自然災害やサイバー攻撃など、事業継続を脅かす事態へのBCP対策は、特にリソースが限られる中小企業にとって重要な経営課題です。多くの中小企業では「コストがかかる」といった理由でBCP対策が後回しになりがちですが、適切な方法を選べば対策は可能です。
本記事では、中小企業が低コストで効率的にBCP対策を実現する方法としてクラウドストレージの活用法を解説します。

中小企業のBCP対策、その現状と課題

内閣府の調査によると、BCPを「策定済み」と回答した大企業が76.4%であるのに対し、中堅・中小企業は45.5%に留まっています。年々策定率は向上しているものの、依然として大企業との間には大きな差があるのが現状です。
では、なぜ中小企業ではBCP対策が進みにくいのでしょうか。そこには大きく3つの壁が存在します。

【中小企業の課題1】BCP対策の優先度が低い

日々の業務や売上向上に追われる中で、いつ起こるか分からない災害や障害への対策は、どうしても優先順位が低くなりがちです。「重要だとわかってはいるが、後回しにしてしまう」という企業は少なくありません。

【中小企業の課題2】専門知識が必要

特にサイバー攻撃対策など、ITを活用したBCP対策を講じる場合、専門的な知識が求められることがあります。しかし、多くの中小企業では専門知識を持つ人材が不足しており、適切な対策の立案や運用が困難な状況にあります。

【中小企業の課題3】BCP対策のコストが大きい

BCP対策としてオンプレミスでサーバーを増設したり、外部の専門家にコンサルティングを依頼したりする場合、多額の設備投資やアウトソーシング費用がかかることがあります。このコスト負担が、対策に踏み切れない大きな要因となっています。

これらの課題を放置すれば、データ消失や業務停止といった深刻なリスクに繋がり、事業の存続そのものが危ぶまれる可能性があります。

クラウドストレージがBCP対策に適している3つの理由

前述した「経営・人材・コスト」の壁を乗り越え、中小企業のBCP対策を力強く後押しするのがクラウドストレージです。なぜクラウドストレージが有効なのか、3つの理由を解説します。

理由1:安全性|データを物理的な被害から守る

クラウドストレージのデータは、地理的に分散した複数の堅牢なデータセンターで管理・複製されています。データセンター自体も震災や水害を考慮した設計になっており、自社オフィスが被災してもデータを失うリスクは極めて低いです。また、高度な暗号化技術により、情報漏洩のリスクも防ぎます。

理由2:継続性|災害時にも事業を止めない

災害時にオフィスへ出社できなくても、インターネット環境さえあれば自宅や避難先からデータにアクセスし、業務を継続できます。従業員のリモートワークへの切り替えがスムーズに行えるため、事業のダウンタイムを最小限に抑えられます。取引先とのデータ共有も滞りなく行えます。

理由3:低コスト|初期投資と運用費用を最適化

自社でサーバーを構築・管理する必要がないため、高額な初期投資や物理サーバーのメンテナンス費用を大幅に削減できます。月額料金で利用できるため、コストを平準化できます。また、システムの保守・運用はサービス提供事業者が行うため、サーバー管理といった専門業務の負担を軽減でき、人件費の削減にも繋がります。

クラウド導入で特に意識すべきポイント

BCP対策としてクラウドストレージを導入する際は、多岐にわたる検討項目の中から、特に以下の3つのポイントを意識してサービスを選定することが成功の鍵となります。

ポイント1:セキュリティ機能

万が一の事態に備えるためには、強固なセキュリティが不可欠です。「アクセス制御」機能でユーザーごとに権限を細かく設定できるか、「データの暗号化」は通信時・保存時の両方で強力か、「定期的なバックアップ」は容易に行えるか、などを確認しましょう。

ポイント2:運用のしやすさ

緊急時でも従業員が迷わず使えるよう、直感的な操作性(UI/UX)は非常に重要です。また、管理者がアクセス権限やダウンロード制限などを簡単に設定できる「充実した管理機能」を備えているかもチェックしましょう。

ポイント3:業務との適合性

平時からの利用が、有事の際のスムーズな活用に繋がります。リモートワークを円滑に行うには、スマートフォンやタブレットなど多様なデバイスから安全に利用できることが重要です。さらに、SalesforceなどのCRM/SFAやMicrosoft 365といった既存の業務ツールと連携できるサービスであれば、業務効率を大きく向上させることができます。

まとめ:中小企業はクラウドでBCP対策を始めよう

クラウドストレージは、中小企業が抱える「コスト」「人材」「専門知識」といった課題を解決し、低コストで実効性の高いBCP対策を実現するための最適なソリューションです。データの安全性確保、リモートアクセスの利便性、コスト削減といった多くのメリットにより、災害やシステム障害時のリスクを大幅に軽減します。
今後の事業継続計画を見直す際には、ぜひクラウドストレージの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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