「ファイル共有をスムーズにしたいが、何を基準に選べばいいのか」「導入後に現場から使いにくいと不満が出ないか不安だ」と悩むDX担当者は少なくありません。単に容量や価格だけで比較すると、業務フローとのミスマッチが生じ、結果としてツールが形骸化する恐れがあります。
この記事では、中堅企業の営業推進やDX推進担当者が、自社の業務プロセスに最適化されたオンラインストレージを選定するための「RFP(提案依頼書)」の作成手順と必須項目を解説します。

RFP作成前に定義すべき「ストレージ導入の真の目的」

オンラインストレージの選定で失敗する最大の原因は、RFPが「機能の有無」を確認するだけのチェックリストになってしまうことです。ベンダーから自社に最適な提案を引き出すためには、まず「解決したい業務課題」を言語化する必要があります。

現場の「負」をプロセス単位で洗い出す

単に「ファイルが重い」「社外共有が不便」という抽象的な不満ではなく、具体的な業務シーンに落とし込みます。例えば、営業部門において「見積書の承認プロセスがメールベースで、最新版がどれか分からなくなる」といった課題がある場合、必要なのは単なるストレージではなく、ワークフロー機能やバージョン管理機能になります。

運用ガバナンスの許容範囲を決める

「利便性」と「セキュリティ」はしばしばトレードオフの関係にあります。全社一律で厳しい制限をかけるのか、部門ごとに柔軟な権限設定を認めるのか、あらかじめ方針を固めておくことが重要です。ここが曖昧なままRFPを作成すると、導入後に「制限が多すぎて仕事にならない」という現場の反発を招くことになります。

オンラインストレージRFPに盛り込むべき必須要件リスト

オンラインストレージ特有の要件は、大きく「機能要件」「非機能要件(セキュリティ・信頼性)」「コスト・容量要件」の3つに分類されます。

業務を停滞させない「機能要件」

ファイル保存以外の機能が、業務効率を左右します。以下の項目は必ずRFPに含めましょう。

  • 共同編集・プレビュー機能:専用ソフトがない環境でも内容を確認でき、複数人で同時に修正可能か。
  • ワークフロー(承認)機能:ファイルのアップロードや外部共有時に、上長の承認ステップを組み込めるか。
  • 全文検索・属性検索:ファイル名だけでなく、中身のテキストや付加した属性情報(契約日、顧客名など)で検索できるか。
  • CRM(Salesforce等)連携:顧客情報と関連付けてファイルを管理し、営業活動の履歴として残せるか。

企業の信頼を守る「非機能要件」

企業規模を問わず、情報漏洩リスクを最小化する設計は重要になります。特に中堅以上の企業では、取り扱う情報量や関係者の多さから、求められる管理水準がより高くなる傾向があります。

  • 詳細な権限管理:フォルダ単位だけでなく、ファイル単位での「表示のみ」「編集可」「ダウンロード禁止」などの設定が可能か。
  • 証跡管理(ログ):誰が、いつ、どのファイルに対して操作を行ったか、長期間(一般に1年以上)のログを保持し、エクスポートできるか。
  • デバイス・IP制限:会社指定外の端末や自宅ネットワークからのアクセスを制御できるか。

将来の拡張性を見据えた「コスト・容量要件」

初期費用や月額料金だけでなく、将来的なデータ増加に伴うコスト増をシミュレーションします。

  • 容量追加の単位と単価:ユーザー単位の課金か、ストレージ全体の容量課金か。
  • API利用料:他システムとの連携時に追加費用が発生するか。

ベンダー提案を公平に比較する「評価基準」の作り方

RFPを送付した後、各ベンダーから返ってきた回答を客観的に評価するための「採点表」を準備します。

配点の設定例

自社の重要課題に合わせて、項目ごとに配点を変えます。

  • セキュリティ重視:セキュリティ要件の配点を50%にする
  • 現場の効率重視:操作性・機能要件の配点を50%にする

このように重み付けを行うことで、合計点による公平な判断が可能になります。

「シャドーIT」化を防ぐ操作性の確認

RFPの回答書だけでは分からないのが「UI(ユーザーインターフェース)の使い心地」です。評価の最終段階では必ずデモやフリートライアルを実施し、ITに詳しくない現場社員がマニュアルなしで基本操作を行えるかを確認してください。操作性が悪いツールは、隠れて私的なクラウドストレージを使う「シャドーIT」の温床となります。

ベンダーの「伴走体制」を評価する

導入時だけでなく、運用開始後のサポート体制も重要な評価軸です。

  • 既存データからの移行支援はあるか
  • 社内説明会やマニュアル作成のサポートは可能か
  • トラブル発生時のレスポンスタイム(SLA)は定義されているか

これらの項目をRFPで問い、ベンダーの姿勢をチェックします。

業務を動かすオンラインストレージ選定のために

オンラインストレージは、単なる「ファイルの置き場所」ではなく、社内外のコラボレーションを加速させる「業務基盤」です。RFP作成においては、機能の有無を追うだけでなく、自社の業務フローにどう適合するかという視点を忘れないでください。

特に、承認フローのシステム化やSalesforceとの親和性を重視する場合、Fleekdriveのような「ファイルマネジメントプラットフォーム」が有力な候補となります。Fleekdriveは、高度なセキュリティを維持しながら、ワークフローや共同編集によって業務プロセスそのものをデジタル化することが可能です。自社の課題を明確にしたRFPを作成し、ベンダーからの提案を深く比較検討することで、10年後も使い続けられる最適なツール選定を実現しましょう。