少人数で全国をカバーする営業に、機動力を

日本化学産業の建材営業部は、東京・名古屋・大阪の3拠点を、わずか12名の営業担当者でカバーする。顧客は全国に支店を持つ大手住宅メーカーや建材商社が中心のため、広域な対応が求められる。「1人あたりが担当する顧客数も多く、見積もりや報告書、クレーム対応の書類など、帳票に関わる業務だけでも非常に煩雑でした。このため内勤時間が長くなり、お客さまのもとへ伺う時間が思うように取れないこともありました」(建材本部 営業部長/菅原譲さま)。営業一人ひとりの機動力と対応力を高めるために、業務効率化が求められていた。

時間も、人手もかかる、紙主体のワークフロー

これまでの日本化学産業の業務は「紙」が主体。たとえば、クレーム対応などの帳票が発生した場合、営業・品質管理・設計・生産といった複数部門の上長と実務担当者の手を、その紙がわたっていくことになる。帳票を取り巻くワークフローは長大なものになり、承認や対応に時間がかかっていた。また、もし誰かの手元で帳票が止まっている場合、その特定にも時間がかかり不具合が起こることもあった。こうした面からも業務効率化が求められており、Salesforceを導入し、情報のクラウド化を進めることが決定された。

帳票を、いかにSalesforceから出力するか

Salesforceの導入を進めるにあたり、新たな課題が浮かび上がる。これまで紙ベースで業務を進めてきたため、業務に必要とされる帳票は数十種類に及ぶ。これらをSalesforceから出力しようとすると、一つひとつのフォーマットを作成するのに別途開発費がかかり、Salesforceの導入コストそのものよりも、さらに大きなコストがかかってしまう。その解決策としてSalesforceから薦められたのが、FleekdriveとFleekformだった。

従来通りの帳票を、手軽に出力

日本化学産業では、組織の内部統制上、統一された所定のフォーマットに帳票を合わせる必要がある。Fleekformを導入すれば、新たな開発コストをかけることなく、Excelで自在に帳票をデザインし、テンプレートを作成できる。Salesforce上で入力した情報をもとに、社内の所定フォーマットに即した帳票を、スムーズに出力することができるのだ。

アプリケーションの連携による、ワークフローの効率化

Salesforce の導入と同時にFleekform、さらにはFleekdriveもあわせて導入された。3つのアプリケーションが連携することで、ワークフローの業務効率を、飛躍的に向上させることができるためだ。まず、Salesforce上で報告書やクレームのデータを入力し、管理を行う。そのデータはFleekformによって、定められた書式通りの帳票として手軽に出力することが可能だ。帳票に対する上長からの承認や、複数部門にわたる回覧といったワークフローは、Salesfoeceで電子化された。さらに、Fleekformは自動的に印影を挿入し、各承認のステップもスムーズになった。また、最終的な承認がなされた帳票をFleekdriveに格納することで、必要なときすぐにその情報を検索し、活用できるようになった。

タブレットとの連携で機動力がアップ

日本化学産業は、タブレット端末も新しく導入し、営業担当者に支給した。これにより、商談の際にFleekdriveから施工説明書や電子カタログなどの必要な情報を取り出し、お客さまに見せることができるようになった。「お客様を訪問する前の準備が、とてもスピーディになりました。以前なら、必要になるか分からない書類も念のために紙で用意して持参していましたが、今はFleekdriveに格納された情報にすぐにアクセスできます。浮いた分の時間を外での営業活動に使えるようになりました」(建材営業部/佐藤浩二さま)。

全文検索により、顧客対応力を向上

Fleekdriveの優れた検索性も業務に活かされている。「建材業界はクレーム産業とも言われるほどで、クレームが発生した際にいかに迅速に対応できるかがお客様からの評価を左右します。Fleekdriveは全文検索ができるため、過去の事例や対応履歴などを速やかに参照し、対応に役立てることができるのです」(建材本部 営業部長/菅原譲さま)。また、これまでは東京・大阪・名古屋と拠点ごとに管理されていた情報を、全営業メンバーが参照できるようになり、情報の蓄積とノウハウの共有はさらに進んでいくと期待されている。

外出先で報告書を作成し、承認を得られる

営業担当者は、顧客を訪問した後、「訪問報告書」を作成して、上長に承認をあおぐ。この一連のワークフローもSalesforceとFleekformによって大幅に省力化された。「出張帰りの移動時間などを利用して報告書を作成し、承認ワークフローへ。上長から承 認をもらうと、Fleekformにより自動で印影が挿入されるため、非常にスムーズになりました。また、クレームの現場などで撮影した写真をFleekdriveに格納しておくことで報告書に画像を差し込むこともできます。さらに、作成した報告書もSalesforceのデータと紐付けてFleekdriveに格納できるため重宝しています」(建材営業部/山口佳祐さま)。

情報を、営業の個人資産から企業の資産へ

わずか12名で数十億の売上規模を誇る建材営業部。そこでは一人ひとりの役割が大きく、顧客管理やファイルなどの情報管理についても、これまで属人的になりがちだった。しかし、Salesforceによる顧客管理、Fleekformによる帳票、Fleekdriveによる情報共有が併行して進むことで、多くの情報がクラウド上に集約されつつある。このストックを企業の資産として活かすことで、定年などで一人の営業担当者が抜けたとしても、その引き継ぎやフォローがしやすくなる。情報を個人の資産から企業の資産に変えることで、より強固な経営基盤が築かれようとしている。

設計や薬品事業へ、Fleekdrive、Fleekformの活用を全社での取り組みに

Salesforce とFleekdrive、Fleekformの活用は、建材事業の営業部門と、そこに深い関わりを持つ一部のメンバーからはじまった。導入から約1年、その役割は重要さを増している。建材本部の設計技術課でも、運用が開始された。「建材の設計者は東京の事業所のみに在籍しているのですが、図面データや技術情報をFleekdriveによって大阪と名古屋の拠点にも即時共有できるようになります。また、これまで各営業担当者からの問い合わせにメールで個別に応えていたのですが、その対応履歴をFleekdriveに格納することで、情報をより活用できるのではないかと期待しています」(建材生産部/佐藤浩二さま)。さらに、日本化学産業のもうひとつの事業である薬品事業でもFleekdrive、Fleekformの導入が検討されている。紙主体のビジネスから、クラウド主体のビジネスへ。日本化学産業の業務革新は、確かな足取りで進みつつある。