東邦ガスグループの中核工事会社である「東邦ガステクノ株式会社」は、東海3県(愛知・岐阜・三重)の道路や戸建てのガス供給管工事、マンションや大型施設の配管工事を50年以上にわたり行っている。
道路をほとんど掘削することなく、既設の鋳鉄管をポリエチレン管に入れ替えるオリジナル工法を取り入れ、幅広い事業を展開する一方で、震災などの緊急時には被災地に人員を派遣するなど、工事補助にも尽力している。
ガス供給という生活に欠かせないインフラ事業であるため、「お客様第一」のポリシーのもと、少しでも早く、多くの工事を終わらせることを目指し、業務のスピード化への改善に積極的に取り組んでいた。
電話やFAXが中心だった現場の情報共有
「建設業界では、スマートフォンを使っていない協力会社の担当者も多く、デジタルトランスフォーメーションの推進にはいくつかの問題がありました」と語るのは、コンプライアンス推進部総括課長の山下氏。
業務のスピード化が求められる現場だが、東邦ガステクノと協力会社との間の情報共有は、電話やFAXといったアナログな手段がほとんどで、タイムロスが発生していた。「現場で使用する資料は紙ベースでやりとりしていました。特に遠方の現場担当者は片道1時間かけて、本社まで図面を取りに来ていました」と実務担当の服部氏は当時のやりとりを振り返る。
また、マンション関連の協力会社の監督者や工事士たちは、デジタルカメラで撮影した写真をSDカードに保存して本社に届けていたが、途中で紛失したりデータが破損していたりすることもあった。
並行する工事、複数の工程管理が困難
「工事量が多いため、各案件の工程管理に苦労しました。現場とは紙ベースでのやりとりが多く、進捗を把握するのが大変です」と実務担当の鳥居氏は語る。加えて、翌日工事をする現場の情報は本社に送られてくるFAXで集約されるため、現場にいる管理者は、本社に電話で確認しなければ詳細が分からず、不便だった。
「協力会社担当者の負荷が高まっていたため、協力会社との協働ができるクラウドサービスの検討が緊急の課題でした。そんな折、建設業界もデジタルトランスフォーメーションを進めなければ取り残されるという危機感から、自社でのIT環境の整備も始まりました」(山下氏)。
国内にサーバがあり、権限の管理ができるセキュアな環境
社内のIT化への意識が高まりつつあるなか、クラウドサービスの検討が具体化したものの、東邦ガスが提示した条件は、『国内にサーバがあること』『顧客情報の保管期限を設定できること』などであった。さらに自社からは、『共有でフォルダをつくれるセキュアなサービスが欲しい』という要望も。「これらを踏まえ、3社のクラウドサービスを比較検討したところ、厳しい基準をクリアしたのがFleekdriveでした」(山下氏)。
また、情報共有のアナログ運用など、協力会社とのレスポンスの不便さを、モバイル端末を最大限に活用して解消できるのに最適なサービスや、ランニングコストが抑えられる点も選定の大きな理由だった。
本社と現場の情報共有により月300時間削減
Fleekdriveに図面のPDFをアップロードすることで、往復2時間のタイムロスだけでなく、紛失のリスクもなくなった。また、現場から翌日の現場情報をFleekdriveに集約することで、管理者はモバイル端末で各現場の人員配置等を確認できるようになり、一元管理化が進んだ。「即座にスマートフォンで確認できるため、協力会社は、これだけあれば十分と言ってくれています」(服部氏)。これまで紙をファイリングして一定期間保管していたが、Fleekdriveによりペーパレス化でき、倉庫スペースの削減も実現できた。
一方、モバイルアプリで撮影した写真を現場でFleekdrive上にアップロードしてもらうことで、本社ですばやく検査報告書などの作成ができ、業務効率化が図れた。
オフィスと現場で相互の情報共有が可能となり、全部門で月300時間の削減効果があり、長時間労働の是正にも役立っている。

工程の進捗状況が一目瞭然で業務効率アップ
工程管理は、現場ごとにフォルダを作成し、工程の進捗度合いに合わせてさらに階層を作るように改善。最新の情報をアップロードすることで、工程会議をする前に確認ができ、格段に管理がしやすくなった。「Fleekdriveを見れば、現場からでも自分のセクションの進捗状況が一目瞭然で把握できるようになりました」(鳥居氏)。
設備営業部の藤田氏は、「必要な情報はFleekdrive上で、当社と協力会社間で共有していますが、協力会社の担当者は、関与している工事のフォルダのみアクセスできるように設定しており、セキュアなファイル管理ができています」と続けた。

モバイル活用の促進とグループへの展開を視野に
業界でもいち早くデジタルトランスフォーメーションを進めた東邦ガステクノ。「今後は、工程管理部門以外の一般管理部門の活用も検討しています。また、工事現場ではまだアナログ重視の人材も多いため、今まで以上にモバイル活用を促進させたいです。Fleekdriveを活用すれば業務効率化が図れることは実証されていますので、少しでも分かりやすく現場に伝えていくことで、利用者数は増え、最終的にはお客様満足度につながると考えています。今後は、東邦ガスグループ全体への展開も視野に入れています」と山下氏は今後の同社の抱負を語ってくれた。
グループ全体でモバイル化を導入することで、東邦ガスから協力会社まで、一気通貫で瞬時に情報を共有できるようになり、「お客様第一」の業務革新に拍車がかかることが期待される。