共有機能や同期機能を備えたクラウドストレージは大変便利なサービスですが、オンライン上にデータを保管することになるため、セキュリティの面で若干の不安が残るのも事実です。個人情報や機密情報など万が一流出被害に遭ってしまったら困るデータもありますよね。そこで、おすすめなのがNASとクラウドストレージを併用することです。内部のネットワークに直接つないで使うHDDであるNASは、特に機密性が高い情報を保存するのに適しています。

そもそもNASってなに?

NASとは、PCに接続して使う外付けHDDなどに対し、自宅や職場のインターネット回線(LAN)に直接つないで使うHDDのことをいいます。パーソナルクラウドストレージも、このNASの一種です。NASの特徴は、ネットワークに直接接続しているという点にあります。PCを介さなくても、同一のネットワークを利用しているデバイスなら、どのデバイスからでも直接NAS内のデータにアクセスすることができます。また複数のデバイスでデータを共有することが可能です。

PCから独立した存在であるため、PCのクラッシュや盗難などによる影響を受けません。また、PCのように複数のNASをネットワークにつなぐこともできます。さらにNASは複数のHDDを内蔵しており、テラバイト単位でデータを保存することができます。しかもユーザー管理機能などの管理機能がついているため、大量のデータを適切に管理することが可能です。そして機密性の高さもNASの特徴です。不特定多数の人々とデータ保存サービスを共有することになるクラウドストレージとは違い、NASではデータを自分の手元で管理できます。そのため外部に漏れると困る機密情報も安全に扱えるといわれているのです。

徹底比較!クラウドストレージ対NAS

ネットワークを利用したデータ保存・利用というと、NASのほかにクラウドストレージを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。クラウドストレージとNAS、この2つは似て非なるものです。この際、それぞれの特徴を押さえておきましょう。クラウドストレージは、サービス事業者の所有するディスクスペースを借り、インターネット経由でデータを保存できるオンラインストレージサービスです。必要な機器はサービス事業者が所有しているため、導入コストも安く、メンテナンスも必要ありません。またインターネット上にデータが保管されているため、インターネット経由で簡単にデータにアクセスできます。インターネット環境が整っていれば、どこからでも使えるため外出先でも使いやすいです。

一方、NASは自分で機械を購入します。初期費用はかかりますが、毎月の利用料はかかりません。ただし機器のメンテナンスは必要です。NASはインターネット上にデータを保管するクラウドストレージと比較して、手元で直接データを管理できるため、データ流出のリスクが低いのが特徴です。その代わり、接続しているネットワーク外、たとえば外出先で使うためには設定が必要です。

クラウドストレージとNAS、データ保存するならどちらが安心?

クラウドストレージとNAS、データを保存するならどちらが安心して使えるのでしょうか。全国の男女300名に訊いてみました。

【質問】
データを保存するなら、ネット上のクラウドストレージとハードディスクのNAS、どちらが安心だと思いますか?

【回答結果】
クラウドストレージ:127名
NAS:173名

調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年02月24日~2017年03月01日
有効回答数:300サンプル

NAS派がやや多い?でもクラウドストレージにも根強い信奉者が!

アンケート調査の結果、NAS派がやや多いことが分かりました。まずはNASを推す皆さんの声を紹介しましょう。

  • クラウドストレージは、他者に攻撃される危険が否定できません。(50代/男性)
  • 便利であっても物理的なNASには安心感の面でクラウドストレージは及ばないと思う。(40代/男性)

手元にデータを置いておける安心感からNASを選ぶ人が多かったようですね。一方で、クラウドストレージを推す声もたくさん寄せられています。

  • ハードディスクの寿命もそう長いものではなく、何度かクラッシュした経験もあるから(30代/男性)
  • セキュリティがしっかりしていれば、破損などによりデータの損失がないから安心(20代/女性)

確かに、機器の故障によるデータ消失が防げる、というのはクラウドストレージのメリットですね。

クラウドストレージとNAS、それぞれに違った強みがあることが分かる調査結果となりました。どちらも魅力的な保存先ではあるので、用途に合わせて使い分けることが必要なのかもしれません。

どちらも一長一短!?上手に組み合わせて使うのが正解か?

それではクラウドストレージとNAS、データを保存するとしたらどちらがセキュリティ的に安心なのでしょうか。

たとえばクラウドストレージはデータを手元で管理せずに済むため、災害や機器の故障によるデータ消失のリスクは低いです。その反面、インターネット上にデータを預けることになるうえ、多くの人々とサービスを共有することになります。そのため、セキュリティがしっかりしているストレージを選ぶ事だけでなく、情報漏えいのリスクマネジメントを常に行う必要があります。

その点、NASは第三者にデータを預けず、限られた人々でデータを共有することになるため、情報漏洩などのリスクは低めです。ただしNASは自分たちで機器を所有することになるため、機器の故障や災害などに伴うデータ消失のリスクがあります。このようにクラウドストレージとNASにはそれぞれメリットとデメリットがあり、セキュリティ的にどちらが正解とは言い切れないところがあります。むしろ両者を併用し、それぞれのメリットを最大限に生かすのが賢い運用法といえそうです。たとえば社内では情報漏洩の恐れが少ないNASを利用し、データのバックアップ用に災害に強いクラウドストレージを利用するといった方法です。

それぞれの特徴を活かそう

クラウドストレージとNASは、ともにネットワークを利用してデータの保存を行うものですが、その性質はまったく異なるものです。クラウドストレージがインターネット上のサービスであるのに対し、NASは自分で所有できるHDDです。このことは、データを第三者に預けるか、手元で管理するかの違いにつながります。それぞれに良さがありますので、データの性質に合わせて両者を使い分けることが必要になるといえるでしょう。

関連ホワイトペーパー「オンラインストレージを選ぶ時に大事な5つのポイント」