。組織の規模や事業内容に合わせた体制整備も求められるでしょう。

電子帳簿保存法に対応できる人材育成・研修

電子帳簿保存法に対応するためには、新たなシステムの導入だけでなく、それに適応できる人材の育成や研修も必要です。社内全体が電子帳簿保存法などの理解を深め、遵守を徹底するためにも、継続的な学習と情報更新が重要となります。これにより、法的な要件を満たしつつ、継続的に業務の効率と質を向上させることが可能です。

まとめ

電子帳簿保存法は、全ての事業者に影響を及ぼし、適切な対応が必須です。導入しない場合には、罰則などの大きなリスクがあるためおすすめできません。法令を遵守しつつ、経理業務の効率化や文書の管理リスクを軽減するためには、帳簿管理システムやクラウドサービスの導入や社内体制の整備、人材育成が不可欠です。電子帳簿保存法への対応を後回しにせず、今すぐ電子帳簿保存法に対応したシステムやクラウドサービスを確認してみてください。

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