サイバー攻撃や自然災害など、あらゆる不測の事態に直面しても事業を止めないために、バックアップを取って備えておくことが大切です。バックアップに際しては、データ復元についても確認しておきましょう。本記事では、クラウドバックアップおよびデータ復元の概要について、ポイントを解説します。
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クラウドストレージとクラウドバックアップの違い
クラウドストレージとクラウドバックアップは混同しやすい用語ですが、利用の目的が違います。それぞれの違いを整理します。
クラウドストレージ | データ共有が目的。日常的に活用。 オフィス勤務やリモートワークなど、場所と時間を問わずにファイルを共有して仕事ができるようにする。 |
クラウドバックアップ | データロスのリスク回避が目的。障害発生時に活用。 サイバー攻撃や災害などがあっても、重要なデータを復元して仕事を続けられるようにする。 |
クラウドバックアップは、OSやアプリケーションなどシステムすべてのバックアップを含みます。クラウドストレージを利用したクラウドバックアップも可能です。
クラウドバックアップが重要である理由
クラウドバックアップはなぜ重要なのか、社会や技術的な背景を含めて2つの理由を挙げます。
企業の情報価値が高まっている
AI技術がめざましく発展し、これまで以上に企業のデータ活用が重視されるようになりました。デジタルワークフローによる業務効率化、マーケティングの需要予測、DX推進など、データ資産の活用が企業の競争力を高めます。したがって、データロスは企業活動を止める重要な事態を招きかねません。BCP(事業継続計画)の観点から、あらゆる障害があっても事業を持続させるために、バックアップは企業のリスク回避につながります。
セキュリティを強化し、企業の信頼性を高める
情報価値の高まりと関連しますが、情報漏洩は企業の信頼を失墜させます。働き方が多様化し、リモートワークが浸透した現在、社外のあらゆる端末からデータを利用するようになりました。もしウイルス感染するとデータが利用できなくなる可能性が高いため、感染前の状態に復元し、業務を停止させないことが重要です。クラウドバックアップには、大容量のデータを保存が可能であり、高速で復旧可能なメリットがあります。
クラウドバックアップで注意すべきこと
このような背景から、クラウドバックアップが注目されています。しかし、次のような注意点もあります。
- インターネットの接続が必要であること
- セキュリティやパフォーマンス低下の注意が必要
- 長期的にはコストが増加する
大量のデータをバックアップするには、安定した通信環境が必要です。リモートワークの環境から利用した場合、動作が不安定になることがあります。パフォーマンス低下だけでなく、セキュリティの脆弱性も重要です。ユーザの環境にも配慮が求められます。
また、多くのストレージバックアップは、定額のサブスクリプションで運営されています。不要になったバックアップ用のストレージを解約せずに使い続けていると、コストが増加します。クラウドバックアップの特性を理解して、使用することが大切です。
クラウドバックアップの方法
一般的なバックアップの方法には、ファイルバックアップとイメージバックアップの2つがあります。たとえばPC環境のバックアップを例に整理すると、以下のようになります。
ファイルバックアップ | イメージバックアップ | |
バックアップの対象 | ファイル | ディスクなど全体 |
バックアップの方法 | コピー | スナップショット |
バックアップに必要な時間 | 短い | 長い |
復元に必要な時間 | 長い(1日かかる場合もある) | 短い(数十分の場合もある) |
それぞれ概要を解説します。
ファイルバックアップ
ファイルバックアップは、必要なファイルやフォルダをストレージ上にコピーする方法です。短時間で済むことから、頻繁にバックアップを取る場合に向いています。ただし、復旧した環境に作成したアプリケーションがない場合は、あらためてインストールが必要です。注意すべき点としては、大量のファイルをバックアップするときには煩雑になります。また、クラウドストレージ上のデータ共有では、誤って他の利用者が不要なファイルと勘違いして削除しないように注意しましょう。
イメージバックアップ
イメージバックアップは、OS、アプリケーションの構成、ファイルなどシステムそのものを全部バックアップする方法です。特定の時点のシステムを保管するスナップショットを使います。OSが起動しない状況であっても迅速にコンピューターの回復が可能になり、特定の時点までコンピューターの状態を戻せます。復元時には、アプリケーションが手元になくても復元が可能であり、遠隔操作による復元もできます。ただし、大容量になること、バックアップのスピードが遅いことに注意が必要です。
バックアップの復元(リストア)で注意すること
バックアップしたデータから復元することを「リストア」と呼びます。復元のときには、復元するポイントを指定し、影響を受けるプログラムなどを確認した上で、定められた手順で行います。大きなトラブルが発生する前に復元が確実にできるかどうか、定期的にテストしておくことが重要です。「バックアップしていたが復元できなかった」という状態は致命的な問題です。バックアップのテストでは、復元の信頼性についても確認しておきます。
バックアップをより安全に進めるポイント
最後に、バックアップをより安全に進めるポイントを2つピックアップして解説します。
「3-2-1ルール」
3-2-1ルールは、バックアップの理想的な方法です。データを3つ作成、2つの異なるメディアで保存、そのうち1つは別の場所で保管する方法です。2005年にアメリカの写真家であるピーター・クローグ氏が著書で提唱したといわれています。クラウドストレージだけでなく、物理的なストレージにも保存しておくと安心です。バックアップファイルは変更が反映されている最新の状態で、かつ完全に復元できるようにします。
ファイルバックアップとイメージバックアップを併用する
ファイルバックアップとイメージバックアップには、それぞれのメリットとデメリットがあります。したがって組み合わせることで、バックアップを万全にできます。長期的にはイメージバックアップで完全に復元できる状態にするとともに、重要なファイルは頻繁に保存してデータロスを回避します。ファイルバックアップは自動化により、取り忘れを防ぎます。また、バックアップツールを使えば、増分や差分の保存など、きめ細かなバックアップが可能になります。用途に合わせて活用するとよいでしょう。
まとめ
「備えあれば憂いなし」という言葉があります。あらゆるリスクを想定して未然に防ぐために、バックアップは重要です。Fleekdriveは、共有したファイルの自動バックアップ、バージョン管理が可能です。また、大容量のイメージファイルを保存できるとともに、高度なセキュリティで大切なデータを守ります。BCP対策のためにバックアップを検討されている場合は、ぜひご相談ください。