文書管理システムとは?導入のメリットと注意しておきたいポイント

ホワイトカラーの生産性向上が急務である日本では、いかにして業務を効率化させるかに頭を悩ませる企業が少なくありません。その切り札のひとつとして、文書管理システムが注目されています。文書管理システムを導入することで、どのようなメリットが得られるのか、また注意すべき点は何なのかについて解説します。

文書管理システムとは電子化した文書を「保管」するためのシステム

文書管理システムは、文書を紙ではなく電子化して、単に電子データとして「保存」するだけではなく、適切に「保管」するためのシステムです。DMS(Document Management System)とも呼ばれています。

文書管理システム導入のメリット

文書管理システムを導入することで、紙での管理では不可能な、以下のようなメリットを享受することができます。

共同作業ができる

クラウドサービスで提供される文書管理システムは、インターネットにつながる環境さえあれば、どこからでもアクセスできるのが大きな魅力です。しかも、1つの文書を、複数の人で同時に編集することができるので、作業速度を大幅に向上できるとともに、活発な議論の場を作ることができます。また、災害などで会社に出勤できなくても、ビジネスを継続させるためのBCP(事業継続計画)としても有効です。多様なワークスタイルが可能となりますので、人材を確保するための方策としても役立つでしょう。

ペーパーレス化

保管期限が定められている書類は溜まる一方ですし、その保管場所を確保する必要があります。また、紙の書類をファイリングしたり、適切なファイルを探したりする作業は手間がかかり、事務コストを増やす要因となります。また、文書管理システムは、保管期限の情報もいっしょに記録することができますので、自動的に整理したり削除したりすることが可能です。このような、文書のライフサイクル管理も行えるのが文書管理システムのメリットです。

ワークフローの簡略化

電子化によって、承認者への回覧・承認も電子文書で行えるため、ワークフローを簡略化し、迅速な意思決定にもつながります。出張が多い上司の決裁を待つために業務が止まってしまったり、機会を逃してしまったりすることがなくなるでしょう。また、システム化されていれば、今、誰が承認しているのかが明確になりますので、紙の承認で起こりがちな、どこまで書類が回っているのかわからなくなることもなくなります。

検索が簡単に

文書名はもとより、タグ付けによる文書の分類や、文書中の文字情報を検索することにより、紙のファイルよりも早く、横断的に必要な文書を探し出すことが可能です。

バージョン管理

文書管理システムの大きな特徴のひとつは、文書を変更しても常に最新の文書のみが目に見えるしくみになっていることです。これにより、変更する度に、新しい文書が増えて混乱することがなく、必要に応じて以前のバージョンの書類を取り出すこともできます。

文書管理システム導入にあたっての注意点

続いて、実際に文書管理システムを導入する際に注意すべき点をまとめました。

適切な文書管理システムを選定する

各社から、大小さまざま規模や機能を持った文書管理システムが提供されています。そのため、自社の業務にとって最適なサービスを選ぶことが大切です。営業資料の配布に使用するのか、自社内に限定した使用なのか、モバイル対応しているのかといったことを、利用シーンを想定しながら検討しましょう。

電子化の工数がかかる

元々、紙で運用されていた文書を電子化する場合、スキャナに読み込ませて電子化し、整理する手間が生じます。その分の工数がかかることは認識しておきましょう。例えば、紙の文書をスキャンする際の解像度など、法的に定められている要件もありますので、電子化の際には注意してください。

セキュリティ対策

文書管理においては、情報漏洩などが起きないよう、セキュリティを万全な状態に整える必要があります。文書管理システムでは、適切な権限を与えられたユーザーのみが閲覧・更新・削除できるため、情報漏洩といったセキュリティ事故を防止することができます。また、文書管理システムは、たとえ誰かが悪意をもって文書を削除したとしても、復旧できるようになっているものも多くあります。いつ、誰が、どのようなアクセスを行ったかが記録されますので、事故が発生した場合に追跡が可能ですし、不正の抑止力にもなります。

また、万が一、文書管理システムが消失するような事故が発生すれば、被害は甚大となり、業務が停止するリスクがあります。クラウドサービスを利用することで、こうした物理的なセキュリティの対策をとることにもつながります。

文書管理システムで働き方も変わる

文書管理システムは、単純に文書管理を効率化するだけではなく、働き方やワークフローを見直す絶好の機会にもなります。業務効率化の第一歩として、文書管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。