スケジュール管理は自分1人の分だけ行えばよいとは限りません。複数人で取り組むプロジェクトのように、業務遂行のスケジュールをメンバー全員で共有しなければいけないこともあります。こうした機会によく使われるツールがガントチャートです。ガントチャートはプロジェクト内における各タスクの遂行スケジュールを1つの表にまとめたものです。ひと目でプロジェクトのスケジュールが把握できるため、社内でスケジュールを共有するのに便利です。

ガントチャートを使っている方はどれくらい?

実際の業務でガントチャートを使ってスケジュール管理を行なっている人はどれくらいいるのでしょうか。全国の社会人100人を対象にアンケート調査を実施しました。

質問

スケジュール管理のためにガントチャートを使っていますか?

回答結果

はい:6
いいえ:94

アンケート概要

調査地域:全国
調査対象:【職業】パート・アルバイト 個人事業主 公務員 正社員 派遣社員 経営者
調査期間:2017年06月01日~2017年06月08日
有効回答数:100サンプル

知る人ぞ知る?ガントチャート

アンケート調査の結果、「ガントチャートを使っていない」と答えた人が圧倒的に多いことが判明しました。

  • ガントチャートというものを知らないので使っていません(35歳/男性/正社員)
  • ガントチャートを使ってきちんと管理しようと思ったことがありましたが、結局うまくできずに挫折しました。(36歳/女性/正社員)
  • 私の仕事は長いスパンでなにかをするよりは、その日その日で完結するものが多いのでガントチャートでの管理は難しいです。日常生活でも目標を決めてなにかをすることがほとんどないので、ガントチャートは使いません。(23歳/女性/派遣社員)

「ガントチャートを使ったこと」がないと答えた人については、そもそも存在を知らない、名前は知っているが使う機会がない(使いこなせない)という2パターンに分かれるようです。それでは今度はガントチャートを活用している人の声も紹介します。

  • マルチな仕事を並行してこなしているので仕事の可視化して進捗を把握できるように使用しています。(48歳/女性/個人事業主・フリーランス)
  • タスクのなかで複数の工程が並行して行われるときは、各工程の進捗と関係を分かりやすくするためにガントチャートが必須になります。(38歳/男性/正社員)

複数のタスクを同時並行して行なうときは、ガントチャートを使うメリットが多いようです。
今回の調査の結果、ガントチャートそのものの存在を知らない人も多いことがわかりました。まだ一般には知られていないツールなのかもしれませんね。ガントチャートは上手に使いこなせば複数人でスケジュールを共有しプロジェクトの進捗状況を管理するのには役立つツールです。以下その魅力や使い方について具体的に見ていくことにしましょう。

スケジュール管理が楽に!ガントチャートを使うメリット

ガントチャートはプロジェクト管理や生産管理などの管理工程に使われる表で、プロジェクト全体の段取りを棒グラフ状にまとめたものです。横軸に日付、縦軸にそれぞれのタスクを並べて、タスクごとに予定や作業内容、担当者名、作業の進捗状況などを書き込んでいきます。横軸を週刻みにするなど設定によっては、数年単位のプロジェクトにも応用できます。

ガントチャートを作るときは、まずプロジェクト内の作業内容を細かく洗い出し、こなさなければならないすべてのタスクをリスト化します。そして全体の納期を見ながら、それぞれのタスクのスケジュールを決めていきます。ガントチャートを使うと各タスクのスケジュールが棒グラフとして表されるため、いつまでにどの作業を終わらせるべきなのか、作業の進捗状況がどうなっているのかが視覚化されます。そのため、プロジェクト全体のスケジュールや進捗状況を誰もが一目で把握できるようになるのです。ガントチャートを使うことでプロジェクトの進捗管理が容易になるほか、プロジェクトメンバー内で情報の共有も進みます。また、ガントチャートの作成作業を通じて作業工程やプロジェクト体制が妥当なものかどうかをチェックすることもできます。

ガントチャートにはデメリットもある

ガントチャートを使ったスケジュール管理にはデメリットもあります。ガントチャートでは、まずプロジェクト全体の納期があり、そこに合わせるような形で個々のタスクの進行計画を立てていきます。何をやるべきなのか具体的な計画内容が決まっていない状態でも、納期さえわかっているのであればガントチャート自体は簡単に作れてしまうものなのです。そのため、ガントチャートによって実際には実行が不可能な計画が作られ、現場が大混乱に陥ってしまうこともあります。納期を重視するあまり仕事のクオリティが下がる、予測不可能な事態が起きるたびにガントチャートを作成し直さなければならないといったトラブルも起こりがちです。

さらにガントチャートでは、自分に与えられたタスクとその締め切りしか把握できません。それぞれのタスク同士の繋がりが見えづらいのです。そのため、タスクを複数の担当者で分担する場合や他部署との調整が必要な作業の場合、連携プレーがうまくいかない可能性もあります。ガントチャートはプロジェクトのメンバーの心理状態にも悪影響を及ぼす可能性があります。多くの人間に見られる現象として、納期に余裕があればあるほど仕事の着手が遅れる傾向があるからです(学生症候群)。そのため納期直前にしわ寄せが出てしまい、最悪の場合プロジェクトが遅延・頓挫することになるのです。

シンプルなアイテムでスケジュールを管理する

スケジュール管理には得意・不得意があります。スケジュール管理が苦手な人が得意な人の方法だけを真似しようと思ってもうまくいかないこともあるかもしれません。スケジュール管理には、人それぞれで合ったやり方があります。自分に合った方法を見つけることがスケジュール管理を続けるコツです。

たとえば、細かく予定を書き込むのが苦手な人はシステム手帳ではなく、白紙のメモ帳などシンプルなアイテムを使ってみてはどうでしょうか。ただのメモ帳であってもメモした日の日付を入れ、マンスリータイプの手帳と併用すればスケジュール管理ツールとしては十分に使えます。時間単位でスケジュール管理をしたいという人には向いていないかもしれませんが、大まかに自分の行動予定や所要時間が管理できればよいという人にはおすすめです。また、1人だとよく予定を忘れてしまうという人はSNSを使って社内の人と予定を共有するのもよい方法です。頻繁に目に入るSNSなら予定も忘れづらいですし、いざというときは周囲からフォローも受けられます。

今すぐ使いたい!ガントチャートツールを紹介

■被写体の人物はストックフォトモデルです。撮影許諾を得ています。【モデルリリース:取得済み】

ガントチャートはエクセルでも作成できますが、ネット上には多くのガントチャート作成ツールが出回っています。ここでは数あるツールの中から特におすすめのものを紹介します。まず初心者でも使いやすいのが以下に挙げる3つのツールです。

  • ブラビオ!
    初心者でも簡単にガントチャートを作れるサービスです。提供されているストレージの制限内であれば、プロジェクト個数を気にせずにガントチャートを作れます。5人以下なら無料、それ以上の人数で共有するときは有料です。
  • ジョートー
    国産のガントチャート管理ツールです。スマホのアプリにも対応しているため、スマホからでもプロジェクトやタスクの進行管理・チェックが行なえます。無料版はなく、有料サービスのみとなっています。
  • みんなでガント.com
    直感的な操作でガントチャートの作成・編集が行えるサービスです。インターネット環境があればどこからで使えるうえ、多くの機能は無料です。

さらにほとんどの機能を無料で使えるガントチャートツールもあります。

  • がんすけ
    ガントチャートを作成できるフリーソフトです。マウスでガントチャートの作成・編集が行えるので扱いやすいです。
  • Gantter
    Google Driveとの連携が魅力のガントチャートサービスです。テンプレートを埋めていくだけで簡単にガントチャートを作成できます。デスクトップクライアント版以外の製品については無料です。

ガントチャートで業務を効率化!

ガントチャートは上手に作成できれば、プロジェクトを効率的に管理するのに役立ちます。まずはプロジェクト遂行に必要なタスクを洗い出し、個々のタスクを実行するのに必要な時間やタスク同士の依存関係を把握しましょう。プロジェクトの中身をよく理解してからガントチャートを作り始めることで、初めて本当に実行可能なスケジュールが完成します。納期ありきで作らないことが使えるガントチャートを作るコツなのです。正しいガントチャートの活用法を知り、業務の効率化につなげましょう。